15 バシリスク退治
結果的には、私がバシリスクと、一番近い距離にいる人間になってしまったようだ。
アレンに、あいつの石化攻撃はどんなんなのと聞いたが、あまりに一瞬のことで分かんなかったみたいだ。
牙で噛まれたりしたわけじゃないのだから、不可視のガス・もしくは魔眼などの呪い系の一種なのかもしれない。
結局わからないけど、やっぱり怖いのは石化攻撃だから、闇の精霊・光の精霊に頼み、闇の精霊にはガスや呪いなどは、闇の力で吸収封印してもらい、光の精霊には、万が一に備え、私やアレン・そして後ろにいる村人も含めて広範囲で、常に癒しの光を浴びせておく。回復薬をもらっていない村人も、怪我が癒え、驚いているようだ。その辺の説明はアレンに任せておこう。
バシリスク
桜より弱い
スキル 石化#%$$&%
う~ん、肝心な石化の後ろが読めない!なんだよコレ!まぁ私より弱いんだね!ここは私がやろう。
「アレン!あいつは私がやるからアレンは村人を!」
「お、おぅ、後ろの人は任せろ。だけどほんとに一人で大丈夫か、そもそも倒せるのか…… 」
闇属性の球体をバリアのように私を中心に、約半径3メートルほど広げる。バシリスクも私を敵と認識したようだ。まず、村人たちと離れるため、軽く右前に飛び、牽制のつもりで、地面に落ちてる石を投げる。
あぇ…… その石がバシリスクの頭に当り、ぱたっとその場に倒れこんだ。 …… オイオイこんなあっけないのかな?石を投げて、ポコッて当たっただけよ?こいつ、攻撃に特化した、紙装甲じゃないのかな?
「ねえ、アレン?バシリスクって防御力めちゃくちゃ低いんじゃないかな?」
「…… 」
「ねえ!」
「あ、すまん、バシリスクは石化攻撃と高い防御力が特徴のモンスターだ。」
「あ、ソデスカ。」
「あの石は、すごいマジックアイテムがたまたまそこの地面に落ちてたのか?」
「か、かなぁ…… 。」
あまりにあっけなくバシリスクが倒れ、村人達もぽかんとしている。そりゃそうなるか。これも全部アレンに任せよう。
「アレン!私はちょっと魔力を使いすぎたわ。休憩してくるから任せた。」
一言残し、あんまり目立たない建物の影に腰を下ろし、目を瞑りこれからのことを考えた。
う~ん、ここまで規格外だと正直困るよね。今ならわかる。ほりゃ魔女と勘違いするよね。
できれば今日中、遅くても明日にはとりあえず冒険者登録だけはして、この島を出よう。
そこの辺りはアレンに頼み、島を出てから今後の身の振り方を考えよう。
「おぃ、桜起きろ。」
体を揺らされ、起きた。考え事をしていたら、いつの間にか寝てしまったらしい。周りはすっかり暗くなってる。
「避難所までに行く道の途中で、試験官たちの死体があった。多分、山の中で逃げた冒険者も、きっとダメだと思う。村人はみんな無事だ。あと、村で倒した魔物と、バシリスクすべて素材は剥ぎ取っておいたけど、お金にするか、素材のままもらうか決めといてくれ。ほとんど桜が殺したんだから、村人も俺も、全部桜がもらっていいて事で、話はついた。」
なんか頭が寝ぼけてて、あんまり考えれないけど、試験官さんたちは、やっぱりダメだったんだ。
もう少し早く来れてたら、違った結果になったかもだけど、いまさら考えてもしょうがないか。
素材がもらえれるんだ、もらえれるものはもらっておこう。バシリスク以外はお金にかえちゃうのもいいかも、いやよく分からないから珍しいものは残しておこう。
「ありがと、バシリスクと、珍しい素材は残して、あとは売っちゃて欲しいかな。そういえば、エーネの町だけ?そこの冒険者さん達は援軍に来なかったけどなんで?」
「あぁ、基本この島にいる冒険者は兼業で、普段、畑仕事や漁などをしてる人達ばかりで、基本戦闘はせず、採集メインの冒険者ばかりだからな。だから討伐依頼なんかは、こうやって試験にしたり、村人がお金を集めて依頼を出したりする場合がほとんどだ。だけど今までこの島で、こんなに強い魔物は出なかったけどな。素材はあとで、売る奴と希少のものを別けておく。あとで確認してくれ。」
「それと急で悪いんだけど、もう今日は遅いから、明日にでもこの島でれるかなぁ?ちょっと目立ちすぎっちゃたでしょ?」
「あー明日、ちょうど俺達を向いに来る船がそれに乗っていけばいいな。俺はさすがにまだここに残って、後処理をするから、悪いが船は一人で乗ってくれ。その前に、冒険者登録と換金を済ませてから行けばいいな。」
「お二人さん、こんなところにいましたか。ご飯の用意もできましたし、こんな時なので、あまり豪華に出来ないですが、どうか召し上がってください。」
私達は、そのあと村長さんたちに歓迎され、夜遅くまで宴会は続いた。
この島では、死者をともらうのは宴で贈るらしい。
夜も深まり、みんなその場で潰れて眠っていく。
アレンは、まだまだ元気で、村人数人の飲んでいる。…… あいつは明日大丈夫か。まぁやることはやってくれる、信用はある。出会ってからまだ1日しか経っていないけど、まぁ何だかんだでいい奴だったのかもね。異世界に来て一ヶ月、村人さん達も、怖がったりせず、楽しく話しかけてくれて、ホッとした。
明日も私はこの島を出るけど、船が向かう先は、冒険者ギルド本部がある冒険者の街、『マレポの町』らしい。そこから私はどう生きるか全く決めてないけど、精一杯頑張ろう。




