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聖地って何?俺そんなことした記憶ない

暗闇を走り抜ける私。酔った体かつ高いAGIは地獄のような吐き気をもたらす。頭痛いし、1本の木が3本に分身して見える。


「木が分身なんて、いくらファンタジーでも、そんなわけあるかー!やべ」


叫んだ後、胃から逆流してきて、口から虹色のキラキラを吐き出してしまった。酒飲んで走るのは絶対辞めよう。とりあえず、どこかいい感じのところに逃げ込みたい。


手っ取り早くダンジョンでもあれば良いんだけど、まだ、この早さに目が慣れてないから周りが見えない。とりあえず、結構離れただろうし、ゆっくり歩こう。


ふと、振り返ると駆け抜けてきたところが道みたいになっていた。また、何かやっちゃいました?まだ、ステータスは見ない。これ、使ってないはずだけど『巻き込み事故』発動してない?もしかしてオフにするコマンドを押さないと無理みたいな?


せっかくだから、偉人の言葉を借りよう。


「俺の前に道はネェ、俺の後ろに道ができるのだ」


どこかの誰かがそんな事を言っていた気がする。ただ、それは「自分こそが先駆者で他人は俺の事を追いかけてくる」みたいな意味で、物理的に走ったところが道になるわけではない。


レベルどのぐらいになっただろう。とりあえず、ゆっくり洞窟でも、探したい。あ、でも水のみたい。太陽昇らないと方角分からないし、そもそも西から東の可能性もある。川があった事は覚えているが、草原のほうではなさそうだ。これは一体どこ?


とりあえず走りながら考える。やっぱりそんなにAGI高く無くていい気がする。強いのは良い、でも、酔った体にこの速さは毒でしかない。


さて、どうしようか。戻れないなら、進むしかない。なんかいいスキルあれば良いなぁ。例えば、水場がわかるとか、悪酔いしないとか。アルコール消毒とかあるけど、『手指消毒』関連でできたりしないかな?


何もしていないのに、「アルコールを消毒しますか?」とステータスウィンドウが出てきた。えっ?できるの?

「はい」を押すと、少し楽になった。てか、体に毒みたいなそういう毒も消せるのかよ。それ、聖女に怒られない?

 

大体、そういう毒消しとか病を治すとか、回復させるとかって聖女のアレじゃん。多分、聖女じゃないでしょ?俺。


さて、もう少し走るか。あと、あれ、あの、あれよ。

『巻き込み事故』のところまでスクロールして、オフにしておく。また、巻き込んだみたいな事をしたくないから。


無自覚最強系主人公ってこんな気分だったのだろうか。なんかやらかした時ってこんなに申し訳なくなるんだなぁ。主人公だったらもっと「俺、最強。イェーイ」的なテンションになるのだろうか。


俺の場合何もない。ただただ申し訳ない。さて、まだ見つからないのか?アルコールを消毒したところで、渇いたのどは潤わない。


あれからどれほど歩いただろうか。体感2時間ぐらい歩いてる。結構遅くまであの村で飲んでから少し寝ようとして駆け出したからもうすぐ夜が明けそうだ。


少し、明るくなってきた。そんな時にオークが出てきた。数は多くない。オークなら多くあれよ、オークだけに。そんな冗談が浮かんでしまった。


せっかくだから、魔法封印して、空手で倒しにかかってみようかな。いや、棒で行こう。


まずは右肩から体の中心に向かって棒を抱え込み棒を回転させて、前を牽制し、上段から袈裟斬りにするように棒を振りながら右足を前、左を右足と直角に後ろに下げる。まだ、距離があるから大丈夫。さて、1発目はどれで行こうか。


まずは先頭の奴に向かって松風をお見舞いする。松風とは、頭上から棒で頭を狙うように斜めにしたまま薙ぎ払う技である。あ、『巻き込み事故』オンにしよう。


オフの状態だったけど、物凄い速度で先頭のオークが吹っ飛んで行った。おかしいなぁ。いや、おかしくないか。AGI割とあるしな。一体何をしてんだろう。


吹き飛んで行った隙を突いて『巻き込み事故』をオンにしておく。反対向きに棒を振り上げながら、前を牽制しておく。次で決める。


逆向きの松風だ。あ、ヤバい。やらかしたかも。そう思った時には遅かった。数体いたオークが見えなくなるほど飛んでいった。


とりあえず、それはいい。そこは良い。問題は、また大きな道ができてしまった事だ。しかも、多分50メートルぐらい吹き飛んでる。


そのおかげで、ダンジョン見つかったんだけど、今更見つかってもなぁ。多分今ので、巻き込んだ冒険者いるんじゃないかな?決めた、絶対使わない。このスキル。


山とかをぶっ壊す時に使おう。とりあえず、逃げたい。あのダンジョンにでも隠れよう。穴があったら入りたい気持ちになったので、見つけた穴に入ることにした。


まぁ、まだ早朝だし、いないだろ、な。さて、寝てないし、あそこで寝よう。無駄に、いや、無駄じゃないけど高いAGIで駆け抜けて、ダンジョンで寝る。


多分入り口じゃないはずだ。せっかくだから奥の方で寝てやろう。そう思って、5分ぐらい進むと数人の女の子たちがいた。


俺は、その人たちを入り口まで追い出して、もともと女の子がいたところで寝る。オークはさっき全滅してるはずだしな。


夢の中で俺は飯を食べていた。おいしそうなみそ汁と、白米と、刺し身と日本酒。あー、美味いな。出汁が染み渡るー。


「オークの死体が転がってたけど、何だったんだろうな」


「ザルーは知らないのか?この辺にオークの巣穴ができたらしいぞ」

「それってアルフェのダンジョンか?アルバート。この辺ならそれぐらいしかないだろう」

「おう、そうだ。今回の依頼もそこに囚われてる姫の救出だしな」

「なんか、空気が澄んでないか?」

「伝説に聞く聖地かもしれないな」


なんか、会話してる声が聞こえてきた。洞窟みたいだから声が響いてきて、起こされた。そして、多分違う。聖地ではないぞ。消毒されたのか?


あと、二日酔いの日にダンジョンは辞めよう。声が響いて頭が痛い。キラキラが出そう。


「豚バラ肉」

私は叫んでいた。多分オークに引っ張られて寝ぼけてたのだろう。


「なんだ、豚って。俺はそんなに太ってないぞ」

「怒るな、ザルー。姫がお目覚めなのだろう」

「アルバート、聖王国の姫って、こんなに素敵な女性だったか?もっと、ふっくらしてただろ」


まだ、寝ぼけている俺は「姫、ふっくらしたパンが食べたい。お腹すいた」と思いっきり乗っかることにした。


「おいおい、アルバートにザルー、姫なら外にいただろ?」

「何だよ、マーカス。こんな綺麗な女性に出会えたのも運命だろ?少しくらい良い思いしたいじゃないか」

薄めを開けて、見てみるとアルバートはいわゆるインテリメガネ、ザルーは確かに少しぽっちゃりしていて、私より10センチくらい高そう。マーカスは少し身長が低くて私と同じぐらい。


「頭、痛い。声響く。寝たい」

そう言って、私はザルーにもたれ掛かる。多分、前世で、好きになった男の子と似てるからだろう。どことなく、不器用な気がする。


「とりあえず、連れて帰るか。宿、4人に変更しないとな。あと、1部屋追加しといてくれ。頼りにしてるぞ、アルバート」


「ワタクシはいつもこんな役目なんですよね。素早さ高いと、こういう時苦労しますね」

そうつぶやきながら、物凄いスピードで消え去った。はっや。


「お水、欲しい。街、遠い?」

「頭、痛いんだろ?ちょっと待ってろ」

そう言いながら自分のカバンを開けて、水筒を取り出すザルーに少しだけ前世の彼を重ねてしまった。


「ほら、水だ。飲みな」

「ありがとう。間接キッス?」と私が弱々しく微笑むと、ザルーは耳まで真っ赤に染めながら、「違うからな。口は付けてない。安心しろ」と物凄く狼狽えていた。


水を飲んで、水筒を返した事は覚えているが、そこからは疲れたのだろう。お休み、私。ザルーって良いパパになりそう。そんな気がした。


臭い。


恐ろしいほどの臭さで目が覚めた。


「おう、目が覚めたか。街に着いたぞ」


「くっさ」

「俺ってそんなに臭いのか?」と慌ててるザルーに申し訳なくなりながら、彼の背中から降りる。


「違う。街、臭い。無理」

「そうか?俺は何とも思わんが」

おそらく、本格的に中世ヨーロッパかもしれない。ナーロッパで良かったのに、変なリアリティ出さないで欲しい。要らねーよ。


「『汚物消毒』、臭いの無理」

あれ?なんかマシかも。言ってみたけど、スキル名違うな、『手指消毒』だったはずだ。あれ?何があったのだろう。


でも、やっぱり気持ち悪くなって、虹色のキラキラが溢れ出した。


「なんか、こう、これはこれでありだな。臭いなくなったし、なんか綺麗になった?女神の泉みたいだよな」とザルーが豪快に笑ってるけど、違う。


「違う、と、思う。ごめんね。頑張るから」

「どうやら、物凄く綺麗なところから来たんだろうな。ここらへんはコレがふつうだからな」とまた、豪快に笑っている。


「数日ぶりの酒と洒落込もうぜ、ザルー」

「おうよ。マーカス。アルバートの奴も呼んでやらねぇとな」


何だかんだでギルドみたいなものに着いた。


「『クレナイの羽』さんおかえりなさい。そちらのお嬢さんは?」


「ああ、姫様の救出の時にダンジョンで倒れてたからな。とりあえず、保護した」


「あ、えっと、サオリ=カグヤです。助けていただきありがとうございます。冒険者登録とかってできるんですか?」


「今日は、登録の担当者が退勤済みのため、明日手続きしましょうね」


ギルドのお姉さん可愛い。とりあえず、何か食べたい。


「ごはんある?お腹すいた」

乞食みたいに思えるかもしれないが、全力で逃げてきて以降何も食べてないから物凄くお腹が空いていた。


「臨時収入があったから奢ってやるぞ。オークの肉が高く売れたからな。まさか5体も同じところで倒れてるとはついてたな。しかも、ほぼキズなしでピクリともしなかったからな」


ザルーの言葉に「あー、これ、また、俺のマッチポンプだなぁ」と思った。俺がオークを倒して、それを拾った人に今ご馳走してもらっているわけだから。


また、どこかに帰ろうかな。とりあえず、地図入手して冒険者登録するまでは居てやるか。


そう思って気持ちよく飲んだ、それはもうたくさん飲んだ。やっべ、コレトイレとか行きたくなるかも。大丈夫だよな。信じてる。お休み、私。


次回、冒険者登録。絶対読んでくれよな。



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