カーネマン氏の偉大な「プロスペクト理論」の功績と「自分軸の生き方」について
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今日は24年3月27日に90歳で亡くなったダニエル・カーネマン氏追悼エッセイとして、「プロスペクト理論」を中心に解説していこうと思います。
質問者:
一体どういう理論なんですか?
筆者:
プロスペクト理論とは「人は利益を得る喜びよりも、損する苦痛の方が2倍以上強い」ということが明らかにされました。
主に4つの理論があります。
1 リスク回避の原則
2 損失回避の原則
3 参照点依存性
4 感応度逓減性
の4つです。
質問者:
と、言われても何が何だか分からないのですが……。
筆者:
一つ一つ例を出してなるべくわかりやすく説明しますのでご安心ください。
◇人間の多くは「期待値」を度返しして意思決定している
筆者:
一つ目の「リスク回避の原則」とは利益が得られる場面において、
多くの方は「利益を逃すかもしれない」というリスクを避け、
より確実な方法によって利益を確保しようとするのです。
例えば以下の投資法があるとします。
投資法A 100万円を100%の確率で101万円にできる株式投資。
投資法B 100万円を99%の確率で0にしてしまうが、1%の確率で2億円にできる株式投資。
と2つがあったとするのならどうしますか?
質問者:
それはA投資法に決まっていますよ。99%で100万円をゼロにするだなんて正気ではありません。
筆者:
しかし、「期待値」で見た場合ではA投資法は101万円ですが、B投資法では200万円と約2倍も期待値があるのです。
質問者:
確かに期待値で見た場合ではそうかもしれませんが、中々抵抗がありますよね。
筆者:
こういった心理学的要素が経済学を上回る「リスク回避の原則」なのです。
次に、「損失回避の原則」について見ていきましょう。
A 100%の確率で100万円を失う災害
B 1%の確率で2億円(全財産)を失う災害
どちらも起きて欲しくは無いですが、敢えて言うのであれば、どちらの方が災害として起きて欲しいですか? ※どちらも経済的被害以外は無いとします
質問者:
これはちょっと迷いますけど、この数字だけを見るのであればBの方が損害が少なそうに思えます。
筆者:
これも期待値で見るのならA災害は-100万円に対し、B災害は-200万円となります。
このように、「損失になりにくそうな選択肢」を人間は取りがちなのです。
質問者:
なるほど、期待値の計算をここでも覆しているというわけですか……。
筆者:
この2つから教訓を得ることがあるとするのなら、「確率がより高い方を重視する」傾向にあるという事です。
確率が低くリターンが大きい情報よりも、100%に近い確率の方がより実現可能性が高く感じるのです。
そう言った形で文章や相手を説得する方法、商品やビジネスを考えた方が良いですね。
質問者:
なるほど……。
◇「今の自分」に軸点を持っている
筆者:
次に、「参照点依存性」について見ていきます。
例えば、「年収2000万円」になった場合嬉しいですか?
質問者:
そりゃ嬉しいですよ。私の年収何年分なのか……。
筆者:
多くの方から見ればそうでしょうね。ただ、前年の「年収1億円」の人から見ると5分の1まで減っていることになります。
このように絶対的な判断に基づいて物事の価値を測るのではなく、
参照点(別の物事の価値)との比較によって価値を測る心理的な傾向のことです。
質問者:
確かに1億の年収だった人から見たら2000万円でも「都落ち」みたいな感じを受けてしまうかもしれませんね……。
筆者:
そこで価値観を「自分の考え方」に定めることが重要だと思います。
例えば「年収」に軸を置くのではなく「家族との関係性」を大事にするとします。
そうなると、年収が高くても家族サービスが出来ないことよりも、年収がそこそこで家族との時間が取れやすい仕事を選ぶことなど新たな発見をすることが出来ます。
質問者:
状況に左右されない自分なりの価値観が大事という事ですね……。
筆者:
僕はちなみに「自分らしさ」を一番重視していますね。
一方で、他者に対して値段を設定するのであれば「お得感」を出させる価格設定をすることが大事になります。
例えば、マクドナルドなどでハンバーガーやポテトなどの個別価格とセット価格を同時に提示することによって「セット価格がお得だ」と思わせてセットで注文させやすくするなどの手法です。
質問者:
あとは定価を表示しつつ割引き価格を赤線で書いたりすることもそれにあたりそうですね。
◇商品の規模は大きくする
筆者:
最後に「感応度逓減性」について見ていきます。
感応度逓減性とは、利益や損失の絶対値が大きくなるにつれて、損得の感応度が減少する心理的な傾向のことです。
例えば家は1000万円や1億単位や車は何百万円単位が当たり前ですが、
そのオプションは数万円、場合によっては数十万円が安く見えてしまいます。
これが感応度逓減性です。
質問者:
確かにどうしてか分かりませんでしたが、高額商品の時の方が財布の紐が緩むような印象がありました……。
筆者:
このことから、商品やサービスそのものを高額化しておくことにより高く売り上げを上げることが可能になります。
逆に消費者の立場ではオプションはオプションと切り分けて分析することが大事になると思います。
本体価格に比べて安いからと言って本当に必要なモノなのか? 他で代替えすることが出来ないのか? を逐一検討していく必要があるように思えます。
質問者:
そう言った思考法が大事なんですね……。
◇「他人の人生」「他人の価値観」で生きてはいけない
筆者:
さて今回は数字のロジックを超えたダニエル・カーネマン氏のプロスペクト理論を紹介してきましたが、
結局のところ一番大事なのは「自分の価値観」だと思うのです。
質問者:
どういうことなのでしょうか?
筆者:
リスク回避、損失回避については期待値を取るのか、起こる確率が高そうな方を取るのかというお話でしたが、これも必ずしもどちらが良いのか? というのは局面によると思うのです。
例えばジャンボ宝くじはモノにもよりますが1枚300円のモノの基本的な期待値は「150円」に過ぎません。
しかし、買う人は「夢を買っている」と思うんです。
また、預金や国債は確実に利息が付きますが今そんなに利息狙いで買う人はいません。
でも、価値観次第ではこういった選択肢も変わってくると思うんです。
質問者:
一体どういう価値観を持ったらいいんでしょうか?
筆者:
僕は周りの意見やネットの情報、マスコミの情報などに惑わされず「自分はこういう方針だ」という「信念」に近いものが必要だと思います。
基本的には自分以外の人間は「意見している側の人間に都合の良い人間にしたい」という欲求の下で行動しているという前提で話を聞いた方が良いです。
要は少なからず「利益誘導」の意図が誰しもあるという事です。
これは親の助言ですら深層心理ではそう思っている可能性が高いです。
質問者:
他人の意見を全く聞くなという事なのでしょうか?
筆者:
それとはちょっと違うんですよね。
反対意見や他人の意見を完全に跳ねのけるという事ではありません。
多角的な分析を行って総合的な判断を行うという事です。
鵜呑みにしてしまうのではなく「相手がコントロールしようとしている」という事を頭に入れた上で「情報を精査」していくのです。
一番危険なのは考えずに鵜呑みをして「他人の価値観」「他人の人生」を生きてしまうという事です。
精査した上で意見を取り入れるという行動はとてもいいと僕は思っています。
質問者:
なるほど、何も考えずに鵜呑みにすることが危険という事ですか……。
筆者:
これについてはあらゆることに言えると思うんですよね。
いわゆる「ザイム真理教」や「ウクライナ支援」に関することだって皆がマスコミや政府を鵜呑みにしているから起こっていることですし、「洗脳」に近いことは周りに多く転がっていると思います。
精査する時間が無いのなら「プロパガンダ作戦」に惑わされないためにも、情報のシャットアウトをすることを推奨していますね。
質問者:
難しいとは思いますけど、悪意がある情報が色々と多いですからいっそのこと仕入れない方が良いという事ですよね……。
筆者:
「他人の人生を生きている」時間が一番勿体ないと思いますからね。
まぁ、僕の意見についても鵜呑みにしないで欲しいですね(笑)。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はダニエル・カーネマン氏のプロスペクト理論を紹介し、
「自分軸の生き方」「他人の意見を精査する」ことの重要性をお伝えさせていただきました。
今後もこのような生き方や、政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていますのでどうぞご覧ください。