突然の転生
二回目
「......ちゃん」
遠くから鈴が鳴るような綺麗な声が聞こえる。こんな綺麗な声をした家族は俺にはいないし、多分俺がギャルゲをつけっぱなしにして寝たんだろうなと思いながら目を開ける。
「あっお兄ちゃんやっと起きましたか」
は?と声が出たのはこれが人生で初めてかも知れない。
寝起きの頭を俺は必死に回転させる。俺には妹はいないはず?でもこのビジュアルの人をどこかで見た気がする......。
俺はハッと思い出した。目の前で俺を起こしていたのは俺が買ってきたギャルゲー『アルカディアの明日』に出てくる妹系ヒロインの一人 朝霧苺だったのだ。
って、待てよ。ということは俺もしかしてあのゲーム内の誰かになっているのではないか?と思い、起き上がり鏡を見た。
「何じゃこりゃ〜〜〜!」
部屋に俺の絶叫が鳴り響いた。
「全くお兄ちゃんは昔から事あるごとにうるさいのです」
「ごめんって。また今度お前の好きな苺パフェ奢ってやるから許してくれ」
「そこまでいうなら仕方ないですね。可愛い妹は許してあげます!」
恐らく妹であろう苺を宥めた俺は改めて情報を整理する。
俺は『アルカディアの明日』で親友枠だった朝霧悠馬になっていた。
いやそのことにも驚いたのだが何より1番驚いたのは苺の存在だ。
俺はあのゲームをプレイした時公式設定を隅から隅まで舐め回すように全てを見たはずなのだが、ヒロインの一人である苺が悠馬の妹であるということはどこにも書かれてなかった。
「とりあえず苺の件はわからないし置いとくとして転生したからには全員をあの主人公より先に攻略してやらないとな!」
と意気込んだのが起き抜けのこと。
「そういえば俺、苺以外のヒロインが入学前どう過ごしてたか知らないな」
と現実に気づいたのが朝ごはんを食べた後、部屋に戻ったついさっき。
「かと言って妹の苺から聞くというのもいうのはなんか気が引ける。そもそも苺もそんなことは知らないという線もあるな......。考えてもわからないしとりあえず外に出てみるか」
俺はヒロイン達の手がかりを掴むため、外に出ることにした。
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