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第60話 襲撃 1

時は少し遡って数時間前、ヨールド帝国の魔王城にて。


「バラシアン第一学園都市ですか?王都ではなく?」

「そうだ。」

「そこを滅ぼすんですか?」

「ああ。」

「理由を聞いても?」

「理由は単純だ。新たな戦力が生まれる事を防ぐ為、と言えば分かるだろう。」

「成程。で、街は徹底して破壊するとして…生徒や教師達は?」

「殺しても殺さなくても構わない。どうせ後で全て滅ぶ。その時間が多少伸びる程度、誤差だろう。」

「分かりました。ではすぐに出発します。」

「ああ。任せたぞ。ルムザ。」


そして時は今、シューヴァルト学園…


「あ、あそこだね。じゃあ皆、僕は学園を攻めるから君達は適当に街を襲っといて。」

「は。」

「させるわけないでしょ。」


降助は目視でざっくりと座標を指定し、ディメンションチェストでワープし、出し入れ口から飛び出す。


「なっ…なんだこいつどこから―」

「《クイックスラッシュ》!」

「ぐわあっ!」

「へえ、いきなり現れたり翼も何も無いのに飛んでるなんて…それ、魔法?」

「まあ。そういうそっちは…カブトムシみたいな羽だなぁ……」

「ああ、これ?カッコいいでしょ。こういう事もできるんだよ?」


ルムザは素早く距離を詰めて腕をクワガタの顎に変化させ、降助を挟むが降助は腕にシールドを展開し、防御する。


「へぇ…!やるじゃん!」

「体を昆虫の部位に変化させられるのか…!」

「そういうこと!」

「る、ルムザ様に加勢しろ!」「相手は人間の子供1人だ!やっちまうぞ!」

「僕はほっといて良いから早く街に行きなって!」

「《バインドチェーン》《ファイアボール》」

「うおっ…体に鎖が巻きついて離れな…ぐわああっ!」「し、縛られて動け…ぬああっ!」「や、焼かれ…ぎゃああっ!」

「結構むごい事するんだね?」

「街を攻めようとしてるお前らには言われたくない。」

「あっ…そ!!」

「!?」


一旦距離をとったルムザは体全体を黒く変化させ、焼かれた魔物の死体を蹴り飛ばして勢いよく突進してくる。


「重ッ…!《看破》…っ!」


【ルムザ・ヴァーグ】

種族:人間

年齢:20歳

性別:男

魔法:無し

スキル:虫化

状態:変質…クロカタゾウムシ ギンヤンマ


(成程…!攻撃が重いのは全身をクロカタゾウムシに変化させたから、こんなにスピードが出てるのは体のつくりの一部をギンヤンマに変化させたからか…!)


それからルムザはあっという間にシューヴァルト学園に到達し、降助は校舎の壁に叩きつけられる。


「がはっ…!」

「効いたかな?」

「…ッ《ヒール》!」

「君、ほんと多彩だね…そんなに魔法使って魔力切れない?」

「あいにく…スタミナには自身があるんでね!」

「おっと…」


降助の振った剣を躱し、再び体を変化させる。


「…っと。こんなもんかな。」

(サソリの尻尾にカマキリの鎌、バッタの脚と…クロカタゾウムシの鎧…ぼくのかんがえたさいきょうのこんちゅーキメラってやつ?)


互いに様子を窺っている中、ガーヴがやって来る。


「おい、大丈夫かコウスケ…って、なんだこの気持ち悪ぃヤツ。」

「多分大将首。ところで他の皆は?」

「街を攻めてきた魔物と戦ってる。状況は若干有利ってとこだ。」

「了解!」

「オレも手伝う!」


2人は剣を構えてルムザに斬りかかるが、ガーヴの刃は通らず、そのまま砕ける。


「な…!」

「残念でした。…でもなんでそっちの君のは通ったんだろうね?」

「ガーヴ、危ない!」

「うおっ」


ガーヴの首を狙って鎌が迫っていたが、降助が襟を掴んで引っ張り、すんでのところで避ける。


「…ありがとな。」

「ところでさ、武器ぶっ壊れたけどどうするの?」

「剣は折れてもな、この拳があんだよ。」

「…嫌な予感がする。」

「うるっせぇな!オラッ!《フレイムラッシュ》!!」


ガーヴは四肢に炎を纏わせ、パンチとキックのコンボを叩き込むが、中々ダメージは通らず、逆にガーヴが拳を痛めてしまう。


「ッ…!」

「退いてガーヴ!コイツはガーヴと相性が悪い!」

「クソッ…オレはまだ…!」

「ああもう、《ディメンションチェスト》!」

「うおわっ!?」


ガーヴをディメンションチェストで緊急離脱させ、街中の適当な場所に飛ばす。


「はあっ!!」


そのまま斬りかかるが、剣は空振りし、その隙を狙ってルムザが背後から鎌で攻撃してくるが即座に反応して躱わす。


「へえ、避けるんだ。」

「そっちこそ…どんなトリック使ってるのさ…!」

「教えないよ〜」

「いいよ。こっちで勝手に見るから…!《看破》」


【ルムザ・ヴァーグ】

種族:人間

年齢:20歳

性別:男

魔法:無し

スキル:虫化

状態:変質…ハンミョウ カマキリ ハエ


(ははん…カマキリは攻撃用の鎌って事で…この高速移動の仕組みはハンミョウか…!そして目の情報処理がそのスピードに追いつくようにハエの目って事だな…分かっててやってるのか本能なのか…こいつ、まさか転生者じゃないよね……ん?クロカタゾウムシに変化してない…つまり今は普通の攻撃でも通る!)「なら…《スピードステップ》!」

「へぇ…そんなので僕に追いつくつもりなんだ?」

「いや、追いつけない事くらい分かってるよ。だから…常時スピードステップを発動させながら縮地も使う。」

「―は?」

「《縮地》!!」


スピードステップで追いつつ、縮地で更に距離を詰めて攻撃を繰り出す。これを繰り返すうちに周りの建物は衝撃でヒビが入り始め、割れていくが2人は構う事なく高速鬼ごっこを続ける。


(なんてイカれているんだ…!縮地を扱える事もそうだけど、スピードステップと併用するなんて…!そんな無茶をすればまず体が耐えきれずに壊れる…!)「くっ…!」

「待…てー!」


攻撃は次第に当たり始め、ルムザの体に傷跡ができ始める。


(僕も多少リスクを負う羽目になるけど仕方ない…スピードを上がるか…!)

(まだ加速するのか…!ならこっちも…!)「《縮地》!」


高速移動する降助の体は更に加速した瞬間、悲鳴を上げ始め、足がどんどんボロボロになっていく。


「ぐ…《ヒール》!《縮地》!」

(まだ食らいついてくるか…!)

「《乱飛斬》!!」

「なっ…!」


高速移動の中、放たれる乱飛斬は周りの建物を破壊しながらルムザに数発当たり、更に傷跡を増やしていく。


「ぐうぅっ…!」(ずっとこの辺りに居るのはよくなさそうだな…なら…!)

「!待て!」


ルムザは学校を離れて街へ向かい、降助もすぐに後を追った。

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