34 それぞれの思惑
これで、3章終わります。
ほんとはもっと、可愛い豆ちゃんを書きたかったですが、自分の実力不足が嘆かわしいです。
ギルドの受付嬢は、基本的には容姿で選ばれる。女性一般職では花形職だ。給料もいい。ただ私の場合は、少々違う。元A級冒険者だ。『豪腕のニコル』なんても言われてた。女ながら、身体強化で強化した腕力で、力任せに両手斧を振り回す戦い方が有名だった。だけどほんとの力は、右目の魔眼なんだけどね。それを知っているのは、数人しかいない。自分で言うのもなんだが私達みたいに、元々一流冒険者の中には、その力を買われて、ギルドの職員になることもある。特に私は容姿も優れていたこともあり、受付嬢になった。。
そんな私の任務は、下級ギルドに来る、将来性のありそうな優秀の冒険者や、異能の力を持った冒険者をギルドに報告し、道を外させないようにすること。なので、普通の冒険者は他のギルド嬢の受付に行ってもらう。私が担当するのは、初めてこの街に来た子や、特別な人のみだ。優秀な子はたまに来るが、まさかあんな子が来るなんて。
「あ、えと、巫女しかなかったから巫女にしました。」
まさか、まだ10代半ばに見える子が、こんな事を言うなんて思わなかった。約500年前、万能神アポネシア様がいなくなったときに作られたと言われている、鑑定水晶。その人が習得できるであろう、『ジョブ』が見えて、取得までさせれる水晶。各国が調査の為、様々なジョブを持った人間が調べたが、何一つ分からず、傷一つつけれなかった水晶。
その水晶と一緒に、ギルドに伝承されている事。それは最高機密、もし誰かに話したら、一族もろとも極刑。その伝承とは、いつかアポネシア様が再び現れる時にでると言われてるジョブ『巫女』と『神殺し』。どんなふうに現れるか謎だが、必ず対になって現れるため、桜ちゃんが、巫女になったという事は、どこかで神殺しも生まれたということ。もちろんギルドでも報告して、ギルド会議で決まった事は、監視。監視チームは、ギルドの隠密部隊の最高峰『暗』だ。ランクA以上のみで構成される部隊。そして、特別監視役に私だ。
暗の報告では、見たことのない魔法や、アイテムを作成する能力があるみたいだ。また、Dランクになったばかりの女の子が、人を守りながら、多分何らかの、『呪い持ち』と思われる、キュクロプスを倒したみたい。監視についてた、暗の一人が「あんな化け物と関わりたくない」と、部隊の仲間に言い残し翌日、行方をくらました。
また、ずっと一緒にいる、マメリコル。この子も監視対象だ。流石に暗ではなく『夜犬』が監視をしていたみたい。ギルドの調査ではほぼ、『ドンコの町の忌み子』だということ。オークキング達の襲撃にあい、潰れた街の生き残り。それがどうして、マレポのスラムに住んでいるのか、わからない。秘密裏に、催眠魔法でかけてもわかんなかったみたいだ。
そのマメリコルを、スラムのバカが手を出す事件が起きた。夜犬の監視対象になっていたはずだが、泳がせるためにわざとほっておいたみたいだ。私が桜ちゃんを見つけたときは、犯人を殺そうとしていたところ。可視化するほどの魔力を、涼しい顔で練っていたのは、確かに化け物じみてる。それでも私の話は聞いてくれる耳は持ってたみたいで安心した。その後の報告では、完全に脚が欠損していたはずなのに、光の球体に包まれたあと、球体がなくなたときには、完全に治ってたみたい。そして、マメリコルの右足首に、突然現れた『神々の騎士』を表す、聖紋。
最後に『ホンジョウ・サクラ』を殺せるかは、今の段階では殺すことは可能。
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暗い部屋。高い椅子に座る男が一人。
低い位置で跪く男が二人。
「ザキオン様、言われたとおりヒスリ洞窟の、厄災の種を埋め込んだキュクロプスは、討伐されてたみたいです。ただ、別に討伐されるのはよくあることでは?」
「馬鹿、スイお前がザキオン様に意見を述べるなんて1000年早い。すみませんザキオン様、まだこの男、生まれて50年もたっていないので。」
「別にいいよ、そんなこと。堅苦しいなぁ~。」
椅子に座る男は、にたにた笑っている。見た目の年は一番若いはずなのに、跪く男達の顔には、怯えと尊敬の表情が浮かんでいる。
「あのね、スイ。厄災の種て、何か知ってるの?」
「はい、魔物などの力を増幅させるものだということは聞いています。」
「う~ん、ちょっと違うかなぁ~。」
「バル、教えてあげな。」
「はっ、厄災の種とは、ザキオン様の魔力で生み出された、魔法で魔物の本能を食べ、埋めつけられた者に、負の力を加える魔法です。」
「まぁ、ちょっと違うけど、そんなもんね。これをさぁ、知識あるものに与えると、楽しいんだよね~♪まぁそれはさておき、キュクロプスだっけ?その魔物、普通の殺され方じゃないよ。厄災の種、まぁやっぱり馬鹿な魔物だから育たなかったけど、殺される前に解除されてたんだよねぇ~。しかもね、文字通り、厄災の種食べられっちゃたと思う。おかげで、ふふ。その子と魔力の糸で繋がっちゃたもんね。まるで運命の糸だよ。わかる?スイ」
「は、はぁ。」
「まぁ、君じゃあ無理だよね~。それにバル覚えてる?使い魔のなんだっけあれ、ほら、なんかドンコとかいう街を襲って遊んでたとき使ってたやつ。」
「はっ、オークキングだと思います。」
「あ~そうそう、視覚共有で見てたでしょ?あのちっこい女の子。すっごいい良い目をしてたよねぇ~♪まるで、世界を殺すような目♪その子に埋めたよね、厄災の種。それもねぇ~最近なくなっちゃたね。せっかく左足に埋め込んでおいたのにねぇ♪知恵あるものに埋め込むと楽しいよねぇ~♪憎しみや殺意を育てちゃうんだもん♪でも、外されっちゃたんだァ。はぁ~あ壊れたおもちゃはちゃんと捨てないとねぇ~。だけど…… もしあの種除去できるのは、アポネシアしかいないと思うけど…… どう思う、スイ?」
「ふぇ、アポネシアですか?あの忌々しいアマは、我らが神デュラメル様が、封印したはずでは?そんな雑魚がいまごろですか?」
「ば、ばかやめろ、口を慎め。す、すいませんザキオん様ほんとに何も知らなくて。」
「いや、いいよ~」
残酷そうな笑みを浮かべた男は椅子からたち、スイと呼ばれてた男の口に手を入れる。
「いいよ、バルこの子もうすぐ死んじゃうから~☆」
スイは必死で、口の中に入れた手を抜き取ろうとしたり、噛みちぎろうとしているが、微動だにしない。
手から口の奥に、魔力の流れを感じると思ったら、お腹に激痛が走る。口に入ってたては抜けられ、地面に倒れ込む。
「僕の作った、スモールアントを埋め込んどいた。あぁ~何日もかけて体の中から食い殺すんだよぉ~。痛いのかなぁ?、だけどダメじゃないバル、僕が、デュラメル様の使いて言わなきゃ。その思い人の、あ、思い神かな?その、アポネシア様のこと悪く言っちゃったらね~。」
「はい、すいません。」
「まぁいいやぁ~。壊れたおもちゃも気になるし、僕の種外した子も気になるね~。あぁ~これだから、人属はおもしろいね~♪あ、そのゴミ片付けといて☆ちょっと気分がいいかな眠るよ~。」
「はい!わかりました。」
ベルは、ザキオン様の気まぐれで自分の命が助かったことに感謝して、その原因を作った、スイを忌々しい目で見つめる。
「助けてくれよ、父さん、腹がいてぇよ。」
助けを求めるスイを、無視して部屋の外へ連れていき、亡者の森に捨ててきた。
敬愛するザキオン様が、興味をもった人間が出てくることなど、まさにアポネシアが消えて以来無い事だ。まさかとは思うけど…… アポネシアの使いが現れたなんてことはあるのだろうか。




