いきなりの怒り爆発
僕と祐介は宅配ケーキを食べながら
携帯住宅がいかにすごいかについて
トークしていた。
会話の内容は主に僕がタブレットを
いじりながら自動的にお風呂を沸かしたり
自動的に和室を洋室に変えたり
家中のすべての鍵をタッチパネル操作一つで
閉めてみたり、
一日の食費、電気代、電話代、ガス代等を
スクリーンに表示させたりとありとあらゆることを
やってみせて、祐介がうらやましがるといった内容だった。
祐介が心底僕の住宅に憧れていて
僕はつい調子に乗ってあるセリフを吐いてしまった。
それが普段温和な祐介の逆鱗に触れたらしい。
祐介は人格が変わったように怒り狂ったのだった。
それは僕が言ったこのセリフだった。
「まあ、祐介。うちの父親は昔から努力を欠かさずに
ひたすらがむしゃらに仕事をして、そしてトップの座に
上り詰めたんだ。僕自身も心から尊敬している。
祐介、君の家はやはり不幸と言わざるを得ない。一家の
大黒柱たる父親が『うつ病』になってしまったことが
すべての原因で今、生活保護にまで追いやられているんだからね。
だいたいうつ病なんていうのは努力をしない軟弱な人間がなる病気
だからね。まあシビアな言い方だけど弱い人間の病気、いや、病気
なんていうこと自体がそもそも…」
次の瞬間、祐介は暗闇からねずみを狙う山猫のような目で
「…もういちど言ってみろ」といい、
「え?」と聞き返すとテーブルを両手のこぶしで思い切り叩き、
紅茶をひっくり返し、「もういちど言ってみろ!!てめえ、
こっちが黙って聞いてりゃあいい気になりやがってええ!!」
と今まで聞いたこともないようなケモノのような声を出したのであった。