雑記02「Falldown from Out of Control」
自分の感性(感情?)を、全力で作品に叩きつけてみましょう。
少女――制服姿。
少女――ビルの上。
少女――屋上の突端。
少女――これ以上ないくらいに、真剣な表情。
少女――これ以上ないくらいに、悲壮な表情。
少女――手には筒。
筒――卒業証書入れ。
少女――唇を噛む。
少女――飛翔。
少女――ビルの上から。
少女――9.8Km/h2で加速。
少女――比類なき落下。
少女――これまでの人生で最も興奮している脳が、過去数か月の記憶をまさぐる。
今日高校を卒業した私は、死ななければならない。
理由は、自分の中から湧き上がってくる、どうしようもない、焦燥感。
自分の中にある何か途轍もないものが、私に囁くのだ。高校を卒業した今、このままでいいのか、と。
私にとって、高校からの卒業は、何か大きなターニングポイントのように感じられた。
同時に、それを意識するたびに、自分の中から湧き上がって来るのだ。どうしようもない、焦燥感が。
いや、それは、焦燥感なんてものではない。何ものにも例えようもない、もっとドロドロとした感情だ。
このままでは、いけない。今すぐに、何かを成し遂げなければ、自分は死ぬのではないかという訳の分からない感情が、自分の奥底から噴出して、私の身を焦がすのだ。
それは、発散しようのない感情。
どうしようもなく、コントロール不能な感情。
でも、私には、それをどうしたらいいのか分からない。クラスの他の人たちは、みんなこの感情をコントロールしている。あるいは、こんな感情なんかなくても、当たり前に何かを成し遂げている。
ゲームを作りたいという者、医者になりたいという者、弁護士になりたいという者、公務員になりたいという者、自動車の設計者になりたいという者。
それぞれが、何かを成し遂げていく。
でも、私は、失敗した。何かをしなければならないと言う焦りだけはあるものの、どうしようもない。
何かを成さなければ、私は死ぬという予感。
大学には、合格った。人が聞けば、それなりに羨む学校だ。でも、それでは、ダメだった。私の中のこの焦燥は、消えてくれなかった。
毎晩毎日、勝手に昂っていく交感神経にうなされる。何でもいいからこの感情を解放しないと、死んでしまう。
でも、この感情のコントロールに失敗した私には、解放する術なんか、分からない。どうして私は、この感情をどうにかしようと努力してこなかったのだろうか? いや、過去の自分を呪っても、仕方がない。
解放するんだ。失敗した私にふさわしいやり方で。
どうせなら、落下が良い。
いかにもエネルギーの開放と言う感じがするし、何よりも、失敗した私には、ふさわしい。
失敗と言う単語は、私の中で、落下のイメージと別ち難く結びついている。
だから私は飛ぶのだ。落ちる為に。
エネルギーを、解放するために。
少女――飛翔
飛翔――比類なき落下。
少女――これまでにないほど昂る脳。
少女――これまでにないほど昂る交感神経。
少女――これまでにないほど昂る感情。
少女――かつてないほどに内圧が高まっていることを自覚。
少女――加速。
加速――9.8km/h2
加速――終焉に向かって。
加速――落下。
落下――劇終!
本当はこれを書くつもりはなかったのですが、冲方丁さんの「黒い季節」を写経しているうちに、段々とムカついて来たの書きなぐり。
丁度いいので、感性を叩きつける練習をしてみました。
何にも考えずに感性ダダ洩れさせてみて、自分の中で冲方丁大先生の影響が大きすぎることを発見しました。
どうでもいいですけど、FAlldownは、完全な造語です。
追記
何か所かルビを乗せ忘れてました。