そんな惚れ薬
博士は惚れ薬を作った。しかし、博士の年は四十を越えていてとうに恋愛等をする年ではなかった。では何故作ったか、特に深い理由は無く好奇心という物である。一通り完成したため、早速動物実験をすることにした。雄の猿に惚れ薬を飲ませ、雌のいるケースに入れる。すると確かに猿は愛情表現をした。他の動物にも実験しようと、博士が準備していると、急にドアが開いた。
「おい!今お前が持っている研究品を出せ!」
泥棒だ。拳銃を持ち、顔は覆面で隠している。時刻はまだ昼だったが、博士の家は山奥にあり、昼でも充分人目に付かないようになっている。博士は自身の危機管理能力のなさを責めた。ドアの鍵を開けたままにしていたのだ。博士は両手を上げゆっくり持っていたものを置いた。
「いや、これはただの惚れ薬だ。大したものじゃない。」
博士は必死に諭そうとするが泥棒は何かを盗まないと気が済まないようで、その惚れ薬を奪った。
「へへ、これを飲ませりゃどんな女もイチコロって訳か…」
博士はふいに何かを思い付き、泥棒にこう言った。
「いや、待て。そんな危険な行動をするより、もっと効率良く女を捕まえられる方法がある。」
「ほお…なんだよ、その方法ってのは。」
泥棒はその方法に興味があるようだった。
「…あそこにある香水だ。その香水を身体中にかければ、どんな女性でもすぐによってくる。既に動物で実験済みだ。」
泥棒は直ぐにその香水を身体中にかけ、その香水を奪った。泥棒は嬉しそうにこう言った。
「ありがとよ、博士。見逃すが、このこと誰にも言うんじゃねえぞ…」
そうして、泥棒はそとに出た。その後博士は、さっき言われた事を無視し、警察に電話をした。
「ああ、もしもし。今さっき泥棒が来ましてね、恐らく女性に囲まれて動けないと思うんで早く捕まえてください。」
その香水は女性にだけ異常に効く香水。どんな異性でも寄って来てしまうのだった。