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307話 プライバシーが無いかもしれない




   「えっ?」

   〔えっ?〕


   郁人とライコは当たり前のように会話を

   聞いていたアマポセドに2人は固まる。

   それに気付いたアマポセドは頭をかき

   ながら謝る。


   <あっ、ごめんね! つい旦那様の話だった

   から反応しちゃった!>

   〔この元神……あたしの声も聞こえてたり

   するの?〕

   <聞こえてるよー。神としての力は無い

   けど、もともと出来るから僕>


   僕の実力でーすと手をひらひらさせる。


   <それに、あの反則級だけど人間の彼に

   出来るんだから。元神の僕に出来ない

   ってことはないでしょ?

   まあ、あの彼は例外中の例外みたいな

   感じだけどさ>

   〔……さすが元海神というべきかしら?

   この世界で1番の知名度と信仰をもってた

   からそりゃハイスペックよね〕


   ライコはぽつりと呟いた。


   <そうそう。僕ってば知名度とか半端

   なかったからさあ。信仰も海にいる子達、

   全員から敬われていたからえぐかったのよ。

   だから、神じゃなくなっても元がやばいん

   だよねえ、僕。

   で、前の旦那様ってなに?>


   聞きたいなあと興味津々オーラに

   郁人はたじたじになりながら答える。


   (あの……その……エンヴィディアがなぜ

   俺を奏者とか、チイトがパパ呼びしている

   理由は知ってますか?)

   <あぁ。君が旦那様やチイトくん達を

   描いた創作者って話のこと?

   君の記憶をちらっと見たから知ってるよ>


   郁人が尋ねると、アマポセドはさらっと

   とんでもないことを言った。


   (知ってたんですか?! しかも見たって

   どういう事です?!)

   <だって、旦那様があれだけ気に掛ける

   んだよお。そりゃ気になって見ちゃう

   でしょ? 君の記憶とかいろいろさあ。

   そしたら、まさかの異世界人で君が

   旦那様を描いた作者だなんてさ。

   あのときは本当に驚いたなあ>

   (……いつの間に見たんです?)

   <初めて会ったときだけど?>


   あっさり告げるアマポセドに悪びれた

   様子はさらさらない。


   〔………この神、プライバシーとか考えて

   ないわね〕

   <普段から見てる訳じゃないよ、僕。

   ただ神のときのクセでさあ。相手が

   どんな性格してるのか経歴とかつい

   見ちゃうんだよね>


   見た目でわかるわけないからさ

   とアマポセドは続ける。


   <てか、妖精とかも結構見るの多いよ。

   こう敬われる立場だとさ、相手が

   悪いこと考えてないか気にするから。

   もし、僕がちょいとだけ気にしたり、

   気に入ったらそれを悪用する奴が

   ごろんといたからね>

   (神様に目をかけてもらってるんだぞ!

   って気が強くなってやらかした人がいる

   感じなんですかね……)

   〔まあ、実際に目をかけてもらってる

   からって調子に乗ってやらかした国も

   あるからなんとも言えないわね……〕


   アマポセドの言葉に郁人は頷き、

   ライコは実例を思い出したのかため息

   を吐いた。


   (そんな国があるんだな……。俺なら

   怖くなるかも。目をかけてもらってる

   以上、生活とかそういったものはきちんと

   しないとって緊張しそうだし、悪いこと

   したら天罰とか下りそうだから)

   <本来はそう考える子が多いよ。人々に

   後ろ指さされるようなことは絶対にしちゃ

   いけないって精進する子が僕の周りには

   多かったよ。それにしても……>


   アマポセドは笑ったあと、郁人をじっと

   見る。


   <君、結構な加護を授かったねえ。

   四季それぞれから授かるとかかなり

   レアだよ。僕が神だった頃でも見たこと

   ないくらい>


   珍しいもんだとアマポセドは目を

   ぱちくりさせる。


   <夏の加護は正直持ってるのはわかってた

   けど、他のもあるなんてびっくりだよ。

   とくに秋の妖精王の加護はさ。あの子、

   かなりの人間嫌いだったのにねえ〜>

   (なんで俺が夏の妖精王の加護を持ってる

   のはわかってたんですか?)

   <だって、君ってばあの子にそっくり

   だからね。で、前の旦那様ってなに?>


   郁人がそっくりについて聞く前に

   アマポセドはぐいぐい質問する。


   (あの、そっくりって……)

   <前のって君が描いてた頃の旦那様って

   こと? それとも別の理由でもあるのかな?

   僕の知らない旦那様の一面があるって

   こと??>

   (えっと、俺が描いてたときのエンヴィディ

   アは王子様系だったんで。いつも微笑んで

   る感じのキラキラした、白馬が似合う感じ

   の……)


   郁人の言葉にアマポセドはポカンと

   口を開ける。


   <………旦那様が? いつも気が立ってる、

   警戒心MAXの猫みたいな旦那様が?>

   (その、猫かはわかりませんが前の

   エンヴィディアはそうでした。俺が

   音楽から離れたのがきっかけで性格が

   変わったそうで……)


   チイトが断言してたなあと郁人は

   思い出しながら答えた。


   <えっ、じゃあ旦那様ってばそういった

   理由でひねくれちゃったの?

   かわいいっっ!!>


   庇護したくなる! 加護授けたくなる

   くらい!! とアマポセドはニヤケ顔を

   抑えられない。


   <どんな感じなのか気になるんだけど、

   描けたりする?>

   (紙とペンがあれば……)

   <はい、どうぞ>


   アマポセドは空間から紙とペンを取り出し

   そのまま渡す。


   <下敷きとかいる? それとなんだっけ……

   あれ……あぁ! 画板! 首にかけて紙を乗せる

   やつ! あれいる?>

   (いえ、大丈夫です)


   郁人は勢いに押されながらも、紙と

   ペンを受け取って描いていく。


   (……描けました! こんな感じですよ?)

   「わああああ!!」


   アマポセドは目を輝かせ、頬を紅潮しな

   がら絵を大切に掲げる。


   「前の旦那様ってこんな感じなんだ!!

   マジで王子様って感じ!!

   それが気高い猫ちゃん系になるとか……!!!

   ねえねえ! 横に今の旦那様も描いてよ!」

   「はっ……はい」


   アマポセドの勢いに押され、もう1度

   渡された紙、前のエンヴィディアの隣に

   今のエンヴィディアを描いて渡す。


   「どうぞ……」

   「本当にかわいい!! 前の旦那様もいいけど、

   やっぱり今の旦那様かな!!

   庇護したくなるくらい!! 加護授けたい

   くらいにヤバい!!」


   きゃーきゃーと黄色い声をあげる

   エンヴィディアは絵に頬ずりする。


   「王子様系ワンちゃんも良いけど、

   僕は今の旦那様が1番かな!!」

   「さっきからうるせえんだよ」


   そこへ額に青筋を走らせたエンヴィディア

   が来た。


   「こっちが絡まれてるってのになに

   くっちゃべってんだ? あぁ??」

   「いやあ〜旦那様の絵をおねだりして

   貰ったんですよ! 本当に上手いね!

   彼ってばサラサラって描きあげたよ!」

   〔こんなキレてる相手を前に平然として

   られるこいつスゴイわよね……〕 

   (うん、俺もそう思う。エンヴィディアが

   怒ってるからか体感温度下がってる気が

   するし……)


   ヘラヘラと笑うアマポセドを見ていると、

   アストが声を掛ける。


   「貴方様は絵が上手いのですね、

   "イクト”さん」

   「そう言ってもらえ……る……と………」


   断言された郁人はぴしりと固まった。


   〔こいつ、なんであんたの名前知ってる

   のよ?! 正体見破られてるじゃない!!〕


   郁人の心中をライコが叫んだ。

   心中を露とも知らないアストは不思議そう

   に尋ねる。


   「どうかされましたか? 顔色が……」

   「テメエ、名前をなんで知ってやがる?」

   「あっ……」


   エンヴィディアの言葉にアストは

   しまったと顔に書いてあった。




ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

思っていただけましたら

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