あっと驚いて身体が固まった
あの日、偶然見かけたあなたの背中。胸を躍らせて駆け寄ろうとした私が見たのは、もう私の知らないあなたの笑顔でした。
あっと驚いて身体が固まった
いつもの改札を抜けた瞬間
人混みの中で見慣れた背中を見つけた
少し伸びた髪、お気に入りのあのコート
間違いなくあなただった
駆け寄ろうと無意識に一歩を踏み出した時
あなたの隣に寄り添う小さな肩が見えた
二人は顔を見合わせて、柔らかく微笑みあっていた
かつて私に向けられていたはずの、あの温かい瞳で
あっと驚いて身体が固まった。
息をするのも忘れ、瞬きすらできず
冷たいアスファルトに足が縫い付けられたように
私はただ、遠ざかる二人の影を立ち尽くして見送った
あなたが新しく選んだ未来には
私の居場所はもうどこにもないのだと
言葉ではなく、残酷な景色として突きつけられた
行き交う人々のざわめきが遠くへ離れていく
冷たい風だけが、空っぽになった胸の奥を吹き抜ける
溢れそうな涙を拭うことさえ忘れて
時が止まった世界で、私だけがひとり
過去に取り残されたまま、いつまでも動けずにいた
立ち止まってくださり、ありがとうございます。
誰しも一度は「あの時」にとらわれ、時が止まったような経験があるのではないでしょうか。
この詩は、不意に突きつけられた現実と、取り残された孤独を描いた作品です。見慣れた背中のぬくもりと、冷たい風の対比を感じていただけたら幸いです。
傷が癒えるのには少し時間がかかるかもしれませんが、この静かな痛みが誰かの心にそっと寄り添えますように。




