五話 戦友
<行けkaito!時間は稼いでやる>
<ふざけるな!!いくらお前でも一人でこの数は無理だ。俺も残る>
<舐めるんじゃねぇぞ、俺は腐っても英雄だ。このくらい朝飯前どころか食前酒にもならん。お前はお前のすべき事をしろ。……レディを待たせるもんじゃねぇぞ>
<………必ず……生き残れよ…>
<ハッ、お前こそ飛鳥に殺されるなよ。助けに行った姫さんにシバかれて殺された勇者なんて、笑い話にもならねぇぞ>
<言ってろ脳筋バカ。……済まない。またな…>
<へっ、しみったれた事ほざく前にさっさ行け!!戦友!!>
<任せたぞ!!!>
…………………………。
<ようやく行きやがったか、あのバカ野郎。………そうゆう訳だ悪いがこっから先には行かせねぇぞ。貴様等が相手にするのは不動明王の男。命を賭してかかってこい!!!>
敵は万こちらは一。それでも引けねぇ。あの最低の戦友にしてやれる最初で最後の恩返し。テメェの命ぐれえ安いもんだ
<ハアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!>
行け、相棒。テメェはテメェのやるべき事をやれ。たとえ腕がなくなろうと足が千切れようと、喉元に噛みついてでもここで食い止めてやる。だから、テメェは…………
★☆★☆
「…………嫌なもん……思い出しちまったな…」
眠りから覚めたばかりの余り廻らない頭でも、それがどんな夢だったかぐらいは思い出せた。夢よりも忠実つ鮮明な過去ともいえるものは、最悪の部類に入るものであり当然気分が良いとはいえない。今朝にしろ今にしろ、急に過去のことを思い出すようになりやがった。一体なんだってんだ。死んだ連中ばかり出てきやがって。
「お、気が付いたみたいだな。どうだ気分は?切り裂かれた首は元にくっ付けといたが違和感はないか?」
金髪青眼の男が俺を見下ろしてきた。どこかで見た顔だと記憶を探ると、麗佳に首を切られた時に治療した男だ。
「また世話になったみたいだな」
「いいってことよ」
照れくさ気に頬を掻くと、手を差し伸べてきた。有難いと手を借り、起き上がると薫里によって灰に変わっていた草花が元の青々とした姿に戻っていた。どうせコイツが元に戻したのだろう…
「あ、魁斗。気が付いたか!」
「よかった」
「掻っ捌いた奴が心配する意味が分からん。心配するぐれぇならハナから切るんじゃねぇよ」
「まあそんなに言ってあげない方がいいよ、斬島くん」
男と同じ金髪ショートと頭の軽そうな女が随分親しげによってきて、興味あり気な視線で人を見上げてきやがる。おお、丁度殴り易そうな所に頭が…。俺が血管を浮かせたのにすぐ気づいたのだろう「冗談だよ、冗談♪」と、小さな舌を出しながら間合いの外に逃げた。
「誰だよお前。後のお前も」
「命の恩人にお前は酷いなそれに名前を聞くときは自分から言うのがマナーって、ボクは知ってるから意味無いか。ボクは長谷川恋ってゆうんだ♪よろしくね」
「俺は長谷川凱よろしくな主席殿」
「誰が主席だって?」
「?聞いてない……よな。最高成績のお前が主席なんだとよ。よかったな」
「なら、そのバカにしたような笑みは止めろ。無性に腹が立つ」
「あ~諦めた方がいいよ魁ッチ。兄貴は外骨格並に笑顔を絶やさないから」
「誰が魁ッチだって!」
「すごいな恋は。魁斗にあだ名を付けるなんて」
「真似できない」
「それ言ったらキミ達はもっとすごいよ。苗字どころか名前で呼ぶなんてねぇ魁斗くん」
「おい、長谷川兄。気持ち悪りぃ呼び方すんじゃねぇよ。殺すぞ」
「ハハハ、怖い怖い。斬島はホントおっかないな」
「恐ろしいのは貴方たちの方」
麗佳の凛とした声に全員が黙った。冷たく冷静に長谷川凱を睨みつけ、再び口を開く。
「私は貴方の事をよく知っている。<再生屋>これが貴方の通り名」
一瞬外骨格と言われた凱の笑顔が崩れた。睨み付けるように麗佳を見るとすぐに元の笑顔に戻る。再生屋……どこかで聞いた事があるな
「これはこれは、学年次席の七野瀬さんに名前を知られているとは光栄だ」
「なぜ貴方たちがここに…」
「まあ、俺たちも学生だしね。学校ぐらい通うよ」
「味方と考えていいの?」
「お好きなようにとしか言えませんね。俺達はあくまで<学生>ですから」
「そう……魁斗を助けてくれてありがとう」
「別に気にしなくていい、あのままだと命に関わっていたからな。それじゃ俺達は帰ります……」
「あの!良かったら一緒にお昼にしませんか?」
「賛成~!!いいでしょ、兄貴。どうせ教室もなんか居づらいし」
「恋、お前少しはその場の流れってもんを…」
「気にしなくていい。敵じゃないなら仲良くしたい」
「っても、斬島はどうなんだ?」
なぜそこで俺に振ってくるんだよ。テメェ、今絶対ぇメンドクセェから俺に話し廻しやがったろ。待てよ、この男うまく使えば役立つぞ。
「おい長谷川兄、お前確か治療系の魔聖具だよな?」
「ん?まあそうだけど…」
「なら、七野瀬の奴に妊娠について詳しく、ハッキリと教えてやってくれ!!」
「近い怖い近い怖い!!ま、まあ構わないケド…………斬島……ヤッチャたのか」
「長谷川兄、………斬り落とされるなら腕と脚、どっちがいい?今なら特別に首もいけるが、どうする?」
「スマン、ジョウダンダ。ジョウダンダカライノチダケハオタスケヲ」
「分かったなら頼んだぞ。俺の命に関わる」
流石に首ぶった切られるのはもうゴメンだと、ボヤくと「苦労しているね。お疲れ」だとよ。マジで体の一部切り取ってやろうか、この野郎………。
「Oh, come to think of it.Greeting I was still(ああ、そういえば挨拶がまだだったね)」
「No way,...... you too?(まさか…テメェもか)」
「Yes, had to be assigned to your unit of today is "liar"(はい、本日付けであなたの部隊に配属されることになった”嘘つき”です)」
「Or that Yu so.Is that old geezer, I apparently can not be peace of mind when I do not put a collar apparently(そうゆう事か。どうやらあのクソジジイは、首輪を付けとかないと安心できないらしいな)」
「It is unfortunate, but I also like with you.Are deprived as a hostage sister(生憎ですが、僕も貴方と同類ですよ。妹を人質に取られている)」
「It's made things enough, a wicked old man is likely to(成る程な、性悪な爺がしそうな事だ)」
「Did you able to understand?I're among people that incorrigible help but I'll shake the tail to him...... I mean fellow(分かってもらえましたか?俺達はアイツに尻尾を振らわざるおえない者同士……仲間ってわけだ)」
「So what you do you want to do?(それで、お前は何をしようってんだ)」
「....It's freedom from him(……アイツからの解放だ)」
「That's impossible. Maybe you should give up(無理だな。諦めろ)」
「!?You did not know it if you do not try right! !(!?やってみなければ分からないだろうが!!)」
胸倉を掴み怒鳴りつけてきた。真っ直ぐな目をしてやがる。こっち側にまだこんな奴がいたのか。
「It's ...... a try.This means that you you going endangering sister for the(やってみる……だと。ならテメェはその為に妹を危険に晒すつもりか)」
「It ...(それは…)」
「Would have known.I do not can only be kept.... At that time ... until there is(分かったろう。飼われるしかねぇんだよ。…その時が来るまで……)」
「...... At that time ...(…その時……)」
いつか来る時を待て、”嘘つき”。俺達にはそれしかできねぇんだよ。
「Welcome,To the workplace, such motherfucker.Government direct Division third special platoon I welcome you.Let's hear one,you are fighting for what?(ようこそ、くそったれな職場へ。政府直課第3特殊小隊はキミを歓迎する。一つ聞こう、君は何のために戦う?)」
「I,for the sisters(俺は、妹の為に)」
「It's a good answer.Well, that guy die to say so to enter dozens and dozens.Not you die(いい答えだ。まあ、そう言って死ぬ奴はごまんといる。死ぬんじゃねぇぞ)」
「I know,Bos.You used your, please care of their own.I does not make sense at that time that you say is to come up, When you're dead.The fate of our brothers and sisters is I've been riding in the back of you(分かっているさ、大将。アンタは自分の心配をしな。アンタが言うその時が来るまでにアンタが死んでんじゃ意味がねぇんだ。アンタの背中には俺達兄妹の運命が乗ってるんだぜ)」
「Hun, rookie cheeky.Let me grow as quickly as is left back(フン、新人が生意気な。背中預けれるようにとっとと成長しろ)」
「「Han!!(フン!!)」」
固く握手を交わす。同じ飼い犬同士の友情。人は金で飼える。獣は忠誠で飼える。 しかし皮肉か、鎖で繋がれた狂犬ほど手に付けれないものはない。上は知っているのか。……内に潜めた牙の鋭さと、その執念を……。たかが二人の人間に世界をひっくり返す程の力があることを。
「なんだか、友情が生まれたようだぞ」
「う~ん、何話してるかわかんないけど。あんな兄貴久しぶりだね」
「やっぱり、ああしてる魁斗が一番カッコイイ」
「重症なんだね。レイレイ」
「それにしても、何時まで手を繋いだままのつもりだ」
何やら熱い男共の空気に着いていけない女子たち。知らぬが仏・言わぬが花とは言うが、どうなのだろう。自分たちの為に話していた事を知らずに、痺れを切らした姫宮に弁当で殴られるのも時間の問題だろう。もっとも殴られた魁斗は<平和な事だな>と、一人感傷に浸るであろうが…。