五。
胸が張り裂けそうな思いだった。
私は、度々この様な思いに支配されていた。
それは、悲しみや疚しさから来るものではなく、孤立や孤独、世界と自分の間にあるモノの中にあるモノだった。
誤解と言うより不理解。
もとより、人は人を真に理解する事など無い。
それが自身に向けたものでさえも、それは、ない。
私は、そんな当たり前の事実にさえうんざりするのだ。
躓き、落ち込む。
存在しない問題に、誰かが勝手に入って来て、事が生じる。
意味などないのに。
もう、私に構わないでくれ。
何度も何度も、私は人に言っている。だけど、私は孤独を何が何でも誤魔化したい。
この二つは、決して折り合わない。
答えなどない。
意味などない。
ふと、私は頭のイかれた母を見ていた。
私は何も悪くない。
それは真実なのだろう。
だけど、私も悪いところがあったのだ。
それも、また真実なのだ。
不思議な矛盾と共存している人達は、少なからずとも社会から浮いているものだ。
母も然り。私も然り。
違いは?
公に、潔く、私は頭がオカシイのよ?と言う。
だから、私に逆らうなんて馬鹿げている。とも言う。
一方、こそこそと、女々しく、自分を極限まで押し殺し、酸欠状態で、社会に溶け込んでいる。
普通だと思わせて生きている。
考えたら考えたで、どちらも地獄だった。
少しだけ、自分という存在の抹消を考える事にした。
それでも、明日は笑って社会を回すのだろう。