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三。
家を飛び出した。
耐えられなかった。
そこには慣れなどは存在せず、諦めだけが唯一の現状維持。
だけど、私は母に恨みなど無いのだ。
弟にもそれは関係ない。
やり場の無い思いは、膨れ上がる一方で、逃げなければ自分の人格が壊れてしまうと思った。
外に居場所を作らねば、と考えた私の結論は、年を偽ってでも土木屋に潜り込み、日銭を稼ぐといったものだった。
14歳で仕事とタバコを覚えた。
15で女を覚えた。
16でギャンブルを覚えた。
17で暴力団と関わりを持ってしまった。
いつの間にか、青い空なんて何処にも見当たらなかった。
自分が嫌で、女を抱いた。
自分が嫌で、人を陥れた。
自分が嫌で、金を使った。
そして、悪魔と呼ばれた。
「でもね、仕方ないんだよ?僕はこうして人を喰わないと、生きて行けないんだから」と自分を正当化しながら。
人を喰った。
その為に手に入れたモノとは、皮肉にも、どこまでも広がる青い空の様な外柄だった。
みんなが周りに拠ってくるようになった。
真っ赤な内面に気付かずに――。