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第74話 皆でお泊まり

季節は秋から冬へと移り変わり、雪が降り始めていた。


「もうすぐ冬休みか……」

「そうだね〜…」

「この1年、あっという間だったねぇ。」

「だね。」

「皆は予定とか決まってるのかい?」

「俺は夏休みと同じように家に帰るかな。まあ、何もなければだけど。」

「そっか。僕も夏休みはずっとこっちにいたし、今回は家に帰ろうかな。ガーヴ君はどうするんだい?」

「オレはコウスケについてって修行だ。」

「えぇ!?」

「な、何だよ急に叫びやがって……」

「えっ…ちょ、ガーヴ、コウスケ君の家に行くの!?」

「お、おう…それがどうかしたのかよ?」

「そんな…私の『冬休みはガーヴと一緒に過ごしてあわよくば計画』が……」

「あ?何か言ったか?」

「……く。」

「あ?」

「私も行く!!」

「な、何でだよ!?」

「うるさいなあ!私も行くったら行くの!コウスケ君、いいよね?」

「え、えぇ…?」

「い・い・よ・ね??」

「は…はい…歓迎します……」


ミレナの「私も連れていけ、さもなくば…」といった圧に耐えきれなかった降助は、承諾するしかなかった。


「…なら僕も行こうかな。」

「カイトも?家に帰らなくていいの?」

「元々両親からは無理に帰ってこなくていいって言われてるからね。どうせなら僕も一緒しようと思ったんだけど…いいかな?」

「まあ…いいけど。」

「じゃあ決まりだね。今年は皆でコウスケ君のお家にお邪魔しよう!」

「おー!」

「ノリがほぼガキじゃねぇか……」

「あはは…」


4人が和気藹々(わきあいあい)としている中、1人の少女がやって来る。


「あの…その話、私も参加していいかな?」

「くっ…クレイ様!?」

「ちょっ…ちょ、ちょっとコウスケこっちに…!」

「え…?」

「早く来やがれ!」

「あ、はい。」

「?」


3人は降助を入れて輪の形に集まり、ひそひそと話し合いを始める。


「で、どうしたの皆?」

「どうしたのじゃねぇよバカ!」

「君、事の重大さが分かってるのかい!?貴族が平民の家に来るんだよ!?」

「しかもフィルソニア家のお嬢様だよ!?お嬢様が!平民の!男の家に!来るんだよ!?」

「あ〜…成程大体分かった。」

「ホントに分かってんのか…?」

「大丈夫だって。」


降助は輪から外れ、クレイの下へ歩いていく。


「家に来るのは全然良いけど、どれくらい居る?」

「うーん…どうせなら冬休みいっぱいは居たいかな。」

「成程…でも、ご両親とかは…?」

「大丈夫じゃないかな。私の両親は優しいし、平民を差別もしないから。許してくれると思うよ。」

「それならよかった。あ、あの3人も一緒になるけど平気?」

「うん。大丈夫だよ。」

(((き…貴族に向かって敬語外したー!!しかもお咎め無しー!?)))


3人仲良く心の中でツッコミを入れた後、ガーヴが降助に掴みかかってブンブン前後に振る。


「おいテメェ!貴族と敬語外して喋ってる上にお咎め無しでそんなに楽しそうってのはどうなってんだ!?どういう関係なんだよオマエェェ!!」

「うああぁそんなに振らないで!ただの幼馴染!幼馴染だから!!」

「は、はぁ!?貴族と幼馴染ィ!?どうなってんだテメェ!?」

「いやガーヴも元貴族でミレナさんと幼馴染じゃないっすか。」

「それもそうだな」


納得したガーヴは腕を止め、冷静になる。


「あれ…でもコウスケはスタトの出身なんだよね?でもフィルソニア家ってだいぶ離れてないかい?」

「確かに、ウインドヒルとバラシアン第一学園都市の中間というかこっち寄りの場所だったような…?」

「だよな!よくよく考えてみたらおかしいと思ったぜ!どうなってんだテメェー!!」

「うわああぁだから振らないでって!!」

「えっと…それくらいにしてあげて?」

「あっ…おう…じゃなくて、はい…」

「うぷっ…ちょっと酔ったな……」

「えっと…何はともあれ、冬休みの間はよろしくね…?」

「あ、はい……」

「クレイ様ってこんな感じの人だったっけ……」

「……あ。ふふっ。素の私はこんな感じなんだ。皆には内緒でね?」

「も、勿論です!!」

「じゃあ私は戻るね。」

「うん。じゃあまた。」


そして遂に終業式を終え、冬休み初日を迎える。


「ごめーん!お待たせー!」

「わ…凄い荷物の量だね。」

「うん。冬休みの間はずっと居るつもりだからね。着替えとか色々用意したらいっぱいになっちゃった。」

「じゃ、全員揃ったし行こうか。」

「これだけ人数と荷物があると馬車代もそれなりにすると思うけど…大丈夫かい?」

「多分いらねぇんじゃねぇか?」

「え?」

「よく分かったね、ガーヴ。」

「ま、1回体験してるからな。見当はつく。」

「《ディメンションチェスト》」


降助が手をかざすと、大きめのゲートが出現し、向こう側には館の玄関が見える。


「な…何これ!?」

「ディメンションチェストっていうんだけど、元々は収納魔法のつもりがこんな機能がついちゃったんだ。」

「は?コレ収納魔法なのか?」

「しゅ…収納魔法が転移魔法に……」

「なんで??」

「なんでだろうね…あ、ちなみにこれ3秒以上居ると仮死状態になって動けなくなるから急いでね。」

「「「「なんで??」」」」


困惑しつつもゲートを素早く通過し、館の玄関の前に出る。


「へぇー…これがこーちゃんのお家なんだ…おっきいね……」

「「「こ、こーちゃん!?」」」

「あっ…こ、これも内緒ね!?」

「おいコウスケテメェ!どうなってやがるんだ!?貴族に愛称で呼ばれてやがるだと!?」

「あーもうまたこれか!!振らないでって!!」


一行が玄関前で騒いでいると、眠たそうに瞼を擦りながらヴニィルが出てくる。


「まったく…誰だ?館の前で騒ぐ不届者は……」

「あ、ただいま。ヴニィル。」

「む、コウスケか。久しいな。元気にしていたか?」

「まあね。あ、紹介するよ。シューヴァルト学園の友達。カイトとは前に会ったんじゃないかな?」

「ふむ…?……ああ、コウスケが1ヶ月の眠りから目覚めた時に居た銀髪のやつか。」

「お久しぶりです。…って、彼はこの館に住んでたのかい?」

「まあね。」

「という事は―」

「お!師匠!帰ってきてたんだな!おーい!トーカ!ベル!師匠が帰ってきたぞー!」


ヴニィルの横からクーアがひょこっと現れると、トーカとベルを呼んだ。


「あ!ホントだー!おかえり!師匠!」

「お客さんもいるんですね。すぐに準備します!」

「私も手伝うよ!」

「ありがとうございます。」


2人は挨拶だけ済ませると、準備の為に奥に引っ込む。


「ほら、師匠の友達も入れよ!外に居たら寒いだろ?」

「うむ。荷物は我が持とう。さ、入るがいい。」

「入るがいいって…一応俺の家っちゃ家なんだけど……」


一行はヴニィルとクーアに荷物を預け、中へ入る。


「へぇ〜…結構広いねぇ。」

「まあ、元々7人で暮らしてたからね。」

「7人!?そんなに居たの!?兄弟とか…?」

「ああ、いや。育ての親が6人なんだ。」

「うん??」

「…もしかして、捨て子だったの…?」

「いや…ちょっと説明が難しいんだけどね。何にせよその6人に育てられて、これだけ強くなれたんだ。」

「成程な。その6人が師匠でもあったって事か。」

「うん。」

「で、今はその6人はどうしてんだ?」

「…全員亡くなったよ。」

「っ…そ、そうか……それは…悪かったな。」

「いや、大丈夫だよ。それより、修行だけどどうする?早速やる?」

「そういえばガーヴ君は元々それでコウスケの家に行くって話だったね。」

「オレはいつでもいいぜ。」

「よし。じゃあやろっか!」

「じゃあ僕も参加させてもらってもいいかな?」

「いいよ。クレイとミレナはどうする?」

「私は見学かな。」

「私もとりあえず見学で。気が向いたら参加してみようかな。」

「オッケー。じゃあ行こっか。」

「では我も修行に参加しよう。やはり体は動かさなければ鈍るからな…!」

「お、修行すんのか?じゃあオレも参加するぜ!」

「クー姐がやるなら私も!」

「わ、私もお手伝いします!」


こうして全員で修行場に向かう事になった。

遂に第6章、貴族部転入編が始まります!★やいいねで評価していただけると励みになります。

降助君の口調がブレててちょくちょく修正してますがまあ中々大変ですね。恨むぞ、過去の自分……もうちょっと計画性を持って書いてくれよ……

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