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時代遅れの女神様からの贈り物  作者: 白ヤギ
厄災を呼ぶ者
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42 約束

「桜ちゃん、あれは元々あの魔法使いの体に、魔法陣を刻んでいたんだと思う。じゃなきゃ、そんな装備をしている桜ちゃんに大怪我負わせるだけの魔法を、連発出来る訳じゃないから。多分レイは、魔法陣を入れた時にいつでも殺せるようにしてあったんだと思う。」


そーなんだ、それが分かっても私には、なんで強い魔法が連発できるかはわからないけど。てっきり、めちゃくちゃ速く動いて、そのあと元の場所に戻ってきたのかと、思ったけどそんな馬鹿な事するくらいなら、その時ついでに攻撃してるよね、普通なら。


「そうなんですね、じゃあ私達が逃げてる時あった、索敵用の魔法陣もレイの魔法なんですか?」

「多分ね、あいつの魔法は魔法陣でさらに強化されてたり、性質が変わってたりするから読みにくいね。後あいつ自身にも魔法陣を刻んで強化してるから気をつけて。」


なるほど。確実に無理だね、倒せそうにない。


「相談は終わったかな?じゃあ行くよ。」


そんな言葉を放ったと思ったら、急に私達の体の下に魔法陣が浮かび上がる。

その場から離れようと思っても足が動かない。体が重い、重力魔法?


「そりゃここで戦うように仕向けたんだから、準備くらいするよね。」

「貴方も、私の力を忘れたわけじゃないでしょう?」


ニコルさんが、レイに対してそう言い終わると、目に魔法陣を吸い込んだ。え、なにそれ?すごっ。


「へぇ、お前その眼を使ってまでそいつを助けたいのか。どうせ『黒髪の忌子』は、救えないぞ。そもそも救いを求めてるのかも分からないのに。あいつだってそうだっただろ?」

「うるさいっ!お前はここで殺す。」

「お前みたいに力から逃げた奴に何が出来る、俺みたいにあいつからの力を受け入れていれば良かったものの。」

「お前は力に溺れただけだろ!」


ニコルさん達は、私を置いてきぼりにして、2人の世界で話をしてる。どうせなら、喫茶店で話したらいいのに。て、馬鹿な事考えてる場合じゃない。

魔力を集中しようとしてみたけど、やっぱりダメだ。私は、アイテムボックスから、目眩ましのフラッシュボムを取り出し発動させると、それに乗じてレイに殴りかかる。そんな攻撃もあっさり躱され腹を蹴られる。すぐ立とうと思っても、痛みで立てず胃の中身をぶちまける。内臓にまで届くダメージ。回復薬を、2本ほど飲み干す。あら不思議、全回復。本当にこの薬は便利だ。


「ちょっと桜ちゃん大丈夫?」

「はぁはぁ、なんか話に夢中になってたので、いけると思いましたが全然ダメでした。あ、これニコルさんにも渡しておきます。」


ニコルさんにも回復薬を手渡す。

それからニコルさんと協力してレイを攻撃するも全くダメージは与えられず、私達は回復薬を飲んでばかりだ。


「桜ちゃん、私があいつを吸い込むからなんとか隙を作れる?あいつ自身は無理でも最悪力を封印するから。」

「む、無理そうだけどやるしかないなら。」


とは言ったものの無理でしょ。ギルド長が全く何もしてこないのは助かっているが、レイに隙を作るなんて。そもそも2人で攻撃してる時も余裕で対処されてるのに。もうあいつは、私の魔術や攻撃も脅威を感じていないのか躱す事もしなくなってるのに。


「思ったよりつまらないなぁ、じじぃもイライラしてるし、そろそろ終わりかな?」


余裕かましやがって。私は、ひらめく。どうせダメでもともと。

レイに向かってアイテムボックスから以前生成した魔力水を取り出し、錬金をなんとか施しレイに向かって投げつける。ニヤニヤ笑ってるだけで、避けもしない。更にもはや見る影もない、火魔術で作った槍を放つ。めんどくさそうに火の槍を薙ぎ払うと、払ったところを元に火の勢いがます。錬金でイメージしたのは油の特性。でも私の今の魔力の扱いじゃあしっかり錬成出来なかった。その分、油の臭いなどがないほぼただの水。なので火の勢いが増すといっても、ダメージを与えれるほどでは無い。それでも一瞬驚き、隙を作る。


それで充分とニコルさんが行動に移す。

これで、もしかしたら倒せるのかなと思ったら、吸い込まれそうになったのは私だった。私は驚いたが、ニコルさんも驚き強制的に術を解く。その反動なのか右眼からは最初出ていた以上に、出血をしている。もしかして、目が潰れてるかも。


「滑稽だな、ニコル。これで分かっただろ。世界から、いや神から拒絶されてるのは俺じゃねえ。そこの女だろ。もうお前は寝てろ。」


ゆったりとした不思議な動作で近づき、ニコルさんの胸にナイフを刺す。私は回復薬を取り出そうしながらニコルさんに近づこうとする。だけど!アイテムボックスからアイテムは出せず、私の移動も拒む。私を中心に小さな結界が張られている。早くしないとニコルさんが死んでしまう。思いっきり殴っても破れない。しかも、地球にいた頃の力に戻ってしまったみたいだ。


「おい、何してるじじぃ。」

「ふむ、あの子を見て気がついてないのか?さっきから不思議に思っていたが、体内の魔力を全く消費せず魔法を展開しておる。体外から魔力を得ておる。」

「あん?魔術がいくら珍しいからって、別にいても不思議じゃねえだろ。」

「いやあれは、魔導だ。全く体内の魔力を使ってない。だから魔法があんなに不安定で弱いものしか撃てないのじゃ。報告では少し前までしっかりと魔術を使えていたのに。」

「それが何だよ、ニコルがもういない以上止めをさすだけだろ。」

「うむ、だから厄介な回復薬を封じた。あの結界の中には、今ある魔力を常に結界が吸収しておる。ゆえにアイテムボックスも使えないし、どうやら身体能力もかなり低下してるみたいだ。しかし、体内の魔力になにが起きてるかは分からないが、嫌な予感がする。お前の魔法は通るから早く止めをさせ。」

「やだよぉ〜楽しましてもらうよぉ〜。」


出れない、力も弱いし魔術も撃てない。

突然私の下の土が槍のように尖り、私の太ももに突き刺さる。痛みで気が失いそうになるが、もう1本もう1本と、刺され気を失う事も座り込む事も出来ない。はぁ〜これでおしまいだね。ニコルさんも死んじゃったかなぁ、ごめんなさい。豆ちゃんはちゃんと助けてくれるかなぁ、確認しようと言葉を発しようと思うが、出てくるのは血ばかりだ。


「さく姉〜!」


あぁ、豆ちゃんの声が聞こえる、気が付いたのかなぁ。私は顔を向けると、お腹に手を当てながらも、必死で私の事を呼んでる。


「お姉ちゃ〜んは、いなくならないって言ったじゃないか!嘘つかないでよ!」


そんな事言うけどさぁ、こりゃ無理だよ。それよりお腹痛いのかなぁ。あぁ私が殴ったんだっけ?でもまぁ殺さないよね、約束だもん。


「おいおい、なに満足そうに死のうと思ってる?お前忘れてないか?俺が約束したのはお前が1人で俺逹とやる約束だったよなぁ?ニコル手伝ってきたって事は、お前が約束破ったんだよなぁ?じゃあしょうがない、本当は殺したくないけどあのチビ殺さなきゃなぁ。」

「何、バカな事を言っておる!早く殺せ!」

「うるせぇぞじじぃ、あんな満足そうな顔した奴殺して何が面白いんだよ。」


何言ってるんだこいつ、憎い、私はもう死ぬ、それで満足じゃなかったのか、殺す、約束、何の約束?だれとしたっけ、あぁ、遠くで豆ちゃんの声が聞こえる、もうすぐ豆ちゃんもやっぱり死んじゃうの?あぁ力が欲しいなぁ、なんでうまく魔術使えなくなったんだろ、


「お、いい顔してるじゃねえか、お前はもう死ね。」


私が死ぬ前に聞いた音は、種の割れる音だった。



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