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空和日誌「未終人譚」  作者: 空和アオ
1/5

一。

どこまでも広がる青い空の様になりたい。

自分という在り方について、そう思うようになったのは、私がまだ中学生の頃だった。

当時の私は、優等生というレッテルを貼られながらも、母子家庭で母は統合失調症、自分にとって二人目の父親も、母に弟を孕ませるだけ孕ませて、実家へと帰ってしまった。

私に残ったのは、精神発作を頻繁に起こす、母親と、産まれたばかりの赤ん坊。勿論生きる為に、守る為に、警察、役所、知人、友人、あらゆる相談を持ちかけた。

だが、答えは返ってこなかった。

思春期の私は、この様な境遇の私を施設以外で対処しない、世間を勝手に呪ったりもした。

何度も何度も、水面に大きな月が揺れる、湖畔ですすり泣いた。

夜な夜な。

でも、結局、その行為に意味など無く、自分の人生を悲観して、不幸を自慢している行為に他ならなかった。

現実と向かい合った。

家では、母の発作に耐えた。

小さい弟を、毎日部活の前に、保育所に送り迎えをした。

授業だけで、学校の成績は落とさなかった。

僻まれ、疎まれ、虐められたりもした。

だけど、自分は人とは違う。恵まれた奴に己の考え等解るはずもなかろう。疲れてるんだ。俺に構うなと――。

私は孤立した。

荒んだ。

だけど、希望を失う事だけはしなかった。

世の中は、大まかに分ければ平等で、細かく分ければ不平等なのだと、意識と視野を周りに、国に、世界に……。

太陽は全人類平等に降り注ぐ。

人間には、有り得ない。でも、私は、そんな太陽に、雲に、空に憧れた。

決して自分が太陽にはなれずとも、その光は空を通過し、空はそれを美しく伝える。

ああ、どこまでも広がる青い空に私はなりたい。

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