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フクちゃん

作者: せおぽん

フクちゃんは、我が家の愛猫である。


彼は、生後1年ほどで我が家にふらりとあらわれた若いオス猫である。


彼の歳については、医者の判断によるものだ。彼の出自は未だにわからない。近所で見かける野良猫ではなかったし、どこか遠方の誰かしらが田舎である私の家の近所に捨てたのかもしれない。


そのような彼が、私の家に飼われたのは彼の猫スキルが達者だからかもしれない。


彼の第一発見者である母は、どうしよう。どうしよう。と慌てていた。


我が家には、既に一匹の生後1年に満たない若い牝猫「アンコ」がいた。母は、私の負担を考え、この若いオス猫(後に、フクちゃんと呼ばれる)を拾う事を躊躇っていたのだろう。


私が、眉をひそめながらオス猫に近づくと、彼はゴロリと転がり、柔らかそうな白い毛に覆われた腹を見せつけた。


野良猫なのか、人に飼われていたのか、わからない。実にミステリアスな、ハチワレのそのオス猫に僕は興味を持った。


「遠くに連れて行こうか」

と、母は泣きそうな顔で僕に言った。


馬鹿な事を言うと、僕は思った。優しすぎる母は、僕に飼いたいとは言えないのだ。できもしない事を考え無しにいうほどに。


若いオス猫はニンマリ笑いながら腹を見せ、生涯の寝床を得たぞ。と確信した目をしているように見えた。


「泣くくらいなら、飼えばいいじゃないか。猫2匹くらい、大丈夫だろ」


若猫は、スリスリと母と僕の脛に頭を擦りつける。


僕は、彼に「フク」と名付けた。福に出会う。福を拾った。というゲン担ぎが理由だ。


フクちゃんは甘えない猫だが、人に好かれた。撫でよ。と初見の人間の前でも、パタリと倒れてみせる。かといって抱き上げれば、不遜な人間ごときめが。とケリケリする。


彼は孤高の構ってちゃんなのだ。


怪傑ゾロのマスクを思わせるハチワレの柄は、エキゾチックな趣のある彼の性格によく似合っている。


フクちゃんは、実に猫らしい猫だな。と私は思うのだ。



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