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回避とサイコとツトム_第六章 終幕  作者: 時田総司(いぶさん)


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第七節 展望

身体が口を開いた。


「ゾムビーの親玉が大体の場所を、通信器を使って教えてくれるようだ。随分とご丁寧に――、な」


「それなら願ったり叶ったりじゃないですか!」


主人公が口を開いた。主人公の言葉とは裏腹に、身体は俯いた様子だった。


「俺としては複雑なんだ」


身体が話し始める。


「倒すべき敵、隊長の仇と、和解など、俺は心から望んではいない。しかし上の者も、亡くなった隊長自身も、和解の道を望んでいる。ジレンマというヤツだな……上の者と隊長の意志と、自分自身の願いとの板挟みにあっている」




「バッ‼‼‼」




逃隠が手を素早く上げた。


「ジレンマ、板挟みとは何だい?」




「……」




周囲は静寂に包まれる。


「ハハ、サケルは能天気で良いな。少し心のもやもやが晴れた気がする」


身体は少しだけ心が穏やかになった。


(サ……サケル君……本当に中学生なの……? ボキャブラリーが小学生並だ……)


一方で愕然とする主人公だった。




「そうだ、ツトム」




身体が口を開く。


「グングニルが少しだけ使える様になったんだったな?」


「何⁉ それは本当なんだい?」


間髪入れずに逃隠が反応する。


「あ、はい。少しだけですが……」


主人公はやや自信なさげに答える。


「なら、第2訓練場に移動だ! ツトムの状態を見ておきたい」


3人は第2訓練場に移動した。


移動する最中、主人公の心中は、


(大丈夫かなぁ。期待外れって言われたらどうしよう……)


更に自信が無くなっている様だった。




訓練場に着いた。


「さあツトム、やってみるんだ」


身体は主人公に言う。


「ハ、ハイ!」


「ギュッギュッ」


作り直した手袋を手にはめ、集中し始める主人公。




(皆を……守る……皆を……守り抜く)




「グングニル!」






「ブワッ」






主人公の両手が見えなくなる程度の、虹色の光が発生した。


(こ……この前よりも大きな光だ……!)


少し集中力が途切れる主人公。




そして――、


「シュゥウウン」


光りは消えていった。


「最後に気を抜いたな? ツトム」


身体は見抜いていた。


「あ……はい、ごめんなさい」


謝る主人公。


「まぁいい、ギリギリ合格だ」






「! ! !」






身体の言葉に喜びを隠しきれずにいる主人公。




「や……やった‼」




喜びを言葉にする主人公。


「へへ、やったんだい」


逃隠は鼻をこすりながら言った。


「さて、二人とも。ここで重大な話がある」




「‼」


「⁉」




身体の突然の言葉に、驚く主人公と逃隠。


「これからの対ゾムビーの対応だが……」


(そ……そうだ。石を集める時にゾムビーと遭遇したら、どうするんだろう……?)


主人公は疑問を抱く。身体は口を開く。




「捕獲……」




「‼」


「⁉」




「捕獲しろ、と……hunter側から指示があった」


主人公は問う。


「捕獲って……どうやって捕獲するんですか⁉ それに! 捕獲してどうするんですか?」身体は答える。


「どうやって……方法はまだ、決め兼ねている状態だ。捕獲した後は……石同様、ロケットで宇宙に飛ばすそうだ」




「! 倒すよりも難しいじゃないですか⁉」




主人公は強く言う。


「そうだな……だが、石は返す、しかしゾムビーは倒す、では和解とは言えないのではないか?」


「! そ……それは……」


「だい……」


身体の言葉に、何も言い返せない主人公と逃隠だった。




「しかしな、二人とも」


身体が再び口を開く。


「今回の作戦が完全に遂行された時、ゾムビー達との戦いも完全に決着がつく、と俺は考えている」


「ゾムビー達との戦いが……」


「完全ニ……」


主人公と逃隠は口々に言う。


「そうだ。ゾムビーの脅威が無くなり、平和が訪れる」


「平和ガ……」




(回想)


「あはははハ‼」


ダッヂと一緒に、緑生い茂る野原を走り回る幼き頃の逃隠。


「ははハ‼」


「ワン‼」


今度は野原に寝転び、じゃれ合う二人。


「ペロペロ」


「こラッ! くすぐったいゾ、ダッヂ!」


ダッヂは逃隠の頬を舐めている。


「くかァ――」


「ぐぅぅうう」


(回想終了)




(ダッヂ)


グッと拳を握る逃隠。




「平和……」




(回想)


「よし!」


急に立ち上がる尾坦子。


「?」


続いて笑顔で言う。


「好きです、付き合って下さい」




「ひしっ」


尾坦子は急に主人公を抱きしめた。


「えへへ。ずっとこれがしたかったの」




「尾坦子さん……」


主人公は涙を拭いそれに応えた。


「?」


不意に顔を近付ける尾坦子。






そして――




二人の唇は重なった。




「! ! ⁉ ! ! ⁉」




ゆでだこ状態の主人公。


「えへへ。ゾムビーじゃなくなったから、こんなコトもできちゃう。ありがと、ツトム君」


(回想終了)




(尾坦子さん……もう二度とゾムビーの被害者にさせない……‼ いや、誰一人として、ゾムビーの被害者にはさせない‼)


主人公も決意を新たに拳を握る。


「さて、ゾムビー捕獲の方法について考えてみよう。まず、ゾムビーを弱らせる電波が送れる機械を使おうと思う」


(尾坦子さんが被験体となって研究された、あの電波を……!)


身体の言葉に、思いを巡らせる主人公。


「その次だ。電波で弱らせた後、どうするか……」






「は――イ! ハイは――イ!」






身体に対して、手を上げて反応する逃隠。


「どうした? サケル」




「コレだい!」




逃隠は、自身の着ている特殊スーツを指差した。


「ん?」


顔をしかめる主人公。


「スーツ……そうか!」


何かに気が付く身体。


「ゾムビーの体液を防ぐスーツの素材を使い、ゾムビーを覆うか何かして捕獲するんだ!」


「だい!」


「! (サケル君にしては名案だ! だいぶ失礼だけど……)」


主人公は気を使いつつ思う。


「そうと決まれば、製造ラインに連絡だ! 特殊スーツと同じ素材の紐と、ゾムビー1体包めるくらいの袋を、大量生産させよう‼」




即座に連絡は行き渡り、製造ラインは紐と袋を生産し始めた。




「さて、N州支部へ、今後の活動方針を連絡しよう」


「ピピピッ」


身体は携帯を使って連絡する様だ。


『もしもし、狩人、副隊長だ』


『oh! どうしマシタか?』


N州支部の者が電話に応対した。


『ゾムビー捕獲の件だが、こちらの活動方針を伝える。まずゾムビーを弱体化させる電波を使う。そしてゾムビーの体液を防ぐ素材で紐や袋を作り、それで捕獲して行く事と決めた』


『そうデスね。こちらも同じ様な策を考えてマシタ。マサカ、そちらがこの方法を思いつかないとは思いませんデシタので、敢えて連絡は送りませんデシタが』


『! (……いちいち癇に障るヤツだ)分かった。今言った方針で活動を行っていく』


身体は怒りを抑えて、冷静に応じた。


『了解デス。要件は以上デスか?』


『ああ、以上だ。それでは』


『goodbye』


「ピッ」


身体は電話を切った。


「ふぅ、向こうの承諾も得た様だし、あとは紐や袋が揃ったら再び向こうへ連絡し、一番近くにある石を入手しよう!」


「ハイ!」


「だい!」


身体に受け答える主人公と逃隠。


「さて、今日はもう帰っていいぞ? 特殊な素材のモノだ。数時間で揃うものではないからな」


「分かりました」


「了解だい!」






「ウィ――ン」


主人公は狩人ラボを出る。


(捕獲……困難なミッションになるだろうけど、スマシさんの為にもやるぞ……僕はやるんだ)


主人公は決意を新たに、戦いへ臨む。

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