聖女の気持ち
本日分です!ブクマありがとうございます!拙い文章ですが彼女の少し歪んだ感覚を楽しんでいただけると嬉しいです!
私は気がついたらここにいた。いやいたというには語弊がある。ここに生まれていたが正しいか。
私は徐々に自分が何かであるかを思い出していく。
「そうだ....私の役割は聖女」
神によって創られた私の役割は神の脅威になり得る朝霧悠馬の排除だ。その仕事が終われば私は消される。
「でも確か朝霧悠馬が脅威になり得るのは数年後だっけ?」
私は神によってインプットされた知識から対象の知識を取り出す。神の使徒である存在は作戦の数年前から送り込まれ、その時代の知識を得ることになっている。
私はまずこの時代の知識を付けるためにあるばいとというものを始めた。だけど1つの職場で長く続くことはなかった。理由は様々でお仕事がうまくできなかったり、ちょっと嫌なものが見えてしまったり。
そんなこんなで私は駅前で信者を増やす為に勧誘を始めた。これが彼と出会う数ヶ月前の出来事だ。
もちろん色々な嫌な思いもした。神の使徒である私達は目と魔力が特殊だ。
私の場合は魔力や霊的なものまで様々なものが見える目、そして以上なまでの回復能力だ。
その為に色々な事件に巻き込まれたであろう霊を見てしまったり、魔力の特別強い人を見て気分が悪くなってしまったりと散々だ。
だけどこれは神様から貰った大切な能力だからいつか役に立つ時が来ると信じて私は駅前で勧誘を続けた。この行動が噂になり、朝霧悠馬が私のところまで辿り着くと信じて。
「すいません、少しいいですか?」
私は初めこの人の事をただのナンパなんだろうなと思っていた。別に勧誘を受けるわけでもなく、ただ私から話を聞きたいなんてそんなのナンパ以外にないだろうと誰だって思うだろう。
ただ私はその時、再三アルバイトをクビになっていたせいでお金がなくお腹が空いていたので彼の食事の誘いについて行ってしまった。
食事が終わった後の彼からの質問で私の頭の中に警鐘がなる。
お前が本当に聖女の伝説に出てくる聖女かどうかという言葉が神からの対象の事前知識であった接触時の言葉とぴったり重なったからだ。
だけど正直、私はこの世界の生活に嵌ってきている。だから今は彼をどうこうする気は起きなかった。
彼が私にまた近づいたりしないようにと思いながら私は彼にとびっきりの圧を放ちながらファミレスを出て行った。
だが次の日彼は私にまた食事に行こうと誘ってくるではないか。かなり予想外の事態で戸惑ったがお腹は空いているのでご飯は食べに行く。彼が会いにきてくれた時私は正直そういう期待もあったので少し嬉しかった。
私はその見返りとして彼に質問をする権利をあげたが彼は初日程の質問は一切して来なくなった。
だが私はここ最近彼と会うことが楽しくなってきている。対象にこういう気持ちを抱くのは多分良くないことなんだろう。
そして今日もまた彼は私に会いに来るのだろうか。私はそんな期待を胸に駅前で勧誘を続けた。
だがタイムリミットは唐突に訪れた。
神様からの警告が私の頭の中に直接流れる。
『今日中に彼に対してアクションかけなければお前を廃棄して別のものを送り込む』と。
私の頭は真っ白になった。
だが同時にこんな思いも湧いてくる。だってまだ彼との楽しい思い出を作っていない。彼と楽しい話をまだしたりない。まだ私は廃棄されたくない!
私はこの時に気がついた。あぁこれが恋という感情なのかと。私は彼に恋をしていたんだ。
私は彼に聖女の真実を伝える為に彼との食事の時にこっそりと催眠魔法を彼にかけた。少しだけ頭痛がするとは思うが仕方ない。これで今日の夜に彼は私の元へ来てくれるはず....。そう信じて。
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最後になりますがこの作品を読んでくださっている皆様に最大限の感謝を!