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エピローグ

 「――ということで、ハミルトン侯爵家は爵位剥奪と財産9割没収……ですか?」

「ああ。これもきっと君の呪いの効果だろう。一時間後にそれを伝えるか」

陛下の言葉に、私はうなづく。

 レイラ様が言っていた独り言……その一言でハミルトン侯爵家の没落へ導いた……言葉って怖いわね。

 おそらく、呪いをかけなくてもレイラ様はこのことを言っていただろうけど――私に聞かれたというのが呪いの効果ね。

さて、このことを伝えて、絶望しているざまでも見ようかしら。



 「ええっ!? 爵位剥奪と財産9割没収ですか!? ウィルソン!! レイラ!! 何かしたのか!!」

「お父様!! なぜ僕を疑うのです!!」

「お父様! あたし達は侯爵よ!! きっとどうにかなるわっ!!」

「ルーベンが何かしたんじゃないでしょうね」

「マチルダ!! 侯爵である俺を疑うのか!」

陛下が伝えた処罰に、ハミルトン侯爵家はもめまくる。

「アディラ!! 悪魔であるあなたが画策したんじゃないでしょうね!!」

そういうレイラ様を見て、陛下は口を開いた。

「今のレイラ嬢の発言により、財産をすべて没収にする」

「は、はあっ!? 馬鹿言ってんじゃないわよ!! アディラは悪魔だから何か画策しているんじゃないかって疑っただけじゃない!!」

陛下が告げた更なる処罰に、レイラ様は顔を真っ赤にして喚き続ける。

はあ……馬鹿ね。

私が次期宮廷魔導師だって忘れたのかしら?

「そりゃあ処罰を増やすだろう。なんせアディラ嬢は次期宮廷魔導師だからな。わしの次に権力を持つのだぞ?」

その言葉に、「忘れてた」とでもいう様に、レイラ様の顔が青ざめる。

赤くなったり青くなったり……感情がコロコロ変わりますねぇ。

「……レイラ嬢には牢屋に入ってもらう」

「はあっ!? 前言撤回とでもいうつもりかっ!? 言う事コロコロ変えんじゃねーよ!!!!!!」

レイラ様は口調が女性らしくなくなり――唾を飛ばす勢いで憤慨した。

「だいたい、このあたしが処罰を受けるって、どういう事だ馬鹿国王!! 一番お前が法律を分かっていないだろ!! あたしに国王譲った方が身のためだっ!!」

……馬鹿なのはそっちよ。

「法律を一番理解していないのはあなたのほうですよ。昨日、国王を侮辱したじゃないですか。その責任で爵位剥奪と財産9割没収――いや今日は私を侮辱したので財産すべて没収になっているんですよ? それとあなたはさんざん国王を侮辱したので牢屋で更生を受けてもらう――これに法律違反はありません」

私の発言に、レイラ様はぺたんと座り込む。

現実を理解したのかしら?

すると陛下が口を開いた。

「レイラ嬢の懲役期間は10年だったが……今の件で40年に延長する。それとハミルトン侯爵家は子の重大な教育不足として懲役5年と、アディラ嬢が言ってくれた、爵位剥奪と財産すべて没収だ」

あら、自分の発言で自分を滅ばすなんて……実に滑稽ね。

 ああ……自分を苦しめた人が裁かれていくって――とても清々しい。

 せいぜい牢の中で自分の行いを悔やむといいわ。

 さようなら、ハミルトン侯爵家。

 牢から出たその時、心が綺麗になっていますように。



 「アディラ嬢」

ハミルトン侯爵家が牢に運ばれていくのを見終わって、帰ろうとしたところ――陛下に声をかけられた。

「なんでしょう?」

「キャンベル子爵家を大公爵にしたいと思う」

「ええっ!?」

ええっ!?

大公爵なんて、王に近い権力を持つ、貴族のトップじゃない!

どうして私達がそんな……。

「アディラ嬢の、雨を降らせてくれた働きと……アディラ嬢の母であるマリアナの宮廷魔導師としての働きを評価してだ。いいか?」

「……はい、喜んで」

 ありがとう、レイラ様。

 私はあなたのおかげで黒魔術の良さを広められた。

 私を苦しめた貴方に「幸せになって」なんて言いたくないけど。

 お元気で。

                                        《fin》

裁判をしていないのは、国王だけで断罪が出来ると判断したからです。

わかりにくてゴメンナサイ……。

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