片想いをしている峰塚さんと二人で巨大人型ロボに乗って地球を守ることに!?
「お、おはよ、峰塚さん」
「……おはよ」
「あれ? どうしたのその包帯?」
とある朝の教室。
隣の席に座った峰塚さんの左腕に、痛々しい包帯が巻かれていた。
「……別に。ちょっと転んじゃっただけ」
「あ、そうなんだ」
確か前も転んで足を怪我したって包帯巻いてたことあったな。
しっかりしてそうに見えて、意外とおっちょこちょいなところもあるのかな峰塚さんは?
まあ、それはそれでギャップ萌えだけど。
……はぁ、今日も峰塚さんは綺麗だなぁ。
サラサラの長い黒髪に、意志の強そうな切れ長の瞳。
常に醸し出しているアンニュイな雰囲気が、高貴な猫みたいで神秘さを増している。
峰塚さんと同じクラスになり、一目惚れして早や数ヶ月。
自分なりにいろいろとアプローチはかけてきたものの、未だに峰塚さんの態度は素っ気ないまま。
流石に心が折れかけてきたが、まだ俺は諦めないぞ……!
「フッ、今日もいい朝だな諸君。ではホームルームを始めるぞ」
その時だった。
担任の桃先生が、白衣を翻しながら教室に入ってきた。
アンダーリムのメガネがキラリと光っている。
いつもながら、桃先生も美人だよなぁ。
峰塚さんの実のお姉さんだから当然ちゃ当然だけど。
因みに峰塚さんも桃先生も、どちらも名字は峰塚なので、俺は桃先生のことだけは『桃』という下の名前で呼んでいる。
峰塚さんの下の名前は『彩華』だが、もちろん彩華ちゃんと呼ぶ勇気は俺にはない。
でも、いつかは彩華ちゃんと呼べるようになる日がくるといいなぁ……。
――何てことを妄想していたら、今日も一日の授業が終わってしまった。
「フッ、では今日はここまで。最近はいろいろと物騒だからな。みんな寄り道などせず、真っ直ぐ家に帰るように」
「「「はーい」」」
とはいえ、遊び盛りの高校生が素直に帰るはずもない。
方々から、「ファミレス行こうぜー」とか、「カラオケ寄ってかない?」といった声が上がっている。
そんな中峰塚さんだけは、今日も無言で一人帰り支度をしていた。
……くっ!
「あ、あの、峰塚さん!」
気付けば俺は、峰塚さんに声を掛けていた。
「……何」
うおおおお、今こそ男を見せろ、俺ッ!!
「よ、よかったら、今から一緒に遊びに行かない?」
「……えっ」
「――!?」
その瞬間、いつもは無表情な峰塚さんの顔がポッと赤くなった。
およ?
「わ、私と秋星君の、二人で?」
「あ、うん。ああでも、嫌だったら全然無理はしなくて大丈夫だから!」
「秋星君……」
「彩華」
「「――!」」
その時だった。
桃先生が峰塚さんの肩にポンと手を置いた。
桃先生?
「お前に仕事が入った。今日も頼むぞ」
「…………わかったわ、姉さん」
仕事?
「……ごめんなさい、秋星君。私、バイトが入っちゃった」
「あ、そうなんだ! そういうことならしょうがないね! 俺のことは気にしないで、バイト頑張ってね!」
「……本当にごめんなさい」
峰塚さんは下唇を嚙みしめながら、桃先生と二人で教室から出て行った。
桃先生は去り際、何故か俺に意味深な笑みを向けていた。
「……ハァ」
クソデカ溜め息を吐きながら、一人帰り道を歩く。
せっかく勇気を振り絞って峰塚さんを誘ったのに、まさかこのタイミングでバイトが入ってしまうとは……。
俺は何て運が悪いのだろうか。
「ん?」
その時だった。
視界の端に、峰塚さんが一人で山の中に入って行くのが見えた。
峰塚さん??
あんな何もない山の中で、いったいどんなバイトを……?
ま、まさか、いかがわしいバイトかッ!?
峰塚さんに限ってそんなことはないとは思いたいが、一度芽生えた不安の種は、瞬く間に俺の心の中でジャックと豆の木並みに成長した。
「……くっ!」
気付けば俺は、そっと峰塚さんの後を追っていた。
「あれ?」
が、開けた場所に出たところで、峰塚さんを見失ってしまった。
はて、峰塚さんはどこに行ったんだろう?
「――!?」
その時だった。
バリバリという耳障りな音を立てながら、何もない空間に星型の巨大な裂け目が出来た。
そしてその裂け目から、20メートル近くはあろうかという、ゴリラみたいな容姿のロボットが出て来たのである。
裂け目は再度バリバリと音を立てながら、すぐに閉じて消えてしまった。
な、なんじゃこりゃぁあ!?!?
『おーっと、早速第一地球人はっけーん。運が悪かったなぁ、お前』
「なっ!?」
ゴリラロボから人間の声が聞こえてきた。
人が乗ってるのか、これ!?
『とりあえず景気付けに、パーッと潰れてくれや、なぁッ!!』
「――!?」
ゴリラロボはトラックみたいにブットイ右腕を掲げ、それを俺目掛けて振り下ろしてきた。
――あ、死んだ。
『秋星君ッ!!』
っ!!?
この声は――!
『うがあああ!?!? オレの王の力がああああ!?!?』
ゴリラロボの右腕が切断され、遥か後方に飛んで行った。
どうやらゴリラロボの腕は、新しく現れた銀色の騎士みたいな巨大ロボに斬られたようだ。
騎士ロボは西洋風の両刃剣を二刀流で持っていた。
あれでゴリラロボの腕を斬ったのか……。
『秋星君、下がってて!』
「あ、うん!」
騎士ロボに言われた通り、急いでその場から離れる。
『こんの裏切り者がぁ!! よくもやってくれたなぁッ!! ぜってぇ許さねーからなぁッ!!』
ゴリラロボは騎士ロボから距離を取ると、握った左拳を前方に突き出した。
すると次の瞬間、その左拳がロケットパンチみたいに騎士ロボ目掛けて飛び出した。
なにィ!?!?
『――遅いわ』
『なぁッ!?』
が、騎士ロボはいつの間にかゴリラロボの背中側に回り込んでいた。
は、速いッ!?
『アングリースラァァッシュッ!!』
『がああああああああああ』
騎士ロボの嵐のような無数の斬撃が、ゴリラロボをズタズタに斬り裂いた。
『クソがあああああ!! 覚えてやがれええええ!!!』
すると先ほど同様空間に星型の裂け目が出来、大破したゴリラロボはその裂け目に吸い込まれていった。
裂け目はすぐに閉じ、そこには余韻だけが残っていた。
た、助かった……のか?
『秋星君、怪我はなかった!?』
「あ、うん」
俺の近くまで寄って来た騎士ロボから、慌てた声が聞こえてきた。
騎士ロボのお腹の辺りが開き、そこからワイヤーみたいなものが伸びてきて、それを伝って一人の女性が俺の前に降り立った。
「そう、よかったわ」
それは案の定、峰塚さんその人だった――。
「み、峰塚さん、これはいったい……」
峰塚さんはロボットアニメのパイロットが着てるみたいな、身体のラインが浮き出たピチピチのパイロットスーツを着ていた。
スレンダーながら出るところは出ている抜群のスタイルが際立ち、目のやり場に困る。
「とりあえずここじゃ危ないから、詳しい話は中でしましょ」
「え? う、うわっ!?」
峰塚さんに後ろから抱きつかれ、そのままワイヤーに引き寄せられて騎士ロボの中に吸い込まれて行った。
み、峰塚さんの柔らかいものが、俺の背中に当たっているううう!!!
「うわぁ」
騎士ロボの中は、さながらロボットアニメのコックピットそのものだった。
どういう構造なのかは謎だが、360度がスクリーンで外の風景が見えるようになっており、騎士ロボを俯瞰で投影した映像も映っていた。
だが、パイロットが座る椅子だけは何故か異様に大きい。
大人二人くらいは余裕で座れそうだ。
「さて、どこから説明したものかしら」
峰塚さんは顎に手を当てながら、思案顔になる。
美人はどんなポーズも絵になるなぁ。
『フッ、説明は私のほうからしよう』
「――!」
その時だった。
スクリーンに桃先生の顔がデカデカと映し出された。
『秋星の頭の中には、たくさんの疑問符が浮かんでいることだろうしな』
「あ、はぁ」
そりゃあ、まあ。
『まず最初に言っておくと、私と彩華は地球の人間ではない』
「なっ!?」
そ、そんな!?
慌てて峰塚さんのほうを向くと、峰塚さんは気まずそうに目を逸らした。
『地球とよく似たこことは異なる世界――『ルワース』というところから地球に来たのだ』
「ルワース……」
まさか昨今のラノベでよくある、異世界が実在していたなんて……。
『ルワースのアーザ帝国という国で、私と彩華は軍人をしていた』
軍人!?
峰塚さんはこの歳でそんなことを……!
でも今桃先生は、「していた」って過去形で言ったな?
つまり今はそうじゃないってこと?
『こう見えて私は、アーザ帝国で兵器開発局の局長をしていてな。今お前たちが乗っているそれや、先ほど彩華が撃退したあれも、元々は私が開発したのだ。我々はこの高機動巨大人型兵器を、『ネフィルム』と呼称している』
「……」
桃先生が、思いの外とんでもない人物だった……。
まあ、人を食ったような不敵な佇まいは、普通ではないとは思っていたが。
『因みにお前たちが今乗っているその機体のコードネームは『ファウラス』。私がエースパイロットである彩華のために開発した、専用機だ』
エースパイロット!!
峰塚さんSUGEEEEE!!!!
俺がキラキラした目で峰塚さんを見つめると、峰塚さんは照れくさそうに俯いた。
か、可愛いいいいいいいい!!!!
「でも、何故お二人は地球に?」
『フッ、それはな――地球を侵略するための、先遣隊としてだよ』
「っ!?」
地球を――侵略……!?
「あ、安心して秋星君! 今の私たちに、そのつもりはないから!」
「――!」
峰塚さん……。
『フッ、その通りだ。友好条約を結ぶ使者のフリをして日本政府に接触した私たち二人は、当初はスパイとして地球の情報をアーザ帝国に流すのが仕事だった。だが戸籍を用意してもらい日本人として生活していくうちに、すっかりこの国が好きになってしまったのだ』
「桃先生……」
『特にアニメやゲームといった文化は素晴らしい! ルワースにも似たようなものはあるが、日本のそれのレベルは桁違いだ!』
「桃先生!?」
まさかオタクだったとは!?
『こんな国を侵略して文化が廃れてしまったら世界の損失だ! だから私と彩華は、アーザ帝国に反旗を翻すことにしたのさ。まあ、彩華が裏切った理由は、私とは異なるがな』
「ね、姉さんッ!」
峰塚さんは顔を真っ赤にしながら、桃先生を止めた。
はて?
どんな理由なんだろう?
まあ、とはいえこれで峰塚さんに対する粗方の謎は解けたよ。
峰塚さんがたびたび怪我をしていたのは、さっきみたいなやつらから俺たちを陰ながら守ってくれていたからだったんだね。
そんなことも知らずに、俺はのほほんとした日々を過ごしていたなんて……。
男として情けない……。
「「――!!」」
その時だった。
ビービーというアラーム音のようなものが鳴り響いた。
何だ!?
『フッ、まだ話は途中だが、どうやら邪魔が入ってしまったようだ。彩華、頼むぞ』
「ええ、任せて、姉さん」
途端、峰塚さんが戦士の顔になった。
み、峰塚さん……!
「秋星君はここに座って!」
「えっ!?」
峰塚さんに無理矢理椅子に座らされた。
いや、俺がここに座っちゃったら、峰塚さんはどこに座るの!?
「苦しいだろうけど我慢してね」
「――!?」
峰塚さんはあろうことか、俺の股の間に背中を預けるように座ってきた。
――所謂あすなろ抱きみたいな体勢になってしまった。
ぬおおおおおおおおおおお!?!?!?
『フッ、来るぞ、彩華』
「ええ、姉さん」
いやいや、この体勢のまま戦うんですか!?
「っ!?」
その時だった。
先ほどと同様、バリバリという耳障りな音を立てながら、何もない空間に星型の巨大な裂け目が出来た。
そしてその裂け目から、ファウラスとよく似た形状の、漆黒の騎士みたいなネフィルムが出て来た。
漆黒の騎士は右手に大振りのランスを携えている。
つ、強そう(小並感)。
「あの機体は――『グレゴリウス』!」
知っているのかい峰塚さん!?(そりゃ知ってるだろ)
『フッ、これはこれは、厄介な相手が出て来たな』
『フハッ、まったく、不出来な妹たちを持つと苦労するものだな』
――!?
妹だと!?
前方のスクリーンに、峰塚さんと桃先生にそっくりなイケメンの顔が映し出された。
まさかこの人は――!
「……兄さん、お願いだから、もう地球を攻撃するのはやめて」
峰塚さんと桃先生のお兄さんんんん!?!?!?
『フハッ、俺は悲しいぞサーカ。ネヅカー家の名に泥を塗りおって。こうなった以上、この兄自らの手で粛清してやるしかあるまい』
サーカっていうのは、峰塚さんのルワースでの名前か?
まさか、実の兄妹で戦うことになるなんて……。
「くっ、私は絶対に負けないわ! ――どうしても、守りたいものがあるから」
峰塚さん――!
そこまでして、峰塚さんが守りたいものっていったい……?
『フハッ、口では何とでも言える。意地を通すなら、相応の力を見せてみろ!』
グレゴリウスは右手のランスを前方に突き出し、そのまま物凄いスピードで突貫して来た。
あ、危ないッ!
『――遅いわ』
が、ファウラスはまたしても蜃気楼のようにその場から消え、グレゴリウスの背中側に回り込んだ。
うおおおおお!!!
「アングリースラァァッシュッ!!」
ファウラスの嵐のような無数の斬撃が、グレゴリウスを斬り裂く。
――が、
『フハッ、今何かしたか?』
「そ、そんな――!」
グレゴリウスにはかすり傷一つ付いていなかった。
ぬえっ!?
『フッ、やはり兄上の『エモーショナルボリューム』は桁違いなようだな』
エモーショナルボリューム??
また知らない単語が出てきた!
「……ネフィルムはね、人間の『感情』がエネルギー源なのよ」
感情が……!?
『フッ、その通り。そしてその感情の高さを表す値がエモーショナルボリューム。エモーショナルボリュームが高ければ高いほど、機体の強度と出力は増すのだ』
それはまた、随分とファンタジーな世界観ですね!?
『フハッ、そういうことだ。お前のそのチャチなエモーショナルボリュームでは、雑魚には勝てても俺には傷一つ付けられんぞサーカァ!』
「くぅっ!?」
「峰塚さんッ!」
グレゴリウスの薙ぎ払ったランスで、ファウラスは思い切り吹き飛ばされた。
ぐあっ!?
メッチャ機体が揺れて、き、気持ち悪い……。
「大丈夫、峰塚さん!?」
「え、ええ、私は、大丈夫、よ……」
そう言う峰塚さんの顔色は、明らかに悪い。
これ絶対無理してるんだ……!
『フハッ、これでトドメだぁ!』
――!
グレゴリウスが突き出したランスの切っ先が凹み、銃口のようになった。
何だあれ!?
「あ、あれは――!」
『カタルシスバスタアアアアア!!』
その銃口から、漆黒のぶっといレーザービームのようなものが放出された。
ぬええええええ!?!?
「くぅぁっ!?」
何とかファウラスは直撃は避けたものの、軽く掠っただけで機体が悲鳴を上げているのが俺にも伝わってきた。
ば、化け物だ……。
「峰塚さんッ!!」
「あ、秋星……君……」
峰塚さんは汗だくで、虚ろな目をしている。
どう見ても異常だ。
『フッ、マズいな。彩華のエモーショナルボリュームが著しく低下しているぞ』
「そんなっ!?」
実の妹のピンチに、何を吞気なことを言ってるんですか桃先生ッ!
『フハッ、どうするサーカ? 今なら降参すれば、俺が上に掛け合ってやらんこともないぞ。まあ、その地球人のガキは殺すがな』
っ!
そ、そりゃ、目撃者は消されるのが当然といえば当然だよな……。
――でも、峰塚さんが死ぬくらいなら。
「……絶対に嫌よ。何があろうと秋星君のことだけは、私がこの手で守るって決めたんだから」
「――!!?」
み、峰塚さん???
峰塚さんは耳まで真っ赤になっている。
ま、まさか、峰塚さんの守りたいものって……。
『フッ、そういうことだ秋星。女にここまで言わせておいて、お前は黙っていていいのか?』
「――! ……桃先生」
そうですね。
ここで男を見せないで、いつ見せるんだって話ですよね――。
「――峰塚さん」
「あ、秋星くぅん!?」
俺は後ろから、峰塚さんを抱きしめた。
これで正真正銘、あすなろ抱きの完成だ。
「俺は峰塚さんのことが――好きです」
「っ!! あ、秋星くん……」
峰塚さんの宝石みたいに綺麗な瞳が、水の膜で揺らめいた。
「……ありがとう、秋星くん。私も――秋星くんのことが大好き!」
「峰塚さんッ!」
峰塚さんは戦士の顔に戻り、前を見据えた。
――その瞬間、ファウラスからブオオオオオンという物凄い振動が伝わってきた。
な、何だ!?
「――!」
ファウラスを俯瞰で投影した映像を見ると、ファウラスの背中から翼のような形をしたオーラが生えてきた。
更に両手に持っている剣の刃にも、オーラが纏っている。
これは――!?
『そ、そんなバカな……! 何だこの桁違いのエモーショナルボリュームはッ!!』
「――これが愛の力よ、兄さん」
峰塚さんって意外とそういう恥ずかしい台詞サラッと言っちゃうんだね!?
「アングリースラァァッシュッ!!」
『ぐおおおおおお!?!?』
目にも止まらぬ速さで間合いを詰めたファウラスは、オーラを纏った剣でグレゴリウスを斬り裂いた。
さっきは傷一つ付かなかったのに、今度は確実にダメージが入っているようだ。
す、凄い……!
「ハアアアアアアア!!」
そのままファウラスはオーラの翼で上空に飛び立ち、両手の剣を一つに合わせた。
すると剣は、砲身のような形に変化した。
うおおおおおおおおお!!!!
「カタルシスバスタアアアアア!!!!」
『こ、小癪なぁ!! カタルシスバスタアアアアア!!!!』
両者の放ったカタルシスバスターが、空中で激突した。
が、ファウラスの銀色に煌めいているカタルシスバスターのほうが明らかに太い。
『そ、そんな……! 有り得ない……! この俺が、この俺があああああッ!!!』
ファウラスのカタルシスバスターが、じわじわとグレゴリウスの側に押している。
『あ、兄よりすぐれた妹なぞ存在しねええええッッ!!!!』
そのままグレゴリウスは、銀色の光に包まれた。
ルワースにも地球の漫画みたいなのはあるのかな??
またしても空間に星型の裂け目が出来、大破したグレゴリウスはその裂け目に吸い込まれていった。
裂け目はすぐに閉じ、そこには余韻だけが残っていた――。
か、勝った、か……?
「ハァ……ハァ……うっ……!」
「峰塚さん……!」
ファウラスの背中と剣のオーラが消え、ファウラスは地面に仰向けで墜落した。
「ぐえッ!?」
物凄い衝撃が全身を包む。
だが、機体は無事みたいだ。
た、助かった……。
「大丈夫、峰塚さん!?」
俺の胸の中でぐったりしている峰塚さんに、慌てて声を掛ける。
「うん、大丈夫、ちょっと疲れただけだから。――でも、しばらくこうしててもいい?」
「っ!?」
峰塚さんは俺のことを、ギュッと抱きしめてきた。
ふおおおおおおおおお!?!?!?
『フッ、これにて一件落着!』
いや、最後はあなたが締めるんですか桃先生!?
2022年11月15日にマッグガーデン様より発売の、『悪役令嬢にハッピーエンドの祝福を!アンソロジーコミック②』に拙作、『コミュ症悪役令嬢は婚約破棄されても言い返せない』が収録されております。
もしよろしければそちらもご高覧ください。⬇⬇(ページ下部のバナーから作品にとべます)