第2話
カチャカチャとお茶の準備で揺れる茶器の音をぼんやりと聞きながら、スファレは起きてから何度目かの溜息を盛大に吐いた。
「今朝も朝から辛気臭いですね」
はあ、とこちらも隠すことなくジエットがスファレに向け溜息を吐くと、どうぞ、と言って紅茶の入ったティーカップをスファレが突っ伏しているテーブルの上に置いた。
「アールグレイです。リラックス効果があるんですよ。ああ、それよりもストレス軽減って言った方が今のあなたには的確でしたか?」
見下ろすような形で投げられたジエットの言葉に、スファレはテーブルに突っ伏したままの姿勢でギロリとジエットを睨みつける。
「もっといたわりの言葉はかけられないのっ?!」
スファレがバンっとテーブルを叩いて体を起こすと、行儀が悪いですよ、とジエットは呆れたように一瞥し、構わずクッキーの乗ったお皿をスファレの前に置く。
「いたわり、ですか?……幼い頃から前世で他の女に男を取られたと嘆き続け、その女のやり口を真似して王子を堕とそうとしているとずっと言い続けてきたくせに、その女の出現だけは想像していなかった人に、ですか?」
ジエットが、はて? とわざとらしく首を傾げてすっとぼけて視線を天井の方へと向けると、スファレは悔しそうに唇をわなわなと震わせる。
「そんなの……そんなのっ、想像してなかったに決まってるでしょっ?!」
スファレは開き直ってそう叫ぶと、おもむろにクッキーに手を伸ばしそのままそれを頬張った。むしゃむしゃと半ば自棄になって食べるその姿に、ジエットが眉間に皺を寄せる。
「だって、あんな悪夢っ、絶対に起こってほしくないんだもんっ! か、考えたらっ、本当になっちゃうかもしれないでしょうっ?!」
スファレの記憶に一番色濃く残っているのは、あと少しで手に入れることができるはずだった栄冠を奪われた瞬間の惨めな気持ちだ。だからこそ、その負の感情はなるべく思い出したくもなく、『聖女』という言葉からも遠ざかって生きてきたくらいだ。
(だって、言霊って、あると思うし……)
言葉にして、頭の中で想像して、そのせいでそれが現実になってしまったら? そう考えると怖くて、肝心な所には蓋をして見ないようにしていたのだ。
「……あなたって人は」
口元に右手をあて神妙な顔つきをするスファレに、ジエットが溜息交じりに言葉を漏らした。釣られるように視線を上げると、ジエットの憐れみを帯びた漆黒の瞳と目が合う。
「本当に詰めが甘いと言うか、馬鹿ですね」
「……」
(そんなのっ、言われなくてもわかってるもんっ!!)
ジエットの歯に衣着せない言葉にスファレは目を向くと、図星を刺された悔しさと行き場のないもやもやとした気持ちを誤魔化すように皿の上のクッキーへと手を伸ばした。サク、とクッキーを噛み締める音がしんと静まり返った室内に響くと、口の中に広がる絶妙な甘みに、数日前に味わった絶望がスファレの中に甦った。
※※※※※
視界が真っ赤に染まっていた。吸い込まれるような紅い瞳から目が離せず呆然と立ち尽くしているスファレに気づいたのか、紅玉はスファレに向けもう一度笑みを作ると、スファレは反射的に体をびくりと反応させ、弾かれるように翡翠の瞳を見開いた。
(あ……何か、言った方がいいのかな? でも……)
「はじめまして。ルズブリッジ王国第一王子のシンハライトです。よろしくね」
透き通る声に反射的に視線を向けると、シンハライトが小さくウィンクを寄越した。
「こんにちは。第二王子のグランディディエです。よろしく」
続いてシンハライトに比べると少し低い声が背中から聞こえた。振り返ることはできないが、それでも二人から少し勇気を貰った気がして、スファレは一度目を瞑りゆっくりと深呼吸すると、しっかりと顔を上げて紅玉の姿を視界の中央に捉える。
「サマセット公爵家のスファレと申します。よろしくお願いいたします」
そう言うとスファレは右足を引き軽く左の膝を曲げ会釈をしてみせた。予想もしていなかった展開にまだ心中はちっとも穏やかではなかったが、それを隠して笑ってみせるくらいの技量は、ここまで生きてくる間に身に着けていた。
(そうよ。だって、別に聖女が現れたからって、何かが変わるわけじゃないんだし……)
心配のしすぎ、と胸中で自分を慰めていると、オホン、と仕切りなおすような王の咳払いが聞こえた。
「本来なら正式に挨拶すべきところじゃが、わしはあまり堅苦しいのが好きじゃなくてな。ちょうど関係者も揃っておったし、これで許してほしい」
王がそう言ってちらりと紅玉を見ると、紅玉は笑顔を浮かべたまま小さく頷いてみせた。
(関係者……?)
「そうか。とはいえ、立ち話もなんだしな。座れるように準備をしておくれ。それとお茶の用意も。喉がカラカラじゃ」
スファレの中に浮かんだ疑問が解消される前に、王の命令に控えていたメイドや執事がテキパキと動き出した。
(なんで、一緒にお茶する流れになってるの?)
訳も分からぬままメイドに促され場所を空けると、シンハライトとグランディディエが神妙な顔をして拡大されるティーテーブルを見つめていた。あっという間に、いつもの三人用のお茶会は、六人のゲストを迎えられる大きさに生まれ変わった。
「……アップルパイ」
スファレの隣の席に座した紅玉が、メイドに用意されたお茶菓子と並ぶスファレ手製のアップルパイを見つめてぽつりと呟いた。
「アップルパイ、お好きなんですか? よろしかったら召し上がってください。私が作ったのをお気になさらないのであれば」
「……あなたがお作りになられたの?」
「……」
(しまったああああ!)
自然と口から零れた言葉に向けられた不思議そうな紅玉の瞳に、スファレは一瞬の間の後、自分の失言に気づく。
(もうずっと当たり前みたいになってたから忘れてたけど、普通の貴族の娘は自分でお菓子なんて作ったりしないんだった!)
「美味しいですよ。うちのパティシエも味を認めてるくらいなんです」
「そうそう。僕たちもファンなんだ」
スファレがどんな言い訳をしようかと顔を青くしながら頭を抱えていると、二人の王子からそうフォローの声が上がった。二人は先ほどと同じようにまたスファレのアップルパイを皿に取ると、一口、また一口と口に運んでいく。
「まあ。器用でいらっしゃるんですのね」
「いえ、そんな……」
(な、なんとか誤魔化せた? 二人ともありがとう……)
上品に笑みを浮かべた紅玉にスファレはかろうじて笑みを返すと、胸中で二人に向け感謝を述べる。
「さて。喉も潤ったことだし、ではそろそろ本題に入ろうかのう」
(本題?)
心を落ち着けようとスファレが紅茶を一口飲みカップを置いたちょうどその時、王がそう言ってテーブルに座る全員の顔をぐるりと見まわした。不思議そうに目を丸めるスファレとは打って変わって、シンハライトとグランディディエの顔つきが少し厳しいものに変わったことも、また疑問としてスファレの胸に落ちる。
(なんか、空気が緊迫してる?)
場に流れるどこか違和感を覚える空気を意識すると、王と王妃の顔つきもどことなく神妙に見えた。ただ一人紅玉だけは、先ほどと変わらずにニコニコと笑みを浮かべたままだった。
「あの、本題って、なんですか?」
この場でどうやら状況を理解していない唯一の人物であろうスファレが恐る恐る声を上げると、王妃が一瞬気づかわし気な視線を投げた後そっと視線を伏せた所で王がまた口を開いた。
「……王家に歴史があるように、また教会にも歴史がある。この二つの存在が昔から共に国の発展の為に歩んできておるのは皆知っていると思うが、両者の間にはいくつかの取り決めがある」
(取り決め? ていうか、なんで急に教会の話が?……あ、聖女の預かり先は教会だからか)
縁遠い言葉にすっかり忘れていた知識を、忌々しい前世の記憶から引っ張り出す。
教会は王家とは独立した立場にある。もちろん王家が国家の最高位にあることには変わりないが、ある種不可侵の権力を持っているのが教会の立場だった。均衡を保つ為に両者の間に取り決めがあるというのは理解できるが、それが今この面子に関係するのだろうか? とスファレは首を傾げた。
(二人はともかく、私が聞いていいのかな?)
「聖女の発現がどの世でも起こることではないのはお前たちも知っているじゃろ?」
王はそう言いながらまたぐるりと一同を見回した。皆一様に無表情で反応することはなかったが、王は構わず続ける。
「聖女というのは特別な力を持った特別な存在じゃ。その存在は栄光と繁栄をもたらすとも言われておる。いわば、奇跡の存在じゃ」
王はそう言うと視線を紅玉へと合わせた。紅玉はそれを受け入れるように目を伏せ、静かに頷いた。スファレは二人の様子を目で追いながら、どくり、と心臓が嫌な音を立てたのを感じた。
「そこで、国家の強化を図るために、聖女が発現した場合は王家の跡継ぎの婚約者候補とする、というのが歴史の上で交わされた王家と教会の取り決めの一つじゃ」
「え?」
(どういうこと?)
あまりの驚きに無意識に漏れてしまったスファレの声に、その場に会する紅玉以外の全員がスファレを見た。スファレを見る瞳は三者三葉それぞれなんとも言えない表情をしていたが、最後にこちらを見た王はそれに構わず先を続ける。
「スファレ。今までわしの息子たち、つまりは王位継承者の婚約者候補はおぬしだけじゃった。それは我々王と王妃の望みでもあった為、どちらかと結婚してこの国を継いでもらえれば良いと思っておった。その気持ちは今も変わらない。だが、聖女が発現した今、教会との約束は守らねばならん。おぬしには悪いが、そこは理解して欲しい」
「あ、はい……」
淡々と告げられた王の言葉に、スファレは理解の追いつかない頭でただ頷くことしかできなかった。
(え? もしかして、私……)
「だからって、別にスファレがお役御免になったわけじゃないんでしょ?」
一瞬遅れて理解し始めた脳に、だが言霊の呪縛により自分では想像することも憚られた言葉を、スファレの代わりに今までずっと黙っていたグランディディエが切り出した。視線を伏せる代わりにグランディディエを見ると、グランディディエは真っ直ぐ射貫くように王を見ていた。
「無論、そんなことにはならない。いくら教会との古からの取り決めといえど、現国王のわしの意見は尊重される。わしは婚約者候補からスファレを外す気はない」
(あ、そうなんだ……よかった)
キッパリと言い切った王の言葉に、スファレは首の皮一枚繋がった今の状況にほっと小さく胸をなでおろした。
(あれ? でも、じゃあ……)
「僕かグランディディエか、スファレか紅玉か、この四人の組み合わせのどれかが王位継承者となる、そういうことですか?」
無表情のシンハライトに、王は大きく頷いた。
「うむ。そういうことじゃ。頃合いになったら最終課題を出す。それにペアで挑んでもらい、勝者に王位継承権を授ける。悠長に構えていたおまえたちに取っても、いい機会じゃろ」
「……ということは、組んだペアの相手がそのまま結婚相手になるということですか?」
「普通に考えればそうね」
「……わかりました」
代わりに答えた王妃の言葉を咀嚼するようにシンハライトは少し沈黙すると、了承を示すように頷いた。
「じゃあ、顔合わせと事情の説明はこれで終わりじゃ。ああ、次からおまえたちのお茶会を開く時には紅玉も呼ぶように。親睦を深めんことには何も始まらんからな」
「……」
(嘘でしょ……)
未だ理解の追いつかないスファレを置いてきぼりにしたまま、あっという間に会はお開きを迎えていた。渦中の人である紅玉はずっと笑顔を浮かべたまま一言も発することはなく、王子二人もそれぞれ神妙な顔つきで無言のままだった。そんな中最後に落とされた王からの絶望の宣告に、スファレが何かを言うことなどできるはずもなかった。
※※※※※
サク、サク、とクッキーを咀嚼する音が鳴り続ける。ジエットはその姿を横目で見ながら、既に空になってしまっていたカップへと紅茶を注ぎ足した。ほわりと香る紅茶の良い香りが、スファレの心の奥の柔らかなところへと染み込んでいく。
「……生まれ変わるなら聖女に生まれ変わりたかった」
サク、と最後の一欠けらを口の中に放り込んで、スファレはぽつりとそう呟いた。特に返事を求めていないそれは部屋の中にすぐに溶け、またすぐに沈黙が落ちた。スファレはぽすんとまたテーブルに突っ伏すと、なんとも言えない気持ちを表すかのようにむにむにと唇を動かす。
「なんで聖女に生まれ変わらなかったんだろう……運命力が低すぎるっっ」
「……運命力ってなんですか?」
無視を決め込むはずだったジエットが、初めて聞く言葉にたまらずツッコミを入れる。スファレはちらりと上目遣いでジエットを見上げると、
「知らないっ! でもっ、奇跡の存在として生まれてこれるなんて、運命力強そうじゃないっ?! あーあ、どうしたらそんな風になれるの? 私なんてまた王妃の座を奪われようとしてるのにっ?!」
と、自虐的に一呼吸で言って上半身をガバっと起こした。
「自棄になっているのか知りませんけど、言うに事欠いてそれですか」
はあ、と呆れたように溜息を吐くと、ジエットは明らかに馬鹿にした目をスファレへと向けた。
「だってっ! 聖女に生まれてきただけで何もかも特別待遇なのよ?! 後から出てきて何もしなくても婚約者候補になれて! じゃあ、今まで私がコツコツ努力してきたことってなんだったの? て思うじゃないっ!」
不公平よっ、とまくしたてると、先ほどと同じ目をしたままジエットがスファレを見る。
「あなたがコツコツ努力したこと?」
「そうっ!」
「例えば?」
「例えばって……ジエットだって知ってるじゃない」
真顔のままそう聞かれ、スファレは思わず怯む。ジエットは口ごもってしまったスファレに小さく息を吐くと、スファレの代わりにその先を続ける。
「幼い頃から王家に出入りして、貴族の娘らしからぬ手作り菓子を王子にふるまって、王と王妃に気に入られたことですか?」
「……まとめられるとそうだけど……」
(なんか、言い方に棘があると思うんだけど……)
まるでそこにスファレの努力が何もないようなジエットの言い方に不満気な瞳を向けると、ジエットは無表情のままこう尋ねた。
「それって、聖女に生まれたことと何か変わりがありますか?」
「え?」
(聖女に生まれたことと変わりが無いって言うの?!)
「なんでっ……」
「だってそうでしょう? 町娘から見たら、あなたは公爵家に生まれたから、王子の婚約者候補になれる。いいな、羨ましいな、でもそれは貴族に生まれたんだから特別待遇なんだ、って、それと何か違いますか? あなたが努力と呼ぶもの全ては否定しませんが、あなたが甘んじていた場所は、それ以外の要因で与えられたものが大きい、ということを考えたことは?」
「……」
ジエットの厳しい言葉に、反論しようと思っていた言葉が全て頭の中から消えてしまった。代わりに、スファレが小さく首を横に振ると、ジエットは納得したように頷いた。
「でしょうね。だからあなたはどうでもいいことを羨み、どうでもいいことで悩んでいるんですもんね」
「どうでもいいってっ、どうでも良くないでしょ?!」
(私は真剣に悩んでるのにっ!!)
「どうしてですか? そもそも、本来であれば婚約者候補はあなた以外にもいるはずで、それをたまたま王と王妃が露払いしてくれていただけでしょう? だから、相手が聖女というだけで、本来あるべき姿に戻っただけです」
違いますか? と問われ、スファレはまた首を横に振る。
「そう言われちゃえば、そうだけどぉ……」
(でも……)
「それに、あなたがずっと語る夢と違って、王子たちは今のところ聖女に興味を持っていない。むしろ、後から出てきて疎ましい存在である可能性の方が高いはずです」
「それは、そうかもしれないけど……」
未だもやもやとした気持ちと折り合いのつかないスファレを他所に、ジエットは淡々と事実を並べ現状を整理していく。
「だとしたら、あなたがすべきことは何ですか? こんなところでボヤいていることですか? そうだと言うのなら、あなたの夢が正夢になるばかりでしょうね」
「それはダメっ!! だって、今度こそ幸せを手に入れるんだからっ!!」
(もうあんな惨めな気持ちには二度となりたくないのっ!!)
トラウマにもなっている情景が脳内にぶり返し、スファレは振り払うように面を上げてジエットを見た。鋭い視線を送っていたジエットの瞳が、にっこりと弧を描く。
「だったら、早く支度をしたらいかがですか? 今日はお茶会なんでしょう? どうせまた馬鹿の一つ覚えみたいにお菓子を作って持っていくんですよね? 事情を知ったパティシエが腕が鳴るって待っていましたよ」
「馬鹿って酷いっ!……でも、そうよね。まだ何も決まったわけじゃないんだから、やれることはやらなきゃよね? だって、私の幸せな人生がかかってるんだからっ!……ありがとう、ジエット。あなたのおかげで元気が出たわっ!」
(そうよ。これで何もしなくて羨んでたり嘆いてただけじゃ、前と同じになっちゃうもん。やれることはちゃんとやらなきゃっ)
ここ数日の間ずっと自身の中にくすぶっていたモヤモヤが晴れたような気がして、スファレは両手をぐっと胸の前で握って気合を入れると、笑みを作ってジエットを見た。ジエットもそれを受けると普段のような笑顔をスファレへと向ける。
「それはよかった。あなたが沈んでいるのをみるのは鬱陶しいですからね」
「言い方……でも、本当にありがとう」
スファレがもう一度重ねてお礼を述べると、ジエットは小さく一礼してみせた。
「……ところで、幸せな人生とか言ってますけど、あなたにとって幸せな人生って何を指すんですか?」
空になった皿を片付けながらジエットから投げられた質問に、スファレは不思議そうに首を傾げる。
「? なにって、王妃になることに決まってるでしょ」
そうと決まれば善は急げとすでに立ち上がり身支度をしながらスファレがそう答えると、ジエットは何とも言えない表情をスファレへと向けた。
「……あなたって、本当に馬鹿ですよね」
「どういう意味っ?! だって、そうでしょ? それが叶えられなくて不幸を呪って死んでいったんですもの。そうなれば幸せになれるに決まってるでしょ」
(今更何を疑問に思うのかしら?)
スファレが何の疑問も持たずにそう言い切ると、ジエットはしばらく何か考えるような表情でじっとスファレを見つめていたかと思うと、はあ、と聞こえるような溜息を一つ吐いた。
「あなたが本当にそう思っておられるのなら、最後までずっとその気持ちを曲げないで進んでくださいね。あなたのこと本当に馬鹿だなと思うんですが、可愛いと思っているのも本当なんですよ。ですから、あなたが悲しむ顔は見たくないですからね」
「あ、ありがとう?……でも、やっぱり言い方酷くない?」
(ジエット、何が言いたいのかしら?)
ジエットの言葉の意味がいまいちわからず、スファレは首を傾げたまま支度をすべく部屋を後にした。
続きは明日上げます。よろしくお願いします