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二。
青い空が真っ赤に染まった。
そうではない。私の目の前が赤く、無慈悲に変化したのだ。
孤独と忍耐の末に辿り着いたのは、広がる空ではなく、赤い点々、線、点線。
己をからう不良と呼ばれる人種を殴り飛ばしていた。
制服に憑いたシミがそれだった。
次の日から、自分も不良と呼ばれた。
世間的に見ると、否定は出来なかった。
家が貧乏で、母は発作を起こして三者面談もまかり通らず、弟の送り迎えの為、部活も辞めて、毎日遅刻して学校に来る。不良を殴り飛ばす。
立派な不良だ。
それからは、喧嘩が続いた。タイマンが好きな奴、武器を振り回す奴、大人数で襲ってくる奴等。煩わしかった。
そして本当は、怖かった。
必死に自分を守る為、拳を振り回し、なんとか全てを退けた時、自分が真っ赤な事に気が付いた。
笑える。あんなにも、青い空を目指した自分が、その時必死に生きた結果が、青ではなく、赤なのだ。
いっその事「実に滑稽」と叫んで見ると、まだ開き直れたのかもしれない。
だけど、当時の自分は、何も言えず、泣きながら笑っていた。
空はどうしてあんなにも遠いのだろう。