102.この間の周囲の状況
あっれ~?もう少しコンパクトにまとまる話だったはずが‥。当初の予定より長くなっております。
次の章までもう少しお付き合いください。
孤児院に戻って様子を見た後、翌日、再びダンジョンへ。その後、報告書などを書き、提出後ミヒャエルを伴ってダンジョン東のゴバ君の所へ。
「ゴバ君久しぶり!」
「あ、イオさん。お久しぶりです。どうしたんですか?国造りでしばらくは来れないようなことを言っていましたけど」
「少し時間ができたから来たんだ。状況も知りたかったし」
「そうなんですね。と言っても特に変わったことはなかった‥と‥。あれ?そうだ!イオさんリュート神聖国の戦争の話って知ってましたっけ?」
「ん?戦争?いや、何も聞いてないよ。リュートからは2.3年前だったかな?戦争準備しているって言っていたけど」
ここでいう戦争とはここからさらに東に行ったモンテス山脈を超えたところにあるリュート神聖国と女神教の国との戦争のことだ。そういえば、去年の春、雪が解けてすぐに戦争が勃発したというのは聞いたような気がする。ちなみに今は冬があけて、春だから1年経ったわけだ。
「そうだ。思い出した。去年から戦争してたな。1年経つけど、長引くとは思っていたから‥。何か状況変わった?」
「ついこの間、戦争が終わったとサミーさんが言ってました。リュート神聖国の勝利で」
「え?もう?冬は休戦していたはずだから、雪解けてすぐ?」
「そうですね。雪が解け切らない間に攻めたようですよ。女神教の国は不意を突かれたのか、あっさり崩壊して、聖都フラメシア以外はすべてリュート神聖国の支配下に、聖女、教皇のトップ2人は討死したらしいですよ」
「やるな~。普通雪がある間の行軍は兵士に対する負担が大きいから、着いた頃には疲労困憊で戦うどころじゃないのに」
「ですね。そうとう鍛えられているということでしょうね。それとおそらくは今後聖都フラメシアを自治都市として女神教は残すみたいですよ。もちろん規模は今までの比ではないくらい縮小されますし、親リュート神聖国派だけが残ることになるらしいですけど」
「ふーん。そうなるとこれで完全決着か」
「そうですね。しかし、今回の戦争に勝ったことでリュート神聖国は領土が大きく広がりましたけど、目的はそれだけではないような気がするのですが‥」
ゴバ君の言う通りだと思う。これで表向きは領土拡大、潜在的な敵性国家の討伐が目的ということになるのだが、リュートの女神に対する話から、これが女神に対しての何らかの大きな影響を与えている行動なのだろう。リュートは、我々は“神”に対して直接攻撃、討伐はできないようになっていると言っていたから、女神は確実に生きているわけで。当然今後はリュート神聖国、リュートそのものを対象に女神の報復があるだろうというのが推察される。つまりリュートにとって益があまりにも少ないように見える。
まあ、ここで考えていても推論しかできないわけで、今後の推移を注意深く見ていくくらいしかできないのだろう。
その後、ゴバ君に色々制作の依頼をし、ダンジョン南のエルフの里へ。そこでクナと話をすることに。ミヒャエルは採取したいものがあるとかで、どこかへ行った。話が終わるころまでには戻ると言っていたから放っておこう。
「お久しぶり。今どんな状況?」
「あ、イオ久しぶり。変わらないね~。当たり前だけど。こっちは少し困ったことが起きたのよ」
「困ったこと?」
「ここから南の山脈はわかるわよね?」
ここでいう南の山脈はサウザンビーク山脈と言ってモンテス山脈の西側、つまり僕たちがいる大陸西部を南北に分ける大山脈だ。僕の領域はまだサウザンビーク山脈のふもとの森になんとか届いたかな?といったところで、山脈の頂上までは200km以上あるのではないだろうか?というくらい離れている。
「もちろんわかるよ。僕はまだそこまで領域を広げれていないから、実際はどんなところか状況がわからないけど」
「いや、あんな距離まで領域広げるとか、どんだけDPかかるか想像できないし。それより、その山脈で見えたのよ」
「何が?」
「悪魔と天使が」
「は?」
「いや、だから悪魔と天使。『視覚強化』したら、いたのよ。そうとしか見えないモンスターたちが」
補足として、サウザンビーク山脈は大陸西部の真ん中よりかなり下側にあります。モンテス山脈とはT字でぶつかっています。