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賢者に育てられた異世界転生児は最強となる  作者: 斬り捨て大根
第4章 少女とひと夏の冒険編
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第50話 手合わせ

「ここがコウさんとボウさんの部屋だけど…2人部屋でよかった?」

「ああ、まあ…それはいいけどよ…」

「?」

「なんつーか…ジジくせぇ部屋だなぁ…」

「ま、まあ…実際2人とも…というか師匠達皆おじいさんだったからね……」

「とりあえず、ここを使えばいいんだろ?じゃ、オレはこっちのベッドな。」

「じゃあ私はこっちだね。」

「で、どうする?早速修行始める?」

「お!いいな!やろうぜ!」

「私もやる!」

「じゃ、ちょっとついてきて。」


降助は2人を昔、修行に使っていた広場に案内する。


「へー、ここでやるんだな?」

「うん。じゃ、早速やろっか。」

「それで…修行って何するの?」

「1対2で木剣を使って戦う。まあ、取り敢えず1戦やってどんなもんか見るってとこかな。」

「1対2でいいのか?」

「うん。いいよ。はいこれ、木剣。」

「ありがと。」

「うーん…やっぱ片手剣だと軽過ぎて扱いにくいな…」

「そういえばクー姐、両手剣だもんね。」

「あ、それなら両手剣もあるよ。」

「じゃ、そっちにするわ。」


そしてクーアは両手剣を構え、トーカと降助は片手剣を構える。


「そんじゃー…始め!!」

「《飛斬》!」

「《大飛斬》!!」

「うおっ…いきなり飛斬か…!そういえばスキルも受け継ぐって言ってたな…《乱飛斬》!!」


クーアとトーカの放った斬撃は、降助の乱飛斬によって全て相殺される。


「マジかよ!?」

「ほら、どんどんいくよ!」

「クー姐、私が前に出る!」

「おう!」

(ちょっと驚かしてみようかな…)「《縮地》」

「きゃっ!?」


トーカは降助の縮地にギリギリで反応するが体が追いつかず、剣を弾かれて落とす。


「よーし次はクーアだよー」

「チッ……オラァッ!」

「おっと…」

「なっ…!?」


降助は横から迫るクーアの両手剣を、剣の切先で止める。


「う…動かねぇ…!?」

「押して駄目ならすぐ引く。呆気に取られてる間に攻撃されるよ?」

「えっ―」


思いきり振った剣を切先で止められ、驚いているトーカの頭を軽く手刀でぺしっと叩く。


「あだっ!」

「う…強い……」

「トーカは惜しかったかな〜。反応はできてたっぽいからあとは体が追いつけるように鍛えて、クーアの方は攻撃が大振りだったし、咄嗟の判断が遅かったから素早さとかを鍛えないとだね。」

「くっそー…いけると思ったんだけどなー…」

「頑張らなくっちゃ…」

「はい、じゃあ次も1対2でやってくよー」

「今度は何をやるんだ?」

「持久力…スタミナを確認する。俺は避けるだけだから、2人で攻撃し続けて。」

「分かった。」

「早速始めていいの?」

「うん。いいよ。じゃあ、よーい…始め!」

「オラァッ!」

「はっ!」

「ほらほら、クーアは攻撃が大振りになってる!」

「チッ…!」


その後も降助は攻撃を避け続け、10分程で2人がバテたので休憩に入った。


「ハァ…ハァ…か、掠りもしないってマジかよ…!」

「つ、疲れた……」

「うん、スタミナはそれなりにありそうだし、そっち方面は後回しで良さそうだね。そういえば2人はスキルは何を使える?」

「あーっと…なんだったかな…」

「とりあえず飛斬は使えたよね…あとは……」

「あ、こっちで見るね。《看破》」


【クーア】

種族:オーガ

年齢:13歳

性別:女

魔法:無し

スキル:大飛斬 飛斬 合掌波

状態:賢者の種


【トーカ】

種族:ドワーフ

年齢:10歳

性別:女

魔法:無し

スキル:飛斬 スピードステップ

状態:賢者の種


(賢者の種って状態の扱いなのか…)「成程…クーアは大飛斬、飛斬、合掌波でトーカが飛斬とスピードステップか。」

「えっ…私、飛斬しか使えないと思ってた……」

「オレもその合掌波ってやつは使った事ねぇし使える事も知らなかったな。」

「ふむ…眠ってるスキルがあるって事か…よし、今日はこんなところにして終わりにしようか。」

「ん?もう終わりなのか?」

「うん。2人にそれぞれ違う修行をしてもらおうと思って。そのプランを考えるから今日のところは終わり。また明日以降ね。」

「分かった。」

「はーい」


その後、館に戻って夕食を食べ、3人は眠りについた。そして降助はまた、夢を見ていた。今度は1人だけで、ワンピースのようなヒラヒラとした服を着ている事だけが分かった。そして夜が明け、朝を迎える。


(…久し振りに夢見たな……って事は…また会えるのか…賢者の生まれ変わり……次は誰かな…?)


そんな事を考えながら着替えた後、朝食を食べてクーアとトーカと一緒に3人で町へ出かける。


「暇だからついてきたけどよ……結局暇だな。」

「まあ…スタトは特に遊べるような場所とかは無いからね……ま、のどかで落ち着くから好きなんだけどさ。」

「あ、見つけた!コウスケくーん!!」

「…リアさん?何か用ですか?」

「うん。ギルドマスターがギルドまで来て欲しいって。」

「ここのギルドマスターがですか?」

「うん。」

「分かりました。」(そういえばまだここのギルドマスターと会ってなかったな…どんな人なんだろう?)

「なあ、それオレも行っていいか?」

「私も行きたい!」

「…いいですか?」

「うん。確か2人も冒険者だったよね?なら、パーティーメンバーとして行けると思うけど……」

「パーティーメンバー…」

「…?どうかしたの?」

「そういえばパーティー組んでなかったなーって…」

「そうだった…私達…ずっと一緒にいたけどパーティー組んでなかったね……」

「あ、そうなんだ。」

「そ、それなら手続きしておく?一応すぐ済ませられるから!」

「じゃあ…そうしとこうか。」


それからギルドに向かい、諸々の手続きも順調に進んでいたのだが…


「リーダーも俺に決まった、2人のメンバー登録も終わった、注意事項もちゃんと確認した…で、後は……」


降助がちらりと後ろを見ると、クーアとトーカが言い合っていた。


「コウスケがリーダーだから"コウスケと愉快な仲間達"でしょ!」

「いやいやいや、ありえねぇだろそんなクソダサネーミング!ここは"最強伝説"だ!!」

「最強伝説だってダサいじゃん!!」

「コウスケと愉快な仲間達ってなんだよ!昔話の題名か!?」

(もうこのやり取りで充分愉快な仲間達だよなぁ…)「どうしたものか…」

「では"ホープ"、はどうだろうか?シンプルな名前だがそれもまた良いだろう。」

「あ、ギルドマスター!」

「え!?レスターさんがギルドマスターなんですか!?」

「ああ。最初は町の傭兵達のリーダーで充分だとは言ったのだがな。周りの人達がこぞって推薦してきて、それを無下にするのもどうかと思ってな。今は傭兵達のリーダーと兼任してギルドマスターをやっている。」

「そうだったんですね。」

「それで、パーティー名はホープで良いか?」

「はい、お願いします。」

「ああっ、私達が言い争ってる間に違うのに決まっちゃった…!」

「しまった…!」

「では、話もまとまったようだし、執務室まで来てくれるか?」

「そういえばそうでしたね。じゃあ行きます。」

「うむ。」


パーティーを結成し、名前も"ホープ"に決まった一行は、執務室のソファに座ってレスターの話を聞く。


「今回君達を呼んだのはこれを届けてほしいからだ。」


そう言ってレスターは包みを机の上に置く。


「これをどこに届けるんですか?」

「冒険者ギルドの本部だ。」

「ギルドの本部…」

「うむ。この町、スタトがヤーラマ山脈のすぐ側にある事は知っているな?」

「はい。なんなら住んでる館もヤーラマ山脈の中にありますし。」

「そういえばそうだったな。それで、ギルド本部というのはここ、スタトからおよそ南西の方角、険しい山に囲まれた場所にある。」

「成程…という事は馬車などで運搬する事が難しいからこうやって配達の依頼をするわけですね。」

「そういう事だ。受けてくれるか?…と言っても、ここのギルドは新しくできたばかりで冒険者もあまりいないからほぼ強制にはなるがな。」

「はい。大丈夫です。」

「ありがとう。では早速準備をして出発してくれ。ヤーラマ山脈は危険で溢れているからな。時間がかかっても仕方ないとは思うが大体2、3週間を目安に届けてくれると助かる。」

「分かりました。」


降助は机の上に置かれた包みを持ち、準備の為に館に帰るのだった。

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