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第18話 息抜きの秋

もしかすると今年最後の更新になるかもしれませんがならないかもしれません。

季節が秋を迎えてから少し経ち、周りの山の木々も赤く色付いていた。


「今日も修行は無しですか?」

「うむ。もうずっと修行続きじゃったし今年も色々あったじゃろう?たまには長くゆっくりする時間でもあった方がいいかと思っての。」

「確かに、何事も根を詰め過ぎるのは良くないですからね。」

「という事でハクと一緒に山菜やらキノコやらでも集めようと思っておるんじゃがダイヤも来るかの?」

「はい!是非!」

「だそうじゃ。」

「うむ。そうと決まれば早速行こうかの。準備はもうできておるぞ。」

「あれ、ジックさんは…?」

「ジックはあまり外に出たがらないからの。いつも通り留守番じゃ。」

「そうですか……」

「ただの出不精じゃよ出不精。」

「出不精ってそんな…」

「自他共に認める出不精じゃ。」

「ああ、もう自分も認めてるんだ……」


そんなやりとりもありつつ3人は森にやって来ていた。


「儂は食べれる物と食べられない物の見分けができる。迷ったらまずは儂に訊くんじゃぞ。」

「分かりました。」

「ワシは動物が狩れないか近くを探索してこようと思う。ダイヤは任せたぞい。」

「うむ。分かっておる。」


ボウは弓を持ってハクと降助と別れ、森の奥に進んでいく。


「では儂らも山菜採りとするかの。」

「はーい」


それから2人は森を歩き回り、様々な山菜を取っていく。


(なんか先が丸まっててゼンマイみたいな草だけど…食べれるかな)

「それは毒草じゃぞ。ネジレ(そう)と言って、食べると内臓が捩じ切れるんじゃ。」

「うっわ怖ッ!!」

「似た見た目の渦草(うずくさ)という草があっての。それは美味しく食べられる山菜なんじゃが間違える人が時折りいて酷い目に遭う事もあるんじゃ。」

「へ、へぇ〜……あ、このキノコは明らかにヤバそうだな。赤いし白いポツポツがあるし。どう見ても毒キノコ―」

「これは珍しいのう。ツブタケじゃ。傘の部分も美味しいんじゃがこの白いポツポツにはもっと旨みが凝縮されてての。これを塩に混ぜ込んだツブ塩というのがあってあまり出回らない上にそこそこ高いんじゃがとても美味しいんじゃ。」

「そ、そうなんですね〜……」(ヤバい…頭バグる…食べれない植物が知ってる植物と似てるせいでバグる……)


暫くすると森を歩き回っていたボウとばったり出会う。


「あ、ボウさん。」

「おや、ダイヤか。山菜は沢山採れたかの?」

「はい。結構採れました!ボウさんはどうですか?」

「ワシは今のところ成果無しじゃ。…そうじゃ、ダイヤさえ良ければ一緒に狩猟してみるかの?」

「良いんですか?」

「勿論じゃ。」

「儂も良いと思うぞい。山菜は儂が持って帰るから気にせず行って構わんからの。」

「じゃあ…お言葉に甘えて。」


降助は集めた山菜をハクに渡し、ボウと共に狩猟する事にした。ハクと別れて暫く森の中を探索していると鹿を発見する。


「あ、あそこに鹿がいますね。」

「うむ。少し様子を見るぞい。」


木の影から鹿の様子を伺うが周囲に他の動物や仲間はおらず、油断しているようだった。


「ふむ。いけそうじゃの。弓はいるかの?」

「いえ、これでいきます。《ストーンボール》!」


降助は鹿に人差し指を向けると石ころサイズの鋭い岩の玉を鹿の脳天目掛けて発射し、鹿を仕留める。


「ほ〜…随分と器用な事ができるようになったんじゃのう……」

「様子を見てる途中に魔法陣を構築して大きさを変えたり威力をいじったりと時間はかかったんですけどね。何事も無かったので良かったです。」

「では早速回収じゃな。今日は鹿肉で何を作ろうかの。」

(そういえばジビエって食べた事無いなぁ……せいぜいレストランで鴨肉の料理が出たくらいかも。母さんは苦手って言ってたけど結構美味しかったな……)


降助はボウと共に鹿を担いで館に向かい、玄関先で山菜を持って帰ってきていたハクと出会う。


「これはまた随分大きな鹿じゃのう。」

「そうじゃろう?たまたま1頭だったところを降助が仕留めたんじゃよ。」

「ほう…それは凄いのう。」

「えへへ…」

「しかも魔法陣を構築し直して魔法の大きさも変えるようになっての。ほら、傷もこの部分にこの大きさのが1つだけなんじゃ。」

「これは……日に日に見違えるように強くなっていくのう。」

「師匠達のお陰です。」

「さ、今日は鹿肉のローストじゃ。山菜も沢山あるようじゃし丁度良いじゃろう。」

「おお…!」

「降助も手伝ってくれるかの?」

「はい!」


ボウが鹿を解体し、降助が肉を切り分けてじっくり窯で焼いていく。ハクが山菜達でサラダや付け合わせを作り、ジックが肉にかけるソースを作る。


「…うん。このくらいかな。よいしょっと。」

「ふむ。いい匂いじゃのう。」

「後はこれを切って皿に乗せて……」

「ソースもできたぞい。」

「ありがとうございます。じゃあこれをかけて……できた!」

「おぉ…これは中々美味しそうじゃな。」


料理をテーブルの上に運んでいき、一斉にいただきますをして食べ始める。


「うん。いい感じに焼けてますね。」

「これはトランに次ぐ腕前じゃのう。」

「そんなにですか?」

「そんなにじゃよ。」

「うむ。儂もそう思うぞい。」

「ここまで美味しい料理はトラン以外だと中々食べた事ないのう。」

「そ、そんなに褒められると照れます……」


3人から太鼓判を押された降助は照れて顔を少し赤くしながらローストを食べ進めていく。


「…ふう。ご馳走様でした!」

「ユーリウスは戦い以外にも料理の腕も上がっていたんじゃのう。」

「まあ、ちょいちょい自炊に挑戦してみてるので…」

「さ、飯を食べ終わったのなら次は風呂じゃ。ワシが沸かしてくるから少し待っておれ。」

「はーい」


それから数分後、風呂が沸いたので降助は風呂に入り、1日の疲れを癒した。

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