100.意外な反応と援助
ちょうど100話で、孤児編はひと区切りとしました。皆さまありがとうございます。
エルマンドさん、エルドの親子に僕の正体と目的を話した。
「‥‥以上です。なので、僕はこの付近に人が増えることは大賛成なのです」
それに対するエルマンドさんの反応は
「わかりました。聞かせていただきたいのは、この付近で有名な巨大ゴブリンの話、それはあなたの仕業なのですか?」
エルマンドさんは非難しているというより単純に確認といった風で聞いてきた。この付近では巨大ゴブリンのギガゴブリンの話が悪さをする子供への鬼のように話がされてきている。曰く
「悪い子は大きなゴブリンに攫われる」
「親の言うことを聞けない悪い子はゴブリンに殺される」
といった類いの話だ。その分非常に有名な話だ。だが、エルマンドさんが聞きたいのはギガゴブリンで村を滅ぼした話だろう
「巨大ゴブリン、ギガゴブリンのことですね。それは僕の配下のモンスターです。弁明させてもらうなら、以前の村の統治者は酷すぎたので。というよりこの世界の統治者で良い統治者と言えるのが少ないというのがありますが。もちろんそこに住む民にとってということになりますが」
「わかりました。私が聞きたかったことはあなたがむやみに村を滅ぼしたりしないということがわかれば良いのです」
なんかあっさり納得してくれたのが気になるが、まあ、ラッキーということで気にしないでおこう。エルドから
「イオは相当力があることはわかっているけど、どこまで助けてくれるんだ?例えば、僕らが危ないときは助けてくれるんだろ?」
と聞かれたので
「基本は助けるが、何でもかんでも助けるわけではないよ。力だけの者も力ない正義も同じだと思っているから。まずは力を身につけてね。色々な、ね。それに領域が決まっているから、その範囲内だけということになるし」
「その領域はどのくらいの範囲?」
「僕の領域はワールハイト同盟ほぼすべて、都市連合はカルナチョス含めた半分、ニゴ帝国は一部ってところだね」
「‥‥それ途轍もなくデカいのでは‥‥」
「僕は基本情報収集で動く気はないから、アテにしないで、自分の身は自分で守ってね」
というやり取りがあった。
現状、国造りのために足りているものはない、言い換えれば足りないものしかないので、焦らず、まずは傭兵団としての個々人の力をじっくりあげることを優先するように方針を決めて、商会については今まで通り、時が来るまで少しずつ資金を蓄えることを決めた。
とりあえず、八歳で学校へ通い、一二歳までは最低限として、やりたいこと、もっと学びたいことがあれば一五歳までということにして、孤児院の他の子たちも通えるように、将来商会で働くことと返済を条件に商会から必要なお金を超低利子で貸し出すことも決めた。今でいう奨学金のようなものだ。これでライドたちも学校へ行ける。ただし、希望者全員というわけにはいかないのである程度選抜しなければいけない。その方法はこちらに任せてもらえることになった。
成人はこの世界では一五歳だが、一〇歳超えると貴重な労働力として戦力となっているので、全員居なくなると孤児院としても困るわけだ。
翌日、僕とエルドが孤児院へ戻る途中
「イオ、僕は昨日、イオの話を聞いて俄然やる気が出てきよ」
「ん?なんで?そんな要素あった?」
「力をつけていけばイオが助けてくれることがわかったからね。しかも僕が思っていたよりもずっと大きな力で」
「‥国の発展に必要なら、産業として成り立つように僕の力を貸すことも考えているよ」
他の人もいるのでダンジョンの話はできないが、場合によってはダンジョンを新規に作って、鉱物、鉱石や魔物からの素材など一大産業としてダンジョンを利用できるよう力を貸すこともやぶさかではない。
「なんにせよ孤児院に帰ったらどう選抜するか決めないと」
「おそらく希望者の成績順だろうけど、ライドたちは大丈夫かな?」
「本気で行きたいなら頑張ってもらうさ。無理やりでも尻たたけば頑張るでしょ」
「‥あんまりやりすぎないでよ。イオ」
さて、それでは孤児院に帰ったらアイツラ鍛えますか。ついでにホムンクルスの体を鍛えたら将来のステータスが想定より伸びるのか?というのも気になるし。
次回から少しダンジョン周辺の話があって、学校へとなります。