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銀髪の美少女との出会い

2回目

「ここがあの駅前か」



 俺は『アルカディアの明日』の中で唯一と言っていい繁華街エリアに来ていた。駅前と言ってもどこか別の都市に移動することはできなかったが一応電車が動いているCGはあった気がする。

『アルカディアの明日』の中で繁華街エリアはここしか存在しない理由が実は存在する。舞台であるここアルカディアという都市は学術都市になっており、魔法の最先端が集まる場所だ。その為ほとんどの土地を俺達の通う学院や研究機関、それに付随する企業が使ってしまっている。

 そうすると必然的にゲームセンターやカラオケ、飲食店に服屋さんというような店は一ヶ所に集まるしか無いわけで。その場所がここ駅前だ。 



「ぼーっとしてる時間はなかったな。何かヒントを探すか」 



 とりあえず俺は駅前を探索することにした。  

 数十分歩いた俺はあることに気がついていた。



「これ端から端まで探索してたら1日じゃ足りないぞ......」



 そうここ駅前と呼ばれる場所はゲームで探索している時よりも数倍以上広かった。ゲームでいけないところもあっただろうし当たり前と言えば当たり前だと思うのだがそれにしても広すぎる。



 とりあえず夕方まで頑張って歩こうと意気込んでいると俺はふと歩いている場所の雰囲気が変わったのを感じとった。



「ここはまずいな。スラムとかそういうものに近い匂いを感じる」



 そんな独り言を呟きながら悪い人達に絡まれる前に引き返そうとした時、女の子の悲鳴が聞こえた気がした。

「もしかしてこれ、イベント発生ってやつ?」



 そんなことをニヤニヤと呟きながら女性の悲鳴の元へ急ぐ。ギャルゲを頻繁にやっていた俺にはイベントはご褒美だ。



「この辺りか?」



 ふと首を横に振ると、いかにも襲われているであろうこんな場所は似ても似つかない綺麗な女の子にここが住処だと言わんばかりの不良のセットがそこにはいた。



「あーえっとすいません。ちょっといいですか?」

 と俺は丁寧に女の子を襲おうとしていたであろう不良に声を掛ける。

「あぁ?なんだてめぇは?」

「いやただの通りすがりなんですけど、そこの女の子が嫌がってるようなので少しだけ声をかけてみただけみたいな?」



 俺は凄んでくる不良に少し怯えながらもそう伝える。

 女の子の方をチラッと見ると酷く怯えた様子だった。

 だがどこかで見たような綺麗な銀髪をしていていて初めて見た気がしない。

 この子は助けないといけない。そうさっきから何故か頭の中で考えている。



「あぁそうかい。兄ちゃんいらない正義感というのはこの世の中には存在するだよ。この人数にボコボコにされたくなかったら今すぐここから消えな」

 と後ろからゾロゾロと人が出てくる。6人もいたのかよ。

「いえいえ、俺もそうしたいところなんですけど怯えてる女の子を放って逃げたなんて聞かれた日には罵倒を浴びせられて数日間ご飯抜きにされそうなので逃げたくても逃げられないんですよね」

「何を訳のわからねぇことをいってやがる。とりあえず一発食らって寝とけ」



 全員から魔法と拳が飛んでくる。

 なるほど。バランスが取れている。魔法使い2人に前衛2人か。

 俺はまず魔法の対処からすることにした。

 飛んでくるのは恐らく風と水。

 魔法使いの魔法が放たれる前に腕ごと凍らせる。



「なっ!?」

「え!?」



 男達と女の子から驚きの声が聞こえた。ちなみにバレてはいないと思うが俺も頭の中でここまで綺麗に魔法を使えることに驚いている。

 その後、驚き動きが鈍った前衛の拳を氷魔法でその場に固定した。



「空間ごと凍らせた!?」



 やっぱり男達だけじゃなく、女の子と俺の頭の中から驚きの声が聞こえた。



「君大丈夫?」 

 と俺は手を差し出した。



「あっはい、大丈夫です。お助けいただきありがとうございました」

「うん、大丈夫そうなら良かったよ。困ってる女の子を助けないと後で妹からお叱りを貰いそうだし」

「そうでしたか。今度お礼を言いにお宅にお伺いさせていただきます。お名前をお聞きしても?」

「俺は朝霧悠馬だよ。お礼とか欲しくてやったわけじゃないから別にいらないよ。そっちの名前を聞いても?」

「あっそうでしたね。人に名前を聞いておいて名乗らないのは良くなかったです。私はアンリエ......アンです。いえ必ず伺わせていただきます。悠馬さんよろしければ何ですがフォンの番号を交換してもらっても宜しいでしょうか?」

「フォンの番号?別にいいけど何に使うの?」



 そう言えばこの世界は携帯やスマホの代わりにフォンというものが存在しているのを忘れていた。



「今度お礼を言いにいく際に場所が分からないのでそれをお聞きする為、そして先程のお見事な魔法をできれば少しだけでもご教授願いたいと思いまして......駄目でしょうか?」

 と上目遣いで美少女に頼まれたら前世彼女いない歴年齢の俺に断れるわけもなく簡単に交換してしまう。



 俺は交換した連絡先を見て頭の中でニヤニヤしながら女の子を安全な場所まで送った。

「では私はひとまずこの辺りで。また絶対ご連絡差し上げますので」

「うん、楽しみにしとくよ」

 俺は極めて冷静に自分の中で最高の笑顔で極めて冷静なフリをして女の子に別れを告げた。だが心の中の俺はスキップをしている。まさか自分の連絡先に女の子の名前が刻まれるなんて。

 女の子と連絡先を交換して浮かれていた俺はこの時大事なことに気がついていなかった......。

このお話が面白かった方はブックマークと広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に面白くなかった方は☆☆☆☆☆を★☆☆☆☆つけてくださるとすごく嬉しいです!

毎日投稿する予定なのでこれからも是非見ていってくださいね!

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