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第37話 ルームメイト

校舎を出た2人は校庭や講堂を眺めつつ学生寮に向かう。


「じゃ、俺こっちだから」

「ああ待って、僕もそっちだよ。」

「んじゃ、もう少し一緒に行こうか。」


学生寮に着いてから数回同じやり取りをした後、2人は1つの結論に辿り着いた。


「これは…あれだね。」

「…だよね。」

「俺達、同じ部屋だね。」

「みたいだね。」

「まあ…そういえば手続きした時に2人部屋みたいな事言ってたよなぁ…」

「とりあえず中を見てみようか。」

「じゃあ開けるね。」


ドアを開けるとキッチンが併設されたダイニングと2つの部屋にトイレと浴室も完備されていた。


(2DKにトイレと風呂…まあシャワーだけで浴槽は無いけど…別々で完備されてるとは…これ相当良い物件だな……)

「部屋、どっちにしようか?」

「ああ、俺はどっちでも良いよ。日当たりとかあんまり気にしてないから。」

「じゃあ僕はあっちの部屋にさせてもらうよ。」

「分かった。」


ドアを開けて中を見てみるとベッドと机、クローゼットだけが置かれた簡素な部屋になっていた。


「まあ…必要最低限のものだけって感じだな。確か家具とか物の持ち込みは自由だったから…早速出すか。」


そう言って降助はポーチから本棚や両手杖、箒を飾る棚など館から持ってきた物を次々と出していく。


「試験の結果が出るまでの間に館から必要な物色々持ってきておいて良かったな。えーっと…これはあっちに置いて…これはあそこにしまって…と。」


部屋に出した物を整理しているとふとドアをノックする音が聞こえる。


「コウスケ、入っても良いかい?」

「あー今ちょっと物を整理してるから少し待って。」

「分かったよ。」


降助は残りの物を素早く片付けてカイトを部屋に入れる。


「あれ、こんなに物あったっけ?」

「ああ、えーと…ほら、事前に運んでもらってたんだよ。棚とか色々!」

「そっか…僕もそうすれば良かったな…実家にある私物は後で持ってくからって言って置いてきちゃったよ…」

「は…ははは…」(ウインドヒルにいる時にマジックポーチの店があったから覗いてみたけど、ジックさんに貰ったやつより容量少ないやつでも相当な値段したし安易に人前で使わないようにしといて正解だな…)

「しかし、かなり沢山の本があるんだね。結構古めの本から割と最近の本まで……」

「まあ…昔からよく本読んでたから…」

「へぇ…!コウスケは魔法科も受けたのは知っているけどもう杖も箒も持ってるんだね!しかも両手杖なんだ!」

「人から貰った物なんだよ。ずっと大切にしてるんだ。」

「そっか…あ、ごめんね!?なんか僕だけ色々とジロジロ見ちゃって…もし良かったら僕の部屋も見るかい?」

「…じゃあお言葉に甘えて見せてもらおうかな」

「いいよ〜是非見てほしいんだ!」


そう言ってカイトは降助を自室に連れていく。


「…と言っても私物は殆ど置いてないから見応えは無いけど…」

「そうかな?あの壁に飾られてる剣とか綺麗に磨かれてて良いな、とは思ってるけど…」

「ああ、あれはね、父さんの剣なんだ。昔、父さんが冒険者を引退した時に譲り受けてね。それから大事にしてるんだ。」

「そうか。親父さんから貰った剣か。」(そういえばストームドラゴンと戦った時に両手斧壊してから新しいの買ってないし、つっかえ棒にして使った槍も(たわ)んでるしちょっとファイアボール使った時に焦がしたんだよな……)

「さて…今日はどうしようか?昼食にはもう遅いし…かといって夕食や風呂には早いし…」

「ならスイーツでも食べに行く?」

「確かに丁度おやつの時間だね。どこか良い店を知っているのかい?」

「まあ、この街に来た時にぷらぷらしてたまたま見つけた店なんだけどさ。」


2人は早速支度を済ませ、街へ出かける。


「確かこの先の…ああ、あったあった。あそこだ。」

「あそこか〜!僕もここに来た時に見かけたけどスイーツの店だったんだね。」

「じゃあ入ろうか。」


店に入った2人は店員に案内され、2人用のテラス席に座る。


「テラス席か。風が気持ちいいね。」

「そうだな。」

「こちらメニューになります。」

「ありがとうございます。」

「何食べようかな…」

「オススメはこちらのカップル限定メニューのビッグパフェですよ。」

「……」

「……」

「…?」

「彼…男です。」

「俺…男です。」

「えっ!?あっ、そうなんですか!?す、すみません…!」

「いえ、気にしないでください。」


気まずい空気が流れつつもカイトと降助は注文を済ませてスイーツが来るのを待っていた。


「はぁ…なんで俺ってこんなに女に間違われるんだろ…」

「うーん…そうだね……原因はおそらく…ふんわりした髪型、長いまつ毛、華奢な体つき、かな。」

「ぐっ……こ、声で分かったりしないの…!?」

「う〜ん…声は男っぽいようで若干の女っぽさがあるからね…あんまり判断材料にならないかも。」

「う、嘘でしょ……」


いつまで間違われ続けるのかと頭を抱える降助の下へケーキが2つと紅茶が運ばれてくる。


「お待たせしました。」

「ありがとうございます。」

「ありがとうございます……」

「ほら、ケーキ来たし早速食べようよ。」

「うん……」


降助はカイトに促され、意気消沈したままケーキを食べ始める。


「はむっ……ん〜美味しい〜!」

「……」

「な、何…?俺の顔になんか付いてる?」

「そういうところだよねぇ……」

「え…?」

「ま、いいや。僕もケーキ食べよ。はむっ。おお、これは結構美味しいね…!」


あっという間にケーキを平らげた2人はゆっくりと紅茶を飲んだ後、代金を支払って店を後にする。


「結構のんびりしてたから日が沈み始めたね。」

「そうだな…夕飯はどうするか…」

「そういえばコウスケは自炊はするのかい?」

「ん?まあ人並みにはできる自信はあるけど。」

「じゃあコウスケさえ良ければ何か作ってくれないかな?僕、コウスケの料理が食べてみたいなって。」

「まあ良いけど。じゃあ買い物して帰るか。」(そうだな…となると何を作るか…主食はパンだし…ミネストローネにするか。)


降助は店で野菜とベーコンやその他調味料を買い揃える。


(へぇ…この世界って結構調味料とか食材が揃ってるんだな。瓶入りのトマトソースっぽいのもあるし粉とか固形のじゃないけどコンソメっぽいのもあるな。これなら大丈夫そうだ。)「―よし、こんなもんだな。」

「そっちの袋、持つよ。」

「ありがと。」


食材の入った紙袋を抱えて帰ってきた降助は早速料理を始める。


「まず具材を食べやすいサイズにカット。それが終わったら鍋にニンニクとオリーブオイルを入れて加熱。」


暫くするとニンニクとオリーブオイルの食欲をそそるような香りが出始める。


「うん。やっぱニンニクとオリーブオイルは最強だな…食欲をそそる…!っと。そしたらベーコンを入れてよく炒める。いい感じになったら野菜を入れて…また炒める。そしたら水、トマトソース、コンソメを入れて…と。」


暫く煮込んでいると沸騰し、灰汁(アク)が出始める。


「火を弱めて…灰汁を取る。そしたら更に15分程煮込む。待ってる間にパンを切って…サラダも作っとくか。」


フランスパンのような長めのパンをカットしていき、皿に乗せた後、レタスやキャベツ、ニンジンやトマトをカットしてサラダを作っていく。


(ドレッシングまで売ってるんだから驚いたな…ひょっとして過去にも転生した人がいて調味料とか色んな料理作りまくって流通させたんじゃないかな?なーんて…)「ん、15分経ったな。それじゃあ塩と胡椒で味を整えて…仕上げにパセリを少々。よし、完成!」


出来上がったミネストローネとパン、サラダをテーブルに運ぶ。


「わぁ…!美味しそうだ…!」

「じゃあ早速食べよう。」

「「いただきます。」」

「うわ…!凄く美味しい…!こんなに美味しいトマトスープは初めて食べるよ!」

「…そんなに?」

「そうだね…トマトスープというと大抵は味気ないものばかりだからね…ここまで色々具材が入ってて美味しいのは中々見ないよ。」

「ふーん…あ、これパンにつけて食べても美味いよ」

「本当かい!?どれどれ……んん!本当だ!美味しいね!」


その後もどんどんミネストローネを平らげていき、おかわりまでした2人はシャワーを浴び、明日に備えて眠る事にした。

改めてこの物語を最初から読み返してみると結構誤字があったり、ここはこうした方が良いよな?って思ってちょこっと修正を入れたりする事が多々あります。もっと計画性を持って小説を書け自分。気ままに書くんじゃない自分。

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