孤立《レイラside》
あのイライザとかいう令嬢が変なこと言ってから一日。
何よ何よ何よっ‼
廊下を歩いているだけで、人がどんどん避けていくじゃない!
話しかけても「今ちょっと用事あるから」って!
何なのよっ!
お兄様が言っていていたことを広めただけなのに!
もうっ! こうなったら、この国で一番の権力を持つレイラ様が誤解を解いてやろうじゃないの‼
さっそくあたしは自分の席の近くの女に話しかける。
「ねえ、ちょっといい?」
「……っ! 私少し用事があるので……」
「その用事なら、あたしがやっておくから! どうして、あたしを避けるのっ‼」
ところがその女は、このあたしが話しかけているというのに、焦り始めた。
「あ……でも用事は私がやらないといけないので……失礼します」
はぁっ!? 何それ! ここから、いやこの世界から消えてほしいわっ‼
その憎たらしい女は、イライザとかいう令嬢に似た白銀の髪の女に手を引かれ教室を出た。
そして、白銀の髪の女はボソッとつぶやいた。
「だってあなた、勉強部門の首席様に迷惑のかかる噂広げたじゃない」
は、はぁ? 広めて何が悪いの?
真実を広めただけじゃない!
きっとアディラが首席なんてインチキしたに決まってる!
悪魔ごときが首席なんぞとれるはずが無い!
武術は……きっと自分のために黒魔術を使ったんだわ。
黒魔術はそういうものでもある。
インチキにみんな惑わされて……みんなかわいそうだわ。
アディラ! あなたのウソを全て暴いてやる!
そしてあたしの王国一の権力を使って、キャンベル子爵家も没落させ、取り巻きどもがつかないようにする!
ああ、楽しみ……。
でも、このときのあたしは知らなかった。
あたしが広げたこの噂のせいで、一家で絶望することになるなんて……。