自慢話が最悪の結果に・・・
作者にとっても実験的な作品です。この先どうなるかは作者もよくわかってません。まあ気楽に読んでください。
たしかに僕も悪かったと思っている。
生活保護世帯の友人を自慢の我が家に連れてきたことから
すべてが始まった。
僕の家は今世間を騒がせている「携帯住宅」である。
今更ながら説明すると2018年度から始まったこの携帯住宅は
iPadやスマホのような形のパネル一つで家庭内のあらゆることが
できてしまうというスグレモノだった。
このシステムは高額のためまだまだ普及はしていなかった。
そのことを知ってて僕は秋晴れの爽やかなある日のこと、
たまたま家に呼んだ友人に
ついつい自慢するような口調で話してしまったのだった。
生活保護世帯のその友人、祐介は最初こそ笑顔で羨ましそうな
顔で聞いていたが、やがて僕の話がヒートアップするにつれて
野良猫のような表情になってきたのであった。
「すごいだろう、それとさ、このタブレット一つで
こんなこともできるんだぜ!」
僕はタッチパネルの「台所」のアイコンを押した。
すると台所の洗面器の中に入っていた多くの皿が
自動洗浄機の中から出てきた手形のノズルによって
次々と掴まれて洗剤がつけられ、洗浄機の中で洗われて、
その後強風で乾燥させられると食器棚から回転寿司のレール
のようなものが伸び、そこに乗せられ、すべての皿は食器棚に
収められた。
「す、すげえ…」
「ふふん、すごいだろう、家事なんてまったくしなくていいから
母親はその間趣味のカルチャースクールに通えるし、最近すごく
若くなったって羨ましがられているんだぜ。あとさ、これなんて
どうだ?」
僕はタッチパネルの「映画」のところを押した。
すると室内のカーテンが全て閉まり、天井から白い巨大スクリーンが
下まで下がってきて、映画の選択画面が現れた。
「ナナと火の王女」
僕がそういうと大画面にはまさに今映画館で公開されたばかりの最新の映画が
メガネもかけてないのに3D画面で始まった。
「ひえええええ、凄すぎる…」
僕は映画を止め、さらに自慢する。
「これなんてどうだ?」
タッチパネルの中の「冬」を選ぶ。