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第29話 昇格

ウインドヒルのギルドへ戻ってきた降助は早速受付に向かい、ダンジョン探索の成果を報告しに行く。


「あ、コウスケさん!ダンジョン探索はどうでしたか?」

「まあまあ収穫はありましたよ。あ、そういえばダンジョンの新しいエリアを見つけたんですけど…」

「ああそうなんですね。ダンジョンの新しいエリアを見つけたんですか……ってえぇ!?新しいエリアを見つけたんですか!?」

「えぇ…はい……」


降助からの報告に驚く受付の騒ぎを聞きつけたのかまた男2人組が絡んでくる。


「おいおい嬢ちゃん、いくら報酬が欲しいからって嘘はよくねぇなあ……」

「そうだぜ〜?あのダンジョンはとっくのとうに探索されまくってんだぞ?あり得ねぇって!」

「…もし本当ならお手柄ですが…詳細をお聞きしても?」

「えーっとですね…他の階層と違って凄く広くて…水光石ってやつの鉱床がちらほらありました。」

「すっ…水光石の鉱床があったんですか!?」

「はい…それで魔物はケイブスネークが多かったですね。あと、狭い通路みたいなところもあって広間に繋がってるんですけど…そこに入ったら閉じ込められてラージゴーレムが襲ってきたんです。」

「らっ…ラージゴーレムまで…?大丈夫だったんですか!?」

「はい…それはもう綺麗に真っ二つですけど……」

「いやいや…流石に話盛り過ぎだって嬢ちゃん…あんな初心者向けダンジョンでそんな手強いやつ出ねぇって…」

「…証拠ありますけど見ます?」

「えっ…」


そう言って降助は3人の前で真っ二つになったラージゴーレムの核を取り出す。


「うっ…嘘だろ…」

「《鑑定》…はい、これは確かにラージゴーレムの核です…!」

「いや、ま、まだどっかから買ってきたって可能性も…」

「お、おう…だよな…?」

「…何にせよすぐに調査隊の派遣要請を出しますので…また明日にでもギルドに来ていただければ…」

「分かりました。じゃあまた明日来ます。あ、この核と…いくつか採ってきた水光石って買い取ってもらえますか?」

「あ、はい。それなら今すぐできますよ。」

「じゃあお願いします。」

「ではお預かりしますね。」


ラージゴーレムの核と水光石を受け取ったレーシアは奥の部屋に格と水光石を運び、キーカを乗せたトレイを持って戻ってくる。


「では…ラージゴーレムの核が10000キーカ、水光石が3000キーカで計13000キーカになります。」

「うおぉ…1000キーカが13枚も…!」


その後、懐がホクホクになった降助はちょっぴり豪華なレストランで夕食を食べ、ちょっぴり豪華な宿屋で1泊した。ちなみに現在の降助の所持金は7400キーカである。


「ちょっと贅沢しても半分は残ってるって素晴らしいな…とりあえずギルドに行くか。」


降助は宿屋で軽い朝食を食べてギルドに向かう事にした。


「こんにちはー…」

「あ、コウスケさん。丁度良いところに来ましたね!さっき調査隊が帰ってきたところなんです!」

「あ、そうなんですか?」

「はい!それでコウスケさんにはですね…まず報酬として10000キーカが支払われ、冒険者ランクがストーンランクに昇格となります!」

「い…10000キーカに冒険者ランクがストーンランク…!」

「そしてこちらが、新しいギルドカードになります!」

「おお…!」

「すげぇじゃねぇか嬢ちゃん!お手柄だな!」

「いやー昨日は疑って悪かったな!許してくれ!」

「えっ何急に…ホント急に褒めてくるじゃん…え…?」

「いや正直な?ひ弱そうな女の子だから舐めてたんだけどよ…」

「成果出した以上は認めないと…なぁ…?」

(こいつら…常識あるんだか常識無い(初手セクハラ発言)んだか…)「は、はぁ…?」

「とにかくだ!ダンジョンの新エリアを見つけた上にマジでラージゴーレムを倒したってんならいち冒険者として尊敬っつうもんを持たねぇとな!」

「だよな!」

「は、はぁ、どうも…っていうか俺は男ですし、初っ端のセクハラ発言もどうかと思いますよ?」

「いや、それはすまん…酒に酔ってるとつい……ってアンタ男だったのか!?」

「嘘だろ!?」

(あーもーコイツらが何なのかよく分かんなくなってきた……)

「な、何にせよめでてぇ事だ、俺らが酒場で奢ってやるよ!」

「パーッと飲もうぜ!」

「いや俺未成年……」(…そういえばこの世界って何歳からお酒飲めるんだろう…?)

「おっとすまんすまん…酒は18からだったな」

(ほへぇ〜…この世界じゃ酒は18歳からいけるのか…元の世界より2歳早く飲めるんだな…)「というか…お気持ちは嬉しいんですけどさっき朝食食べたばかりなので…」

「なら夜だ!夜に飯食おうぜ!」

「またなボウズ!」

「は、はぁ……」


降助は最後までポカンとしながら、依頼へ向かう2人組の男を見送った。


「一応悪い人達ではないんですよ。ちょっと酒癖が悪くて酔うとちょっとアレですがアイアンランクの実力はあるんです。」

「つまり…人は見た目によらないと…でも酒に酔ってギャハハって笑いながらヤバい絡み方するのは本当に酒飲ませるのやめた方が良いのでは…?」

「それは…そうなんですけどね…一応…ある程度活躍はされている方なので…」

「…大変ですね…」

「はい…」

「…あ、そうだ。折角だし依頼でも受けてみようかな…」


降助は早速ボードへ向かい、何か依頼がないか探す。


「うーん…」(特にこれといった依頼はないな…お金も今はとりあえず困ってないし…今日は散歩でもしてようかな…)


依頼探しを諦め、ギルドのドアを開けて外に出ると、少年とすんでのところでぶつかりそうになるが降助が素早く反応して止まり、ぶつかる事はなかった。


「っと…ごめん。」

「いえ…お気になさらず…」

(…裸足にボロボロの服…何かありそうだな…今は暇だし話でも聞いてみるか。)「君、ギルドに何か用?」

「あの…えっと…いや、なんでもないです…」


降助は引き返そうとする少年の腕を掴んで引き留める。


「なんでもないならこんな所にそんな顔して来ないでしょ。俺でよければ話聞くよ。」

「……。その…お母さんが…病気なんです。」

「ふむ。って事はギルドには薬の材料になる薬草の採集とかの依頼を出しに来たのかな?」

「はい。でも…お父さんは昔にいなくなっちゃって…お母さんも病気で働けなくなっちゃったからお金が無くて…依頼の報酬も払えないし、薬もその材料も何も買えないんです。」

(うーんなんというヘビーな状況…ここまで首を突っ込んだ以上は引き下がれないか。ま、元々引き下がるつもりもないけど。)「俺で良ければ依頼受けようか?」

「えっ…でも…お金……」

「いらないいらない!タダで良いよ。」

「そ、そんなわけには…!」

「いいからいいから!人からの厚意は素直に受け取っといた方が得だよ?」

「本当に…良いんですか…?」

「大丈夫だよ。まずはお母さんのところに案内してくれる?容体を見なきゃ。お医者さんを呼ぶお金もなかったんでしょ?」

「うん…ありがとう…!」

「あ、俺の名前はコウスケっていうんだ。よろしくね。」

「うん、よろしくね!コウスケお兄ちゃん!」


降助と少年は手を繋ぎ、少年の母親の下へ向かうのだった。

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