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6話 座敷童の実力、でもオラオラ

「……え、ちょっと待て。俺のクローゼット、なんで勝手に工房になってんの?」


 ドアを開けた瞬間、俺は固まった。

家に帰るなり、オラオラ系座敷童が召喚。そして、まあ見ろよと、本来ならスーツとカジュアルシャツが吊るされてるはずのクローゼットを開けた。そこには鉄床、炉、金槌、謎の魔法陣、そして小さな作業机。


「オラァ! 文句あっかコラ! ここはもうオレ様の城だ。クローゼット? 知らん! 今は工房だ! お前の服はベッド下につっこんであるから安心しな!」


「なにやっっってんの!」


 俺がツッコむ間にも、座敷わらしはテーブルの上に積まれた魔石をボリボリと食っていた。

赤いの、青いの、透明なやつ。キャンディーでもあるまいし、まるでおやつみたいに。


「おい、それなんだ?魔石じゃないのか?」


「ハァ?おめーらがとってきたほやほやの魔石だ。魔石はオレの主食だぞコラ!食った魔石を加工して装備作るんだよ。味?今日は青いのがスカッとしてて美味ぇな。赤いのは辛口、透明のは無味!で、オレの気分で出来が変わる! オラオラ工房システムだ!」


「え?いつのまにか!しかもそんなガチャ方式やめろ!」


「ハッ!魔石にも鮮度があり、現実はガチャだろうが!」


なんだこいつ‥‥自由すぎる。


「ふふ、可愛いじゃない。元気いっぱいで」

 背後で咲が微笑む。黒いジャケットを羽織り、ジーンズにブーツ姿。大人の余裕をまとったお姉さんオーラ全開。


「いや、可愛いっていうか。騒がしい……」


「それにしても魔石を食べて装備作り、か。なんだか面白いわね」


「面白くねえよ! 命預ける装備が座敷の気分ガチャって……」


「安心しろって。オレは気分屋だが手は抜かねえ。ほら、お前の剣と盾、できたぞ!」


ガンッ! と机に叩きつけられたのは、銀色に輝く軽量の剣と、小ぶりながら頑丈そうな盾。

さらに黒い胸当てもセットになっている。


「……え、なんか本当にカッコいい」


「当然だろ。オレ様が作ったんだぞ? 剣には軽さと斬れ味、盾は耐久性重視。お前の魔力を込めれば、もっと耐久上がる。魔力ブーストシステムだ!」


「魔力……?」


俺が首を傾げると、座敷がチッと舌打ち。


「おいオメー、まさか魔力のこと何も知らねぇのか?」


「知らないぞ」


座敷童がため息をつきながら、腕を組む。

「オラ!いいか、魔力ってのは人間の体内に眠ってるエネルギーだ!スキルってのは、その魔力を使って現れる力!使えば使うほど魔力レベルが上がって、体も強くなるし魔法も使える。新しいスキルが生まれることもある!」


「おお……」


「つまりだ。スキルをケチるヤツは一生雑魚! オラオラ!怖がらずガンガン使え!死ななきゃ経験値だ!」


「それ死にかけるやつのセリフだよな!?」


 その横で咲が、できあがった装備を眺めていた。

「ふふ……私の分もできたのね」


座敷が机の上に並べたのは、黒のジャケット、魔力伝導率の高い手袋、そしてシンプルなガスマスク。


「咲、そのマスクは?」


「これねら、私の口は周囲に存在する魔力を取り込み、力を増幅するの。私たちの体は魔力でできているから、周囲の魔力がないとダメなのよ?でも、このマスクがあれば加減できる。普段はおしゃれに隠せるし、解放するときは外すだけ。便利でしょ?」


「お、おしゃれ……? ガスマスクが?」


「ふふ、まだまだね」


咲はマスクを手に取ると、わざとポーズを決める。

黒いジャケットにジーンズ、ブーツ。マスクをつけると、まるでデストピア映画のヒロインだ。


「……いや、カッコいいっす」


「でしょ?」

咲がウインクする。口裂け女なのに、なんか妙に可愛い。


「オラ!最初にしてはバッチしだオラ!!」


「ふふ……完璧ね。ありがと、坊や」


座敷童は照れながら、腕を組む。

「坊や言うな! オレ様は職人だ!」


こうして俺と咲の装備は揃った。

ただ問題は、座敷わらしの気分ガチャが今後も続くらしい、ということだった。


「なあ……次に作るとき、気分悪かったらどうすんの?」


「そん時はそん時だ! オラァ、命がけで生きろ!」


「無責任すぎる!!!」


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