前話。
ドガッ! バキッ! ボスッ!
とある町の繁華街の路地裏で人を殴る音がした。
薄暗くてよくわからないが、殴っているのは長身金髪のつんつんヘアーの男であった。
男は学生服を着ている様なので、おそらくは学生であろう。
「うぅ…」
殴られていた男は顔を地面に向け、片膝をついて呻いていた。
「懲りたか? これでよぉ?」
「す、すんませんでした…」
「これで、うちの学校のやつらには手ぇ出すんじゃねぇぞ?」
「は、はい…」
金髪の男はそう言うと殴っていた男に蹴りを入れた。その殴られていた人は「うっ」と一言呻いた後、崩れ落ちた。
「兄貴ィィィ!」
そういって近づいてきたのは緑色の髪をした男だった。顔立ちは目が細く、しわくちゃ…いってみれば、サルのような感じの顔だった。
そんなサルのような顔立ちの男が先ほどの金髪の男に近づいて来た。
「さすが兄貴ッす。これで98勝っすね!」
「まあな。この調子でいけばすぐに100勝を超えるな」
「100勝すればこの辺りで勝てる不良はいませんからね!」
「にしてもよ、申野」
「なんすか?」
「天使とかって、信じるか?」
「はへ?」
「いや、ずいぶん前に、会った」
「またまたぁ」
「いや、ホントなんだって」
申野は信じてくれなかった。信じるはずがないだろう。天使なんてもの、いるはずがないのだから。
(でもあれって…天使、だったよなぁ…)
そう思ってどこよりも暗く、そしてどこよりも明るい星が浮かんでいる夜空を見上げた。
そして、男は―――――相模喜助は思った。
ありがとう、と。




