表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/109

第75話 皆で修行

皆で修行場へ向かっていると、ふとカイトが6つ並んだ墓の前で立ち止まる。


「これが、君の育ての親達のお墓なのかい?」

「うん。折角だし、お参りしとくか。」

「じゃあ僕も一応。」

「私もしとこうかな…ガーヴもしときなよ。」

「…まあ、そうだな。」

「私もしようかな。」

「ふむ…では我もしておくか……」

「オレ達はどうする…?」

「うーん…自分で自分の前世の墓参りかぁ…」

「まあ、皆さんはお参りされるようですし、私達もやりませんか?」

「じゃあ…そうするか。」


一行は墓の前で手を合わせ、目を閉じる。


「……よし。じゃあ行こっか。」

「ちなみに名前は……アイン…トラン…コウ……ジック……ボ…ウ……ハ……ク……」

「おいどうしたんだよカイト?」

「こ…これ……」

「ああ?……はあぁ!?」

「えっなになに?……ええぇぇっ!?」

「皆どうしたの……って嘘ぉ!?」

「ど、どうしたの皆…?」

「こここっ…コウスケ、これは何の冗談だい…?ど、どうして墓に賢者達の名前が……?」

「どうしても何も、その6人が育ての親で師匠だからなんだけど。」

「賢者達が…」

「こーちゃんの…」

「育ての親で師匠だとォー!?」

「あはは……」

「チッ…通りでアホみてぇに強いわけだ…賢者が6人も揃って育てたんならこうなるだろうよ……」

「やっぱりハクさん達って凄い人だったんだなぁ……」

「凄いで片付けられるレベルじゃねぇぞ!」

「征服戦線時代あたりで活躍してた歴史に名を残す超大物だよ!?そんな6人に育てられたなんて…それだけでも大きな話題になるって!」

「こーちゃんってちょっと抜けてるところあるよね。」

「そ、そうかなぁ…?」

「はあ…何だか出発前から私達叫び過ぎじゃない?」

「やっぱりコウスケと一緒にいると驚きが絶えないねぇ…いやはや…絶えなさすぎて心臓がもちそうにないよ…」


なんやかんやあって修行場に着いた一行は降助からそれぞれの修行内容について説明を受ける。


「まずカイト。カイトは基礎体力が絶望的だから走り込みからね。」

「う…まあ、そうだろうとは思ったけどね……で、どれくらい走れば良いんだい?この広さなら10周くらいはいけるだろうけど……」

「あ、館から麓までを往復ね。」

「うん?聞き間違いかな?今館から麓って言ったかい?」

「うん、言ったよ。」

「こ、殺す気かい…?」

「大丈夫だよ。ヴニィルをつけるから。」

「おい待てコウスケ!我はコウスケと手合わせするのではないのか!?」

「誰もそんな事言ってないし、カイトがぶっ倒れても運んで来れるでしょ?」

「我を馬車か何かと勘違いしてないか?我はそんな事は―」

「よろしくね?」

「だ、だが……」

「よ・ろ・し・く・ね?」

「わ、分かった……」

「じゃあカイトは早速出発!」

「ほら!そうと決まればさっさと走るぞカイトよ!」

「ひぇ〜!」


カイトはヴニィルにせっつかれながら修行場を出発し、麓へと向かう。


「オマエ、意外と鬼教官なんだな…」

「そうかな?まだ年齢が1桁の時からやってたからあんまり違和感無かったけど……」

「マジかよコイツ……」

「それでガーヴのメニューだけど、俺と1対1で手合わせね。勿論魔法もスキルもありで。」

「おう。」

「なあ師匠、オレ達はどうすればいいんだ?」

「クーアはトーカと手合わせで良いかな?」

「分かった。よーしトーカ、やろうぜ!」

「わーい!クー姐と手合わせだー!」


一方、ベル、ミレナ、クレイの3名は遠くからその光景を見守っていた。


「どう、ミレナちゃん。参加する?」

「いや〜…やっぱり遠慮しておきます……」

「だよね……」

「これ、ブランケットです。良かったら使ってください。」

「あ、ありがとう。」

「ありがとう。」

「今は冬ですし、ここは山の上なので冷えますからね。」

「確かに…ちょっと空気が薄いかも……皆よく平気でいられるね?」

「私達は慣れちゃってますからね…もし何かあれば言ってください。」

「ベルちゃんはいい子だね。よしよし!」

「わっ…は、恥ずかしいです…!」


早速手合わせを始めた降助とガーヴはスキルを使った激しい戦いを繰り広げており、その余波で周りの雪がどんどん溶けていた。


「オラァッ!!」

「そこ!また攻撃が大振りになってる!」

「チッ…!」

「もっと素早く、動作を最小限に!」

「そういうのは…性に合わねぇんだよッ!」

「そういう話じゃないんだけどなぁ!」

「向こうはバチバチにやってるな…」

「どうする?私達もたまにはスキルを使って手合わせしてみる?」

「だな!早速やろうぜ!」


これから戦闘が更に激しくなる事を察したベルは、素早くバリアを複数展開する。


「念の為バリアを張っておきますね。師匠の技は無理ですが、他は防げると思いますので。そもそも師匠は技のコントロールが上手いので、こっちに飛んでこないようにしてくれると思いますが、あの赤青姉妹はそういうの考えないと思うので。」

「ありがとね、ベルちゃん。」

(赤青姉妹…妙にしっくりくるなぁ……)


一方、カイトは麓まで半分もいかない辺りで既にバテていた。


「はぁっ…!はぁっ…!も、もう無理……!」

「何だおぬし、体力が終わっているではないか。」

「そ、そうは言われても…!も…無理…!」

「まあ確かに、急な斜面も多く、道もしっかり整備されているわけでもないから歩きづらかろう。それに空気も薄いしな。だがそれにしても体力が無さ過ぎではないか?」

「こ、これでも夏休みの走り込みで…はぁ…はぁ…体力は上がってるほう、なん、だけどね……!」

「そうなのか……」(むう…見たところ剣技はそれなりのようだが…このままでは宝の持ち腐れだな……だが体力をつけるには運動、食事、睡眠あるのみだからな。こうする他あるまい。)


結局、さほど往復できないまま、日が暮れた頃にヴニィルがカイトを担いで帰ってきたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ