24 洞窟の中に入ったよ~
東門でマメリコルちゃんと合流する。
豆ちゃんは、背中に背負子をしょって、ボロボロのピッケルや
「あ、ごめん待った?マメりコルちゃん、重そうな荷物ね。あ、マメリコルじゃあ長いから、豆ちゃんて呼んでもいい?私の事は、桜ちゃんでも桜姉ちゃんでも、サク姉でもなんでもいいよ!」
「あ、豆ちゃんで大丈夫ですよ、桜さん。」
「むぅ、桜さんて…… まぁ別にいいけど、あ!豆ちゃん荷物重そうね?アイテムポーチあるけど入れる?」
「え!桜さんアイテムポーチ持ちなんですか?あ、でもいいです、自分の荷物は自分で持ちます。」
アイテムポーチくらいは言ってもいいよね。迷宮とかで取れるみたいだし。だけど、豆ちゃんに断られたなぁ。もしかしたら、人に荷物をあずけるの不安なのかなぁ?まぁポーチくらいなくされても、すぐ作れそうだから、ポーチをあずけよう。
「じゃあ豆ちゃんこれ渡すから、使って。」
「え?いいんですか?」
「いいよいいよ、使って使って♫」
「はぁ…… ありがとうございます。」
しぶしぶながら、アイテムポーチを手に取り、おそるおそる、ポーチに物を入れていた。
重さが変わらないのが不思議なのか、持ち上げたりブンブンふったりしてる。なんだかんだでこういう所は子供っぽくてかわいいね。
「ヒスリ洞窟はこっちなんで行きましょう。」
「あーい。」
いやぁ、脳筋バカのアレンと違い、やっぱり女の子はかわいいね。レズじゃないよ。可愛いモノが好きなだけだからね。少しづつでも、まめちゃんと仲良くなりたいね。しかし、豆ちゃんなんか左足をひきずっている感じがする。
「ところで、豆ちゃんのジョブは何?私は巫女。」
「あ、私は無職です。だから、採掘・採集がメインです。」
「そーなんだ、豆ちゃん剥ぎ取りも得意でしょ?剥ぎ取りはしないの?」
「…… なんで知ってるんです?」
え?なんて目をしてるの?歩を止めた、豆ちゃんは私の方をしっかり向き、私の一護一句を見逃さないように、私を見つめた。
「あ、ごめん。鑑定で見たの。気に障ったなら謝る。」
「あ、その赤い眼は、魔眼ですもんね。剥ぎ取りをするためには、ナイフが必要です。私達スラム出身には、普段の生活で食べるのも精一杯ですし、そんなもの持ってないです。」
「そーなんだ、じゃあこれあげる。豆ちゃんを怖がらせた、お詫びだと思って。」
私はそう言って、今朝作ったバシリスクのナイフを渡した。
豆ちゃんは、受け取ったあと一瞬戸惑ったが、大切そうにポーチにしまい込んだ。
手に持ったとき、僅かながら豆ちゃんの目に、魔力が宿るのを感じた。きっと冒険者の加護についてる、アイテム鑑定使ったのかな?あれでも、ジョブもなく、前、鑑定した時は、無かったと思ったけど、まぁ私の『相手をチラ見』だから、ちゃんと鑑定できなくてもしょうがないっか。足をひきずっていることや、ジョブがないことはとても聞ける雰囲気ではなかった。
微妙な空気が流れる中歩き続け、体感的には30分くらいで、ヒスリ洞窟についた。
そのまま、ヒスリ洞窟につき中に入ると、意外と明るい。光苔のおかげらしい。
しかし周りを見ると、豆ちゃん達位の子供たちが一所懸命掘っている。ピッケルを持っている子は数人で、スコップやただの鉄の棒、酷い子なんて、気の棒や手で掘っている子もいる。
「あんな小さい子も来てるんだね。道具はないのかな…… 」
「1階層には、魔物が出ないんです。なので私達スラムの子達が、通ったりしてますね。自分の食い扶持は自分で稼ぐしかないですから、桜さんみたいに、ポンと人にあげれる貴族様には分からないでしょうけど、ここの子にピッケルを配っても、キリないですよ。街にはまだたくさん子供もいるんですし、結局自分で勝ち抜くしかないんですから。」
「あぁ、そうなの…… ごめんね」
貴族じゃないなんて、否定してもしょうがないし、なんか日本人の感覚だとやっぱり、いろいろ考えてしまう。確かに、今いる子達に、ピッケルとかをアイテム作成で作ってもきりがないね。はぁ~気分が暗くなるね。
「あの!桜さん、あそこの下につながってる通路の前にいる兵士さんに、ギルドカード見せてもらってもいいですか?Dランク冒険者が同伴じゃないと下に降りれないんです。」
「OK~まかせて!やっと私の出番ね!」
空元気で明るく返事をした。兵士さんにカードを渡すと、すんなりと通してくれた。いやぁ~テンプレみたく、意地悪な兵士さんなんていないいんだね。
「2階はあまり人いないんだね。」
「はい、普通のDランクの冒険者は、もっと稼ぎがいい魔物討伐をするので、実際ここにいるDランクの方は、ケガなどで引退したり、パーティーに恵まれて、Dランクになった方ばかりなので、実際は戦える人はあまりいませんね。もっと人がこないところまで、行きましょう。」
そういうと、ずんずん豆ちゃんは進んでいく。道幅は狭く、足場も滑る。確かにこっちは人がいないはずだ。大柄な大人は、ここにはこれなさそうだ。
だけど、豆ちゃんの足取りが怪しい。元々左足を引きずっているくらいだから、心配だ。悪いことの予感は的中した。足下の岩をよけようと豆ちゃんは、体重を移動したとき、足を滑らせ、崖下にそのまま落ちていってしまった。多分3階層まで行ってしまったようだ。下の階層に行けば行くほど、魔物は巨大で強くなるという話だ。私も急いで豆ちゃんの後を追う。豆ちゃんの前には、大きな一つ目の巨人がいる。
こちらに注目させるため、巨人に向けて、オリジナル魔法『風のトンカチ』をぶつけた。
キュクロプス
桜と同等の力
身体強化
装備の差や、スキルは考慮しないらしいけど、初めて私と同等の力を持っている相手だ。
しかも今回は豆ちゃんを守っての状況だ。




