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Armor Knight  作者: 夢暮 求
第五章 -Advance-
217/645

#したたかに#

///


「この私に、『RoS』に入れと? 随分と身勝手な願いだな」

「名前だけでも良いからさー、入れておいてくれないかなーなんて。ほらぁ、大隊ミッションでのことは謝るからさぁ、良いじゃん? 名前だけなら」

「貴様のことは反社会的な存在として永遠に私の頭に刻み付けられた。貴様の話など、聞く気も無かったのだがな。一興とばかりにやって来てみれば、下らない話をする。今後一切、私だけでなく『オラクルマイスター』に関わらないでもらおう。最近は『Re;Burst』にもちょっかいを掛けているらしいな。これ以上、度が過ぎたことをすればGMに報告させてもらう」

「あーGMね、はいはい。困ればすぐにGMってうるさいうるさい。GMだって中身は人間だ。呼ばれて話を聞いて、代替案を出すのだって疲れるだろうねー……まーボクには関係無いけど。あいつらはボクを見過ごすから。だって、そういう“契約”だったし」

「契約?」

「いやぁ、そんなことはどうでも良いんだよ。それでさぁ、サールサーク卿? ボクを反社会的存在と認めるのは構わないんだけどー、そうやってボクのお願いに耳を傾けなかったらどうなるか、分かるかなぁ?」

「貴様たちのようなブラリ推奨プレイヤーの決まり文句だな。どれもこれも聞くに耐えない戯言ばかり、」


「彼女の声は聞こえたかい、サールサーク卿?」

 サールサーク卿の言葉をたった一言で止め、「ふひひっ」と笑みを浮かべながらルキは続ける。

「知っているよー、君のこと」


「……貴様は、誰だ? 何者だ?」

 ルキを睨み付け、サールサーク卿は明らかに怒気の込められた声で訊ねる。


「やだなぁ、君に明かしたらボクの大切な大切な交渉材料が無くなっちゃうじゃないか。ま、ボクの正体に行き着けるプレイヤーなんて、このゲームの中じゃ片手の指で数えられるか、それとも両手の指くらいか。まぁ、君のことは昔から知っているけれど、君はボクのことを昔から知ってはいないだろうから、こんなヒントをあげちゃってもさぁ、あげちゃってもあげちゃってもぉ、君は正解には至れない」

「ふ、ざけるな! それが私の質問への答えだとでも言うのか?!」

「ねぇ、サールサーク卿。落ち着いて、深呼吸して考えてみなよ。君のその人生に、その生き方に、そしてこれからに、価値はあるのかい?」

「価値……だと?」

「人生は人それぞれだ、生き方もそれぞれだ、そして未来でさえもそれぞれが決める。けれど、君は違うよねぇ? 君のその人生は、その生き方は、そして未来は、決して君が望んだわけでは、無いんだよねぇ。かわいそうなかわいそうなサールサーク卿。こうしてログインしている間も、“彼女の声”がもしも聞こえたらとずっとずっと傍に居る。気色の悪いほどに、“彼女の声”を求め続けて、“彼女”を求め続けて……けれど、それは君が望んだ未来では無かったよねぇ? そうせざるを得ない事態が起きてしまった。ああ、なんて悲劇だろう。将来を約束し合ったはずなのに! ただの一度の不幸が! 君が思い描き、行き着こうとしていた未来を奪ってしまった! そして君は逸れた道を歩き続け、逸れた未来へと向かっている。ああ、実に実に…………下らない。だからさぁだからさぁ、君の全てに価値は、あるのかい?」


「私の決めたことだ」

「けれど君のせいじゃない」

「私にも責任はある」

「けれど遠因は他にある」

「私がそもそも彼女とその日、帰らなければ良かった」

「けれど君は心の中で自分のことを『悪くない』と思っている。何故なら、君は正義に熱い男だからさ。焼き付くほどの熱を帯びた正義の塊。イジメっ子もイジメられっ子も、ドロップアウトしそうな子だって決して見放さない。で・も、それが仇になっちゃったねぇ……本当に、君にとって“彼”は、それほどまでに気を遣い、そして親友と呼べる相手だったのかなぁ」

 サールサーク卿の表情が翳る。

「なにが言いたい?」


「目覚めなかったらどうするの?」


「なん、だと……っ」

「怒らないで怒らないで。だぁ~かぁ~らぁ、目覚めなかったら、どうするの? って。まぁショックだよねぇ、最悪だよねぇ、で、君はどうなるの? 君のこれまでの人生は、これまでの生き方は、そしてこれからの未来は、ぜぇーんぶぜぇ~んぶ……闇の中へと沈むんだ」

 不敵な笑みを崩すことなく、ルキは告げる。


「君はもうとっくに“堕ちている”。どれだけ取り繕ったって“こっち側”なんだよ、サールサーク卿。これだけ喋んなきゃ分からないなんて、君は本当に本当に本当に本当に、ボクを苛立たせることに関してだけは有能だ。君が拒否したらボクは“彼女”のところに行くかも知れないよ? 最初にそう言ったのに、なんで分からないかなぁ。ここに来た時から、君に拒否するチャンスなんて一欠片も残ってなかったんだよ。だからさっさと、名前をボクのギルドに貸しやがれ」

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