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回避とサイコとツトム_第六章 終幕  作者: 時田総司(いぶさん)


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第十節 大湿原へ

主人公達の脳内に音声がこだまする。




『ヨクヤッテクレタナ、人間』




「!」


「‼」


「⁉」




『コレデ同胞達ヲ無事、コチラヘ連レ帰ル事ガデキル……』


「見ていたのか……?」


身体が口を開く。


「次の要求は何だ? 答えろ」


『質問ハ、一遍ニスルモノデハナイ。シカシ、答エテヤロウ』


音声は途絶える事無く鳴り響く。


『今、月ノ軌道上ニ居ルノデ、ココカラ同胞ノ様子ヲ感ジ取ッテイタノダ。次ノ要求ハ、アノ石ノ返還ダ』




「!」




顔を見合わせる主人公と逃隠。身体は言う。


「石の返還、か……。そう簡単に言っても、こちらは現在ある石と一緒にしらみつぶしにあの石を探している状況だ。その要求に応えるのは困難を要するだろう」


ゾムビーの親玉は身体の言葉に対し、こう返してきた。


『ソコデ、ダ……コチラデ感ジ取ッタ石ノ在リ処ヲワタシガ教エル。人間達ハソコニ行ッテ石ヲ入手スレバイイノダ』


身体は問う。


「毎度の如く思っていたんだが、そこまでの事をしてくれるのか? それなら自分で地球に降りて自分で回収した方が早いんじゃないか?」


親玉は返す。


『ハハハ。ソウ思ワレテモ仕方ナイカ。ワタシハ地球ノ環境ニ適サナイ体質デナ。地上デハ活動ガデキナイノダ』


フーと溜め息をついて身体は言う。


「分かった、では石の在り処を教えろ」




『パンタナルダ』




「!」


「⁉」




親玉の言葉に反応する一同。身体は驚愕した。


「パンタナル……だと……?」


『知ッテイルノカ? 人間』


「副隊長! パンタナルって……?」


主人公は身体に問う。身体はすぐに答えた。


「ああ、パンタナルとは、南アメリカ大陸のほぼ中央に位置する世界最大中の湿原だ」




「南……アメリカ……?」




主人公は唖然とした。


(今度はそんなに遠いところに……!)


更に親玉は音声を送って来た。


『知ッテイルナラ話ハ早イ。ソチラノ……狩人ト言ッタカ? 狩人ト、アメリカノ部隊トデ協力シ合イ探索シテクレレバ石モ見ツカルダロウ』






「……待て」


身体が口を開く。


『?』


「パンタナルは限りなく広い。そんな湿原を数十名で捜したところで全て見つけることができるのか? 俺は不可能だと思う」


音声は帰って来る。






『ソウカ……ナラバ今マデ通リ我々ト敵対スルツモリカ……?』






「! そ……それは……」


動揺する身体。


『因ミニ石ハソコニ5個アル。人間ガ保持シテイルモノト合ワセテ、地上ニアル全テノ石ガ、ソノ5ツデ揃ウ』


「何⁉」


親玉の言葉に、更に虚を突かれる身体。主人公は口を開く。


「副隊長! あと5つあれば、全部の石が揃って、全てのゾムビー達と和解することができます! スマシさんの悲願が叶います‼」


「……」


暫く考え込む身体。


「……分かった。石を集めに行こう」


身体の言葉に、ぱぁっと明るくなる主人公と逃隠。


「副隊長……!」


「だい!」




「皆、聞いてくれ!」




身体は口を開いた。


「今回の任務が、対ゾムビーにおいての最終任務になる。石を入手する際、ゾムビーに襲われる可能性もある。更に今回はゾムビーを捕獲しなければならない。厳しい戦いになるが、誰一人としてこの戦いの犠牲になるなよ。生きて、日本に帰ろう」


「副隊長……段々隊長に似て来ましたね」


主人公はそっと呟いた。


「ツトム、よせ」


身体は少し、はにかんでいた。




『盛リ上ガッテイル所悪イガ、モウイイカ?』




「!」


「⁉」




音声が飛んできた。身体が口を開く。


「ああ、こちらこそ、悪かったな。何か話があるのか?」


再び音声が飛んでくる。


『アア、少シダケ、ナ。コチラカラ石ヲ集メルノニ期限ヲ提示スル。期限ハ今日カラ1カ月ダ』


「成程、妥当な期間だな。分かったそれで手を打とう」


身体は納得した様子でそう返した。


『最後ニ、ロケットノ処理方法ダガ、コチラデ体液ヲ用イテ溶カシテシマッテ良イナ?』


「構わんぞ」


親玉に対し、二つ返事で答える身体。


(これで、宇宙ゴミ、スペースデブリは発生しないから、宇宙が汚れずに済む。宇宙の環境問題の観点から言うと、人間よりもゾムビー側の方が正しいのか? 分からない)


主人公は考え込む。


『デハ、待ッテイルゾ……』


親玉の音声は段々聞こえなくなっていった。




「よし! では今度こそK県に帰るぞ、皆!」




身体は一同に声を掛ける。


「……」


未だに考え事をしている主人公。


「どうした? ツトム」


身体が声を掛ける。


「あ! ……いえ、何でもないです」


咄嗟に誤魔化す主人公だった。






一行は新幹線に乗り、K県に帰った。


「2日後、パンタナルへ向けて出発するぞ。皆、身支度を整えるように!」




「はい!」


「だい!」


「ラジャー」




身体の指揮に対し、それぞれが応対した。






1日後。夜、主人公宅――、




「父さん、母さん……」


父と母を前に神妙な面持ちの主人公。


「これが最後の任務になります。暫くまた、家を空けます。許して下さい」


頭を下げる主人公。


「顔を上げなさい、ツトム」


父はそっと声を掛けた。主人公の両肩に手をやる。




「強い意志を持って、やり遂げるんだぞ」




「……うん!」


主人公は答えた。


「母さんも、応援しているからね」


母もまた、優しい言葉を掛けてくれた。


「母さん……」


目頭が熱くなる。


「今晩は、ゆっくり寝て明日からの任務に備えるんだぞ」


「分かったよ、父さん!」


涙を拭い、元気に答える主人公だった。






その日の晩――、




身体自室。


『俺だ。狩人部隊副隊長、身体だ。hunter.N州支部に繋いでくれ』


電話越しに英語で、身体が何者かと話をしている。


『もしもし? 誰デスか』


N州支部の者が電話に出た。


『俺だ、身体スグルだ。込み入って話がある。いいか?』


身体は真剣な口調で話す。


『……何デスか?』


N州支部の者は少し間を開けて問う。


『パンタナルにある石についてだ。もうそちらにも情報は入っているか?』


『ああ、あの例の念波の様なモノですネ? こちらにもその情報は入ってきていマス。ゾムビーの親玉モ、随分とご丁寧なものデス』


淡々と会話を交わす身体とN州支部の者。


『それなら話は早い。明日からパンタナルへ向けて出発しようと思う。現地で、都合が合えば協力して任務に当たりたい』




『……』






翌日――、




狩人部隊は成田空港に集合した。




身体がはつらつとした声で隊に呼びかける。


「皆! パスポート等は忘れていないか? すぐに搭乗するぞ」




パンタナルへの旅路は長い。


まず飛行機を乗り継ぎ、クイアバの空港へ行かなければならない。


成田空港から出発の場合、北米都市及びブラジル国内乗り継ぎで最短32時間の長旅を経て翌日に到着する事となる。


クイアバの空港に到着後、パンタナルのホテル(ロッジ)まではバスで約4時間かかる。


その翌日から、本格的にパンタナル探索が始まるのである。




さて、狩人部隊は成田空港にて、飛行機に搭乗した。座席に着くと身体が口を開く。


「ここから何度か飛行機の乗り継ぎをする。計30時間を超える長旅になるので、覚悟してくれ」


それを聞いた主人公は頭を抱えながら呟く。


「さ……さんじゅう……」




「それと」




身体は続けて言う。


「前回のN州行きの時の様に、人生のイロハ等は教えられないからな、俺は。……隊長とは違うのでな」


少し笑顔になった主人公は言う。


「はは……無理しないで下さいよ、副隊長」


「だい!」


逃隠も声を掛けた。


「そう……だな」


身体は納得した様子で頷く。飛行機は飛び立った。

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