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回避とサイコとツトム_第六章 終幕  作者: 時田総司(いぶさん)


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第五節 過去の真実

『日本ノ組織ノ副隊長ハ分カッテイタヨウダッタナ、事ノ発端ヲ』






日は遡り、狩人ラボでゾムビーの親玉と通話した日――。




(回想)


『ゾムビーが地球に発生し始めたのは、我々地球人が宇宙に足を踏み入れて、ゾムビーのウイルスを地球に持ち帰ったからだ。違うか?』


『そ、……ソレは……』


『その時にあの石も数個持ち帰ったのだろう。ゾムビーが地上に発生した原因は、明らかに人間側にある』


(回想終了)




『あっ、あの時の会話か……!』


N州支部の隊員は数日前の会話を思い出す。


『ソウダ』


ゾムビーの親玉は話し始める。


『人類ハ宇宙ヲ目指シ、何度モ宇宙ヘトロケットヲ飛バシテキタ。ソシテ宇宙ニ存在シタ我々ノ体液ヤ、大切ニシテイル石ヲ奪イ去ッタ』




「‼」


「⁉」




隊員は真実に触れ、動揺する。


『石ハ当時、宇宙デハ互イニヒカレ合ッテイタ。ソノ為、奪ワレタ石ニ向カッテ十数個、宇宙カラ地球ヘト飛ンデ行ッタ。我々ノ同胞達ハ石ヲ奪還スベク、ロケットノ後ヲ追ッタ。ソシテ初メニ辿リ着イタノガアメリカノN州ダッタノダ』


『! ここが始まりの場所と言われているのは、その為だったのか……⁉』


ゾムビーの親玉の話を聞いた隊員は、更に真実を耳にする。


『ソノ他ノ同胞達ハ、地球ノ自転ト公転ノ為、マッスグハ向カッテ行ケズニ、結果的ニ地球ノ様々ナ場所ヘ降リ立ッテ行ッタ。ヒカレ合ッテイタ石モ同様ニ、様々ナ場所ヘ散リ散リトナッタ』




「ウィ――ン」




モニタリング室のドアが開いた。




『どうやら、知ってしまったようだな……』




隊の幹部が現れた。


『お、お疲れ様です!』


隊員は敬礼する。


『まぁ良い、他言は無用だ。もし話が漏れた場合にはお前達を処刑する』


『! ……ハッ‼』


幹部の言葉に、更に一礼する。


『ソモソモ、人間ガ宇宙ニ来ル必要ハ無イ』


ゾムビーの親玉は話を進める。


『人間ニハ地上、地球トイウ適シタ場所ガ有ルデハナイカ? 我々ニハ宇宙トイウ場所ガ有ル様ニ。ソノ地球ノ環境ヲ破壊シ続ケ、居心地ゲ悪クナッタラ地球カラ離レテ宇宙ニ出テコヨウナンテ、大層ナオ話ダトハ思ワンカ?』


『火星移住計画のコトか?』


隊の幹部が口を開く。


『⁉ モウ他ノ星ニ目星ヲ付ケテイルトハ……ハハ、オメデタイ連中ダ』


『私達、現場対応する者は上の指示に従うまでだ』


隊の幹部は不満気に言う。


仕切り直して、ゾムビーの親玉は口を開いた。


『マア良イ、人ガ集マッタノデモウ一度言ウ、地上ニ散ラバッタ、全テノ石ヲコチラヘ返シテモライタイ』


『⁉ おい、話はその方向で進んでいるのか?』


隊員達に問う隊の幹部。


『いえ、回答はまだ出しておりません』


隊員は答える。


『よし、分かった』


ゾムビーの親玉に対して目をやる幹部。


『その申し出に対して、我々人間にどんなメリットがある?』


ゾムビーの親玉が口を開く。


『全テノゾムビーヲ地上カラ宇宙ヘ帰還サセ、モウ二度ト人類ヲ攻撃シナイ様ニサセル。事実上ノ停戦協定トイウヤツダ』




『!』




幹部は驚いた後言う。


『信憑性はあるのか? その条件に』


対するゾムビーの親玉。


『今回3ツノ石ヲ返シテ貰ッタノダガ、現ニ我々ハ攻撃ヲ止メテイルデハナイカ?』




『⁉』




(回想)


『今回ハ、ココマデデ勘弁シテヤロウ。シカシ、我々ハ諦メンゾ。アノ石ヲ……。モウ7日、一週間後ニマタ戦力ヲ立テ直シテキサマラヲ襲ウ。セイゼイ余命ヲ楽シムンダナ。ハッハッハッハ』


(回想終了)




(確かに、あれから一週間以上月日が経過している。そして宇宙通信所から目立った報告もない……信じて……いいのか?)


『ドウスル?』


ゾムビーの親玉が問う。


『……(やむを得ん)』


暫く考え込んで、幹部は口を開いた。


『分かった。承諾しよう』


ニヤリと笑うゾムビーの親玉。


『オ前ガ聡明デ助カッタゾ。アノ3ツノ石ヲ授カッタ時点デ、コチラハソチラヲ信用シテイル。期限ハ問ワナイ、ダガ早急ニ頼ムゾ』




「ジージー、……プツン」




通信が途絶えた。


『やれやれ……ゾムビー退治よりは安全そうだが』


ぼやく幹部、隊員達を見る。両手を軽く上げ、手のひらを見せる隊員。


『時間は倍以上に掛かりそうだ』






日本――、




狩人ラボ、第2訓練場。


「? ……あれ……?」


戸惑う主人公。


「な……⁉」


「だい……」


身体、逃隠も呆気に取られる。


「リジェクトが……出せない……」


主人公は訓練場で、リジェクトの威力を測ろうとしていた。また、何秒に一回打てるか、も知っておこうという目論見もあった。しかし――、


「何でだ……? 出せない……」




「…………」




身体は考える。


(超能力の威力や精度は精神面、メンタル面での調子に大きく左右される。隊長を自らの手で葬ってしまった過去を、ツトムはどこかで引きずっているのか……?)


「リジェク……」


「もういい! ツトム‼」


リジェクトを放とうとする主人公を遮る様に言う身体。


「!」


「次はグングニルだ、出来るな?」


「ハイ! やってみます‼」


身体の言葉に答える主人公。


「グングニル……!」


しかし――、




「シーン」




何も起こらない。


「そ、……そんな……」


落胆する主人公。




「……ダメだな」




身体が口を開く。


「隊長の事を引きずっているな? ツトム」


「……はい。多分、心のどこかで引っかかっているモノがあるんだと思います」


力無く答える主人公。


「このままでは全く戦力にならない。それどころか、ゾムビーにやられて、犬死してしまうのがオチだぞ?」


「はい……切り替えよう切り替えようと思ってもやはり、今まで支えてもらったスマシさんを助けられなかったのは……大きくて……」


主人公は弱々しく返す。フ――っとため息をつき、言う身体。


「そうだな。……超能力の発動は精神面が強く関わってくる。精神状態が悪ければ、力の強さも弱くなってしまう事だってある。……仕方ない。ツトム、これから暫く、狩人の活動を休め。今のままじゃあ、何もできない」


「……分かりました」


身体は最後に言う。


「俺も隊長の事は今でも夢に出るくらい後悔しているんだ。しかし、体術を使って戦える。お前は、超能力に頼るしかないんだ。その超能力が使えないんじゃあ話にならない。力が戻るまで、心を休めるんだ」


「分かりました……失礼します」


力無く答え、ラボを去ろうとする主人公。




「おイ!」




顔を上げると、逃隠が居た。


「俺ハ、待ってるからナ。お前ハ、狩人に必要な人間だと思っていル。じゃあナ」


「う……うん!」


少し明るくなる主人公。






「ウイ――ン」






ラボを出る主人公。


(これから、どうしようか……? 心を休めるって言われても……)


ふと、爆破の背中がよぎる。


「忘れられるはずがないよ……スマシさん……」


主人公は暫くその場に佇んでいた。






すると――、


「ブー、ブー」


携帯が鳴った。


「尾坦子さん……」


尾坦子からのメールだった。


「『内定もらったよ! これからお仕事頑張るからね! 電話いいかな?』かぁ……『いいよ』っと――」




「ブー、ブー」




「ピッ」


電話に出る主人公。


「もしもし」


「もしもし、やったよー。ツトム君!」


元気に言う尾坦子。


「う……うん、おめでとう」


「? ツトム君、何かあったの? 前みたいに元気ないけど……」


返す主人公。


「超能力、使えなくなっちゃった」


「!」

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