公爵令嬢、大公爵の令息様の力
「……にしても、イライザ嬢が一言広めただけなのに、あのレイラって子が孤立するなんてね」
アメリア様が、教室内でそう話す。
イライザ様が学校内に広めてくれたおかげで、学校内はあの二人を除いて味方になったよう。
今日、学校をサボっていたウィルソン様がやっと来るらしいけれども……なかなか見物ね。
貴族という地位があるというのに学校をサボるなんて……婚約していた時には知らなかったわ。
本当、親の教育どうなっているのかしら。
毎日のように学校をサボって……だから勉強部門ワースト一位なのではなくて?
「うん、まあ……ローレライにもお願いしたし……ね」
ロ、ローレライ?
誰かしら?
親しい関係のようだけれど……。
「あの……イライザ様。ローレライとおっしゃる方とはどういうご関係で?」
グレース様って、私が気になっていることをすぐに質問してくれるのよね。
もしかして、魔法で心を読んでいるのかしら!?
その魔法使えるようになりたいわ!
「ローレライは、私の妹よ」
ふえええっ!?
初耳ですわ!
「お姉様~」
?
誰の声かしら?
銀髪で、長い横髪に、三つ編みを頭にまとめて……。
って、イライザ様と容姿がそっくりだわ!
白銀の髪と長い横髪、深い緑の瞳まで!
「あら、ローレライ。ちょうどいいわね! せっかくだから自己紹介しなさい!」
はい、見事に丁度いい……。
「えっと、私はローレライ・モルガン公爵令嬢です。以後お見知りおきを」
「私は、アディラ・キャンベル子爵令嬢です」
「わたくしは、グレース・エルナンデス伯爵令嬢です」
「私は、アメリア・フィリップス侯爵令嬢よ」
☆★☆★
「アディラァッ!!!!!!!!!!!!!」
突然、座っていた私の耳に聞き覚えのある大声が届いた。
まあ、来るでしょうね。
金髪の短めなサラサラヘアの彼は――ウィルソン・ハミルトン侯爵令息。
「俺様が歩いているだけで人にさけられるんだぞ!! さてはお前が何か広めたなッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「私はただ事実を言っただけです」
憤慨する彼に、私は冷静に答える。
「俺様」なんて、いつ急に偉くなったのでしょう?
「貴様ぁぁぁっ!!!!!!! 子爵の分際で俺様に口答えっ……」
私を罵ろうとしたが――イライザ様が見えたのか、発声を停止。
貴族としてはまだウィルソン様のほうが貴族らしいですね。
そして、またぞろぞろと私のまわりに2年B組が集まりだす。
「何だ! 首席はインチキだろう」とウィルソン様は喚いていたけれど、ホークショー大公爵の令息様が見え、また発声を停止。
敵わないと思ったのか、
「くっそっ! 今日はここまでにしてやるっ!!!!!」
と捨てぜりふを吐いてご退場。
まったく、騒々しいですね。