中②
「小豆のアイスバーが固い事で有名だけど、羊羹も中々質量があるよね? そしたら俺、雷に打たれた様にある事を思い付いたんだ。
……持ち物検査で君は必ず羊羹を持っていた。それも二~三本分の形の悪い羊羹をだ。君は『店の廃棄分』と答えていた様だが、他の従業員から聞いたが君の店では羊羹は大人気商品で羊羹が毎日の様に売り切れて廃棄する事は殆どなかったと証言がある。
――――君は羊羹を使って人を殴っていた。そうだね?」
「―――――証拠は?」
隣人は静かに問うた。俺は静かに頷く。
「羊羹が凶器ならブロックの様に一纏めてにして殴っていた筈だ。ならば羊羹と包む布が必ずある筈だ。ハンドタオルやハンカチがあっても大きめの布は持ち物検査でなかったから恐らく布は使用後捨てたんだろう。
そして俺は大家さんの焼却炉を思い出した。君は時々大家さんの焼却炉にゴミを捨てていた事を話していた。もしかしてと思って大家さんにも協力して芝居を打った」
「まさか焼却炉が使えなくなったのは」
「嘘。でもまぁ遅かれ早かれ行政から指導が入るから使えなくなるのは間違いではなかったけど、あの時はまだ使えたんだ。殆ど賭けだったが、我々は賭けに勝った」
机の上に証拠を置く。
それは血で汚れた風呂敷だ。
「君が隣町のコンビニで捨てる所を確認出来たし、血痕も最後の傷害事件の被害者のDNAと一致した。何だったら君が住んでいたアパートや勤め先の和菓子屋にも家宅捜査をしているから他にも証拠が出るだろう」
隣人は椅子の背もたれにもたれ掛かり天井を見上げて
「結構自信あったんだけどな」
その一言で隣人が完落ちした証明だった。




