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第2話 転生したら赤ん坊だった

「ここは…?」


目が覚めるとそこは病院ではなく、極彩色の異空間だった。


「俺…死んだ…のか?まあ、そうだよな。あれだけ殴られて刺されまでしたのに死んでなかったらヤバ―」

「そうだね。君はもう死んじゃったよ」

「うわぁ!ビックリした!!」


声がした方を見ると古代ギリシャの人の様に布を巻いた少し幼い男が現れる。


「えーっと…貴方は?」

「と言われても…うーん……僕らのような神は役職以上の名前を持たないからなぁ……転生を司る神って事で。」

「転生を司る神……そんな神様古代ギリシャに居たかな…ってなんで日本なのに古代ギリシャみたいな格好してるんですか?」

「え?だってほら、なんか神っぽいし。」

(そんな理由でファッション……人間もするか。なんか◯◯っぽいって理由のファッション……)

「さて、じゃあ早速本題に入るよ。コホン。不幸にも死んでしまった青年よ、君の願いを一つだけ叶えて転生させてあげよう。さあ、願いを言いたまえ。」

「願いを叶えて転生…?」

「そう。君はあの女の人を助けるために勇敢に立ち向かった。けどまあ酷い目に遭って殺された。いやー僕も死の予感がしたから覗いてみたけど見ててゾッとしたよ…ああいう人間ってちょいちょい居るよね……と。話が逸れちゃった…で、願いは何かな?大抵は叶えられるから好きに言っちゃって良いよ。」


そう言われるも結論が出ない降助はしばらく考えこむ。


(そういえば…あの時後悔した事がある。女の人を助けなければ良かったとかそういうのじゃない。助けた事に後悔は無いし助かったみたいで安心した。俺が後悔してるのは…女の人を連れて一緒に逃げれば良かった、とかもっと俺に力があれば、とかだ。……ふむ。力、か……)


それから少し考え、降助は遂に結論を出す。


「決めた。」

「お、何かな?」

「助けたいと思った人を助けられるくらいの力が欲しい。あとついでに他人だけじゃなくて自分の身も守れるくらいには。それでお願いします!」

「…成る程ね。良いよ。その願い、聞き届けた!では充実した第二の生を送れますように。」

「ありがとうございます!」

「あ、一つ言っとくけど転生だから勿論赤ん坊からのスタートだけど君の願いはちゃんと叶う。それまで頑張って!」

「…はい!」


降助は光に包まれながら浮いていき、次の瞬間にはドサっと音を立てて草むらの中に放り出される。


「あう?」(え?)


仰向けだったので身を捩ってなんとか四つん這いになり、周りを見渡すがいかんせん視点が低く、殆ど草しか見えない。


「あう!?あうあぁ!?」(嘘でしょ!?こんなのってアリか!?)


視界の大半が草だが周囲の調査のため、四つん這いで這いまわりながら地道に進んでいく。


「あうあ……あう!!」(普通こういうのはお父さんお母さんに囲まれて『元気な赤ん坊だわ!』とか『この子の名前は◯◯だ!◯◯〜!』みたいな流れでしょ!!…そういえば……俺の性別は一体どっちだ…?)


ふと覗き込んで股を確認するとソレがぶら下がっていた。


「あう……あうあぁ!?」(今回も男ね……ってちょ!?ま、マッパじゃん!!真っ裸じゃん!!中身17歳の男が全裸で草むらをハイハイってなんだ!?事案だが!?)


赤ん坊の降助がわあわあ騒いでいると向こうの草むらからガサガサと音が鳴る。


「あう!?」(なんだ!?ま、まさか野獣…!?転生早々死亡とかアリなのか!?)


ガサガサという音はどんどん近づいてくる。


「あー!!あぁー!!」(来るなー!!食べても美味しくないぞー!!こちとらただの赤ん坊だぞー!!)


遂に音の主が姿を現すが降助が恐れていた野獣ではなかった。


「あ〜?」(ん?人……?)

「こんなところに赤ん坊……?一体何故じゃ…?」


音の主は降助を抱き上げる。するとようやく全身を見渡せるようになったがどうにも人とは似つかない特徴があった。まずパッと見は男の老人だったが白い狐の様な耳と何本かの尻尾が生えていた。中華風の服装で日本風の着物を羽織り、右目にはモノクルを付けており、両手は肘の近くまで包帯が巻かれていた。


「あ〜?」(東洋風なんだか和風なんだか洋風なんだか…随分ごっちゃな服装だな……)

「捨て子じゃろうか……とにかく、連れ帰るとするかの。皆は何と言うか……ま、ええじゃろ。」


あれよあれよという間に森を抜けて荒れた道を抱き抱えられながら進んでいた。


「ふむ、流石に全裸は可哀想じゃしな…おむつ代わりに包帯でも巻いておくかの。」

(ほっ…これで人の尊厳は守られた……)


それから更に歩き、山奥まで来ると大きな洋館が姿を現す。


「ほ〜れ、もうすぐ着くぞい。」

「あ〜」(へぇ〜あんなところに住んでるんだ、このお爺さん……)

「ほっほ。興味津々みたいじゃの。」


少し歩いて玄関まで到着すると、老人はドアを開け、リビングの椅子に降助を座らせる。


「そこで待ってるんじゃぞ。ワシは少し人を呼んでくるからの。落っこちるでないぞ?」

「あう。」

「ふむ。お返事ができるとは良い子じゃ。」


しばらくすると複数人の話し声と足音が近づいてくる。


「……で、それが彼というわけじゃ」

「ほう…」

「こんな事があるんじゃな……」


そこには様々な種族の6人の老人達が居た。

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