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第27話 ダンジョン探索

ギルドへ戻ってきた降助はあの2人組に絡まれることなく受付に向かうことができた。


「依頼の達成報告をしたいんですけど…」

「あ、はい。確かゴブリンの討伐でしたね。では鼻を…」

「えーっと…」

「…?ああ、大丈夫ですよ?仕事ですから慣れてます。」

「…そうですか?正直、女性に削ぎ取ったゴブリンの鼻の山を見せるのは躊躇われるというか…」

「いえいえ、本当にお気にさらなず。…ふふっ。」

「?」

「いえ…初心で可愛い子だな、と思いまして…あ、すみません。では確認しますね。1、2、3……12匹ですか…結構大変だったのでは?」

「いや、そうでもな……いやぁ〜!まあ大変といえば大変でした!幸い怪我もなかったんですけど12匹ですからね!大変でした!!」

「…?では依頼の完了を確認したので報酬をお渡ししますね。1匹あたり100キーカの報酬ですので…1200キーカになります。」


そう言って受付はトレイに1000キーカ貨幣と100キーカ硬貨を2枚置いて渡す。


「おお…冒険者稼業初めての稼ぎだ……」


ふと降助の腹の虫が鳴る。


「そういえばまだ何も食べてなかったな…折角だし併設されてる酒場で食べれるものとかあれば食べてこうかな…」(またあいつらに絡まれないと良いけど…)


若干不安になりながら酒場に向かうと幸いな事に2人組は居たものの酔っ払って眠っており、当分は起きそうになかった。


「まずはひと安心…って昼間から酒飲んで寝るとか…いいご身分だなぁホント…」

「らっしゃい。何か食っていくか?」

「はい。じゃあえーっと…ピラフとオレンジジュースで。」

「あいよ。できたら持ってくから好きな席に座りな。」


なるべく2人組から距離を取りたい降助は窓際の席に座る。


(良い天気だなぁ…そういえばクレイ…無事にちゃんと帰れたかな?)


そんな事を考えながら待っているとピラフとオレンジジュースが運ばれてくる。


「あいよ。ピラフとオレンジジュースだ。」

「ありがとうございます。…いただきます!」


ピラフをスプーンで掬い、一口、また一口と食べ進めていく。


「わっ…!美味しい…!」

「どうだ?旨いだろ」

「はい!とても美味しいです!いい感じにパラパラで野菜とベーコンもよく合ってとっても美味しいです…!」

「本当に旨そうに食うな…まったく、いい食いっぷりだよ。」


降助はあっという間にピラフを平らげ、オレンジジュースも飲み干した。


「それじゃあ800キーカです。」

「毎度あり。また食いに来いよ。」

「はい!」(ちょっと奮発しすぎたかな…もう400キーカになっちゃった…ちょっと依頼でも受けようかな…)


再び受付の方へやってきた降助は依頼が貼られているボードを眺める。


「うーん…」

「いい依頼が見つかりませんか?」

「あっ、受付の…お姉さん…」

「ああ、そういえば自己紹介をしていませんでしたね。私の名前はレーシアです。今後もよろしくお願いしますね。」

「はい。よろしくお願いします。」

「それで話は本題に戻りますが…いい依頼がなければダンジョンに行ってみる、というのはどうでしょうか?」

「ダンジョンがこの辺りにあるんですか?」

「はい。コウスケさんがゴブリンの討伐に向かった森とは反対方向に平原が隆起してできた洞穴のようなものがあるんですが…それの内部がダンジョンになっているんです。特に難しいダンジョンでもないですし、オススメですよ。」

「ふむ…じゃあちょっと行ってみようと思います。」

「よろしければこちらの地図を持っていってください。最下層である第5層まで描かれています。」

「いいんですか?」

「本来は200キーカいただきますが…未来への投資です。他の人には内緒ですよ?」

「…ありがたくいただきますけど…どうして僕にそこまで?」

「ただの勘ですよ勘。でも案外侮れませんからね?」

「そ、そうですか…」


地図を受け取った降助はダンジョンの位置を聞き、人目を避けてフライトで飛んでいく。


「…と。ここがダンジョンか……中は…暗いな。なら、《ライト》」


魔法を唱えると右手に小さな灯りが現れ、降助の周りを漂い始める。ダンジョン内部は洞窟のようになっており、ライトの光が届かない場所はほぼ真っ暗と言えるほど暗かった。


「よーし行くか…って、いきなり魔物か……」


敵の気配を察知し、剣を抜く降助の前に3体ほど骸骨が現れる。


「スケルトン…といったところかな…とりま…《乱飛斬》!」


降助の剣から乱れ飛ぶ斬撃はスケルトンを容易く斬り裂き、あっという間に骨の山に変えてしまう。


「ま、こんなもんか…確かスケルトンは…大抵は金になる物は持ってないんだったかな…なら、さっさと次の階層を目指した方が良さそうだな。」


その後は地図を片手に次の階層を目指して進んでいく。途中でゴブリンやコウモリ、ヘビなどに襲われるが一瞬で返り討ちにし、素材まで剥ぎ取っていた。


「あっという間に5層に着いてしまった…」


暫く第5層を探索していると、1つだけポツンと置かれた宝箱を見つける。


「罠かな……でも開けてみたいな……うーん…どうしたものか……あ、そうだ。《シールド》」


シールドを上半身を守るように展開し、宝箱の蓋を開ける。すると突然、鋭い牙と舌が現れ、蓋が勢いよく閉じようとする…が、予め展開されていたシールドに阻まれる。


「ミミックだったかー…残念。」


蓋を閉じれずに硬直しているミミックの喉奥に剣を突き刺すとミミックは呆気なく息絶える。


「ダンジョンの主が居るのはこの先…と思いきやまた魔物か…うわ、しかもあの時倒したちょっと違うゴブリンじゃん……いっぱい居るし…」


降助の前に5匹ほどのゴブリンリーダーが現れる。5匹も居るのに全員がリーダーとはこれいかに、といったところだが降助は知る由もなかった。


「丁度いいや。あの時試せなかった技を試してみるか…《合掌波》」


降助が手を叩くと衝撃波が発生し、ゴブリンリーダー達を壁に叩きつける。仕留める事はできなかったものの、確実にダメージを与える事に成功した。


「ギギッ…!」

「流石にこれで倒せるほどヤワじゃなかったか…それなら…!」


ゴブリンリーダー達と一旦距離を取り、魔法を発動する準備をする。


「《エレメントボール・ファイブ》!」


いざ発動したは良いものの、5発のうち2つはファイアボールになってしまったり、1発は不発だったりと散々だったが火力自体はあったので4匹は仕留める事に成功する。


「やっぱりジックさんは凄いなぁ…こんな魔法を使えたなんて……俺も制御がまだまだって事か…」

「ギーッ!!」

「《ファイアスラッシュ》!」

「ギャッ!」


最後のゴブリンリーダーも炎を纏った斬撃で一刀両断される。魔物を倒しきり、一息ついた降助はふと風の音が響いている事に気付く。


「…なんか風が流れてる音がするな。さっきまで聞こえなかった筈だけど……この辺りっぽいな。」


音が聞こえてきた辺りを探索していると、壁に穴が開いており、風が通っている事が分かった。


「ここか…もしかして未発見のエリアだったりしないかな〜…なんて……ね!」


マジックポーチから取り出した両手斧を勢いよくスイングして穴を人が通れる大きさまで広げる。


「斧って掘削に使う物だっけ…?まあいいや、できたし。…そんな事よりもこれは確実に未発見なやつだよな…?ちょっと行ってみるか…」


両手斧をポーチにしまった降助は新たなエリアへと足を踏み入れていった。

いつの間にか総合評価が100ptを超えていました!これも応援してくださっている皆様のおかげです。これからも皆様に楽しんでいただけるよう、頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。

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