降臨の儀式
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私はお兄さんの力になりたい...。でも実際どうすればいいのだろうか?
私の現状は詰みだ。チェスで言うとチェックの状態まで来ている。
その場で立ち止まって考えていた私に声が聞こえてくる。
『のう、その悩みわしが解決するの手伝ってやろうか?』
この声は確か...。この精霊が手伝ってくれるなら或いは私はお兄さんを救えるかもしれない。そんな思いで私はお願いしますと返事をしてしまった。
これが悪魔の誘いとも知らずに。
「アンさん大丈夫ですか?」
私は聖女さんと別れてからすぐアンさんとお兄ちゃんのところへ向かった。あの状態のお兄ちゃんならアンさんを傷つけることも考えられたから。
「あーはい、大丈夫なんですけどね」
アンさんは少し歯切れが悪い。どうしてなんだろう、まさか怪我?と考えお兄ちゃんの方を見るとアンさんに膝枕をされていた。
「えーとこれは...」
私の思考がフリーズする。だってお兄ちゃんは催眠魔法で記憶を失っていて私達のことを忘れていたはずなんじゃ...。
「いやね、私もそう苺ちゃんから聞いてたから警戒してたんですよ?だけど悠馬さん急に記憶が戻ったみたいで私の名前を呼んで膝の上で寝ちゃったんです...」
顔を赤くしてあたふたしながらそう答える。記憶が急に戻るなんてそんなことありえるのかと私は考える。流石に何かカラクリがありそうなものだ。例えばあの聖女さんが何かをしたとか。
そう思った途端外からものすごい轟音が鳴り響いた。
私はアンさんと顔を見合わせ、お兄ちゃんには持ってきた鞄を枕にして寝かせてから外を見に行く。
「アンさんあれなんだと思います?私はとても嫌予感がしてるんですけど」
「苺ちゃん奇遇ですね。私もとても嫌な予感がしてます」
外に出た私達が目にしたのはついこの前校庭でリタが模倣神を呼び出した光とそっくりなものだった。
「まさかあの聖女さんが呼んだということは」
「ないといいですけど現状あれを起こせるのはこの場では聖女さんしかいませんよ。リタもこちらには来ていませんし」
「ですよね...」
でもかなりまずいことも確かだ。あれを聖女さんが読んだのだとしたらあれはリタが呼び出した模倣神なんてレベルではなく、本物の神か天使が召喚されているということになる。
「私達だけでは厳しいかもしれませんね...」
「せめてお兄ちゃんが起きててくれればどうにかなったかもしれないけど...」
私達はそんなことを願いながらその光を茫然と眺めるしかなかった。
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