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魔女の娘  作者: 只野草花
第一章 出会いと出発
4/5

受け入れること

部屋を掃除し、ひと段落が終わった。

リビングの方は杖がやってくれた。

そこそこ綺麗だった。

お礼を言うと、杖はねっとりとした口調で返した。

正体はわからないけど、ひとまず家には置いとこう


掃除が終わったらお腹が減ってきた。

冷蔵庫には何もなく、キッチンの戸棚を確認しても何もない

「そういえば、全然食べてなかったな」

流石にお腹が空いてきたので村に行く事にした。

村まではそんなに距離もないし、お金も父のコートを漁り財布を見つけた。

村には行った事なく、父にも村の方には行くなと伝えられてる、が少しいったこともある。パン屋があった筈だし、今ここで縮こまっても、腹は膨れない。

扉に手をかけドアを開け…

「外は寒いぞ」

杖が後ろからフード付きのローブを頭の上に載せる

「…ありがと」

「どういたしまして」

にこやかに返された。ねっとり感は薄く感じた。


家を出て森を歩く、村までの少しの間なぜかついてきた杖とお話する事にした。

「ねぇ、杖さん」

「どうしたの」

「杖さんってなんか言いにくい」

「名前ないの?」

「ない…」

なんか今ねっとり感が無かった。

「ほんとに?」

「いや、昔は名前とかつけられてた気がするんだけどね」

「忘れちゃった」

「じゃあ、つけてあげる。」

少し考えた。

考えてるうちに村についた。

「あ、ついちゃった」

一言呟くと、後ろから杖がフードを被せる

「村にいる間は絶対にフードは脱ぐな」

その言葉には迫力があった。

素直に従った。


村にはいると、活気が満ち溢れ

数人の村人たちが畑を耕したり、家を作ったり色々していた。今まで遠くで見てきた光景を近くで見ることができて、少しワクワクした。

しばらく歩くとパンの匂いが鼻をくすぐる

私たちは吸い込まれるようにパン屋へ行き、欲しいパンを数個買った。

杖が大体の買い物を済ませてくれて、私は選ぶだけだった。

帰り道の途中、村の整備された道でパンを食べながら、歩く

ふわふわのパンでとても美味しい。

ひたすらにがっつき村の入り口が見えてきた頃には一つのパンを食べ切った。

家に帰ろうと一歩を踏み出す。

「シュナ?」

シルベの声が聞こえた。

私は声を返そうと振り返る。

振り返る反動と微風でフードが脱げる

しっかりと見えた。

真っ白に染まった髪そして、そよ風に吹かれ髪に隠れた赤く染まった左目が彼の瞳に映っていた。

彼は怯えてた。

村の大人たちが私に気づき、石を投げ

シルベと私の間に入る

段々と大人たちが集まってきて。

声を荒げる

その中で、一つ聞こえた


「魔女」


大人たちは、罵声を浴びせ

子供は、石を投げ

シルベは…


理解ができなかった。

声を出そうとした。

一歩近づこうとした。


一人の大柄な男が近づいてくる。

「あっ、」

私は声を出す。半歩近づく。

そして、持っていた棒で横腹を殴られた。


村人たちはその行動を合図に一斉に私に近づく

農具を持って、工具を振り上げて、拳を握って

ただ一つ、そこには意思があった。


違う。私は何もしてない

嫌だ。私は何も害をなしてない

やめて。私は受け入れられない?

私の大事だった何かがプツンと切れた。

彼らの意思に恐怖していた思考が完全に消える


「邪魔」

その言葉は私の感情に蓋をしていた言葉

瞬き一つのうちに目の前の村人が燃やされた

家は切り刻まれ、畑は火の海になり、村人は火だるまになった。

私はその光景を笑ってた。

けど、嫌な気分では無かった。

自分じゃない感覚はない

自覚した。これは自分の意思だ


そこからは虐殺だった


火だるまになった村人を一人一人丁寧に殺した。

体の臓器を引きちぎり、頭蓋骨を貫通し、足を折り、骨を砕き、指を切断し、目を潰し、人だったものを踏み躙った。

自分の意思で笑った。


一晩が過ぎ、そこに村はなかった。



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