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回避とサイコとツトム_第六章 終幕  作者: 時田総司(いぶさん)


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第十四節 手渡し

「着いたか……」


軍用車両から身体が顔を出す。一行はhunter.N州支部に到着した。


(また、来てしまった……)




(回想)


「スマシさん、これからどうするのですか?」


主人公は問う。


「これから宇宙へ飛ぶんだ」


「え?」


(回想終了)




(あんなコトがあったから、多分一生忘れられない場所になるんだろうなぁ)


主人公は思いをはせる。そこで、




「ウィーン」




ラボの扉が開く。


『ようこそ! お待ちしておりました』


使いの者が、英語で話し掛けてくる。


『済まない。ロケット発射の準備は出来ているか?』


身体は問う。すると、使いの者は首を縦に振った。




『当然。さあ、奥へどうぞ』




ラボ内を歩く一行。依然と同じく、ラボ内は日本では見たことの無い金属でできている。狩人関東支部とは違い、ゾムビーの侵入を、一切許さないつくりになっているのが分かった。


『こちらです』


一行はとある会議室のような場所へ招かれた。


「ウィーン」


部屋の扉が開く。


『さあ、座って下さい』




(今、Please sit downって言ってたような)


(何を話しているのかさっぱりだい)




主人公と逃隠の意見は割れていた。


身体、狩人隊員達が順に座っていくのを見て、主人公、逃隠もその部屋の椅子に座った。部屋にはモニターがあった。そこでモニターに映像が映る。


『さて、今回の作戦について話したいと思います』


使いの者が説明を始めた。


『今回、小型のロケットを使って宇宙ヘと石とゾムビーを送り出したいと思っています。小型ロケットの先端に……』


(やっぱりだけど、中学生の英語レベルじゃあ全くついていけない……サケル君は……)


主人公は逃隠に目をやる。


「スピー……スピー……」


(寝てる!? 会話が分かんないからって……! 随分と肝が据わってる……)


一方で身体はコクリと何回か頷きながら話を聞いていた。


『……と、いう事ですが』






瞬間――、




ザザッとモニターに砂嵐が!




「!」


「!?」


「!!」




周囲に衝撃が走る。そして、




『御機嫌ヨウ、諸君』




例の何度も耳にしたあの声がこだました。ゾムビーの親玉の声である。


『これは……一体……』


使いの者は動揺する。


「何をしに来た!?」


ガタッと椅子から立ち上がり、身体は言う。


『ヨクゾ、地球上ニ存在シテイタ石トゾムビー達ヲ回収シテクレタナ。congratulationト、イッタ所カ?』


「何が言いたい!?」


身体は続けた。


『石ノ返還ニツイテダ。石ノ返還方法ダガ、手渡シ、トイウノハドウダロウカ?』


「何故だ!」


『特ニ意味ハ無イ。ダガ、完全ニ和解スルニ当タッテ景気ヅケニドウダ? 手渡シノ方ガ箔ガ付クダロウ?』


「……まあいい、要求を呑もう」


身体は大人しくなり、椅子に座った。


『……』


使いの者は通信機を使ってどこかに連絡をしている。どうやら、日本語でも英語にも聞き取れるらしく、使いの者は親玉の声を理解し、ラボ内のロケットを制御している場所へ連絡をしている様子だった。


『……』


ピッと通信機の通話を切ってこちらを向く使いの者。


『ふぅ。どうやら、作戦変更になる様ですね。4名くらいになるでしょうか? ロケットに搭乗してもらうコトになりそうです』


『よし、俺が行こう。こちらの、逃隠サケルと主人公ツトムも搭乗してもらう』


(今、僕の名前が挙がったような……)


身体の英語での発言に、不安を覚える主人公。


『そうですね……後の一人はパイロットとしてこちらの隊の者を一人送りましょう。では、ここで待ってて下さい。では』


使いの者は部屋から出て行った。


シーンと静まり返った室内で、主人公が口を開く。


「隊長、まさか……また、宇宙へ……?」


「その、まさかだ」






(! ! ! !)






衝撃を受ける主人公。


「隊長! 誰が乗るんだい!?」


逃隠の問いに答える身体。


「俺とサケル、そしてツトムとhunterの隊員一人だ」


「! また全米を泣かせるんだい!」


(だから、サケル君……縁起が悪いって)


そっと思う主人公であった。




『中型のロケットだ! 急いで!』


『機体チェックはどうなってる!?』


『冷却水、散水設備は!?』




慌しくなるhunterラボ。発射されるロケットの変更で発射準備が新たに行われる。






そして――、




遂には移動発射台に中型のロケットが載せられて、発射場に運び込まれてきた。発射準備開始から数時間後――、主人公達も別室で宇宙服に着替えて、発射に備える。


(これで二回目だ……中学生にして、二回も宇宙へ飛ぶとは……)


ブルーな気持ちになる主人公。


そこへ――、


「ツトム!」


身体がやって来た。


「隊長……」


「手渡しで石を相手に渡すと言ったが、その役を務めるのはツトム、お前だ」


「! え!? な……何で……?」


ふーと溜め息をつく身体。


「超能力を使えるからだ。リジェクトで、宇宙空間を移動してもらう」


「でもっ! あれは……リジェクトはまだ出せるかどうか試してなくて……」


「なら今試すんだ……試せ」


「(! 身体隊長、ホントにスマシさんに似て来たなぁ……)ハイ、ワカリマシタ」


硬くなる主人公。そして、


(拒絶……嫌なコト……今回の任務に、失敗したく……ない!)


カッと両手が光り輝く。




「リジェクト!!」




ドッという音と共に近くにあったゴミ箱が吹き飛んだ。


「……いけるじゃないか、ツトム」


「は……はい! 良かったです(何言ってるんだろう……僕)」




『搭乗準備、やや不安ではありますができましたよ!!』




hunterの職員が部屋に入って来て言う。


『やや不安である、とは?』


『急ピッチでやった確認作業なため、9割の信頼性しかない、といったところです。こんな短時間にしては頑張った方だと思うけどね』


『分かった、行こう』


身体は搭乗に向かう。主人公、逃隠もまた、身体に手で促されて登場に向かった。


コックピットに座る、hunter隊員を含む4人。


(そういえば、前の時には心の準備についてとか、スマシさんに教えてもらってたっけ)




(回想)


口を開く爆破。


「ロケットが打ち上げられると、コックピット内ではエンジンや機体からの大きな音が響き、激しい振動が生じる」




「なるほど!」


「だい!」




主人公と逃隠は話に集中している様子だった。


「また、私達は瞬間的に1.6Gの重力で椅子に押し付けられる。これは旅客機の離陸時で感じる時の重力のおよそ5倍になる」




「ご、……5倍……⁉」


「だい……」




絶句する主人公と逃隠。


「まぁそれは防ぎようの無い事だ。だから、それに備えての心の準備が必要になる、といった感じかな?」


(回想終了)




(もう……スマシさんは居ないんだ……新たに隊長となった、身体隊長の下で任務を行っていく。その任務も、今回が最後。これで……すべてが終わる)


手袋をはめた右手を見つめる主人公。強く拳を握る。


(終わらせるんだ……自分達の力で……!)




『発射5秒前……スリー、ツー、ワン……』




轟音と共に、ロケットは発射された。主人公達を重力が襲う。


「クッ」


重力を耐え抜く事数分、


「ふわっ」


ロケット内は無重力空間となった。


(ゾムビーの親玉……待ってろ……!)

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