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小話 デルフィは昔馴染みと出会う




   郁人がレッスンを受けている頃……


   「ママいないから暇だなあ〜」


   デルフィは宿泊している部屋の縁側で

   座布団の上で寝転んでいた。


   「ばあちゃんは温泉に行ったし、

   イクタン達はお手伝いだー! って

   目をキラキラさせながら行っちゃった

   もんなあ〜。俺は宿題しなきゃいけな

   かったから行けなかったけど」


   デルフィは座布団の上をゴロゴロし、

   手元にあるせんべいを食べる。


   「宿題終わったからやることなくなっ

   ちゃった。この旅館の中ならこの姿で

   うろうろしても大丈夫って言われたけど

   あの人達いるし……」

   「あの人達?」

   「うわあああ!!!」


   デルフィが振り返ると見下ろしている

   ローテクトがいた。

   デルフィは驚きで跳び上がる。


   「なっ……なんでここにいるの?!

   不法侵入!!」

   「こちとら外から何度も呼んでいたがな。

   あんたが気づかなかっただけさ。

   気配に気付かないとはなまっちまった 

   んじゃねえか? 元春の妖精王さんよお」

   「ぐぬぬ……!!」


   自分で座布団を持ってきて座った

   ローテクトの言葉にデルフィはなにも

   言えないので悔しがる。


   「で、あんたは今あいつの孫が描いた

   奴の1人とハイエルフの鬼才にいろいろ

   教わってるらしいが……何が目的だ?

   妖精王の座に戻る気か?」

   「ないよ。だから籠に孵る前に、次代を

   指名して仕事内容の改善点も挙げて、

   戻る気はないことは書類で示したもん」

   「じゃあ、なんで力を得ようとする?」

   「ママを守るため!」


   デルフィは胸を張る。


   「ママの周りは強い人ばかりだけど

   危ない人が多いからね! それに俺は

   ママに助けてもらったことがあるん

   だけど、そのときなにも出来なかった

   から……」


   デルフィは俯いたあと、決心したように

   顔をあげる。


   「今度は俺が守るって決めたの!

   ママにもう痛い思い、怖い思いは

   させないって! だから強くなるために

   勉強してるの!」

   「なるほど。そうかい」


   フスン! と意志を固めているデルフィに

   ローテクトは納得がいったようだ。


   「たしかに、あの孫の周囲には

   厄介そうなのが多いからな。守るのは

   多いにこしたことはねえからな。

   ……それにしても」


   ローテクトはじっとデルフィを見る。


   「あんた、光属性……しかも回復

   の属性が使えるようになってねえか?

   あんたの前の属性は風と花だったろ?」 

   「俺がまだ籠のときにママがカラドリオスの

   羽根を周りに敷き詰めたから使えるように

   なってた!」


   デルフィの言葉にしばし固まっていた

   ローテクトだが、額に手を当てながら

   尋ねる。


   「…………カラドリオスはあのクソ国が

   独占してなかったか?」

   「チイトが保護したみたいだよ?

   俺の家の地下にカラドリオスの群れが

   いたから。イクタン達がお世話してる!

   あっ! これ内緒だよ!! ママを驚かせたい

   からってチイトが言ってたから!」


   慌てるデルフィにローテクトは

   わかったと頷く。


   「…………わかった。ここだけの話に

   しておこう。ちなみになんで隠して

   るんだ?」

   「ママはふわもふな生き物が好きなん

   だって! ふわもふで可愛いカラドリオス

   をさわれたりしたらママが喜ぶからって

   言ってた!」

   「………治癒魔法が使えるカラドリオスを

   独占してなにかやろうって訳じゃねえん

   だな。あの真っ黒坊主はマジで孫のため

   にしか動かねえんだな」

   「そうだよ! チイトはママ以外興味0だ

   もん! 俺だってママがママじゃなかったら

   誘拐された理由として消されて可能性

   あるし! ママが悲しむからおとなしく

   してるだけだよ。ママがOKだすか、

   ママの意志を無視するようになったら

   チイトは兄弟(創作キャラ)以外は消すんじゃないかな?

   それか独占するためにママと自分以外は

   全滅?」


   何言ってるの? と言いたげなデルフィに

   ローテクトは口の端を引きつらせる。


   「………マジかよ、あの真っ黒坊主。

   あの至上主義を掲げた国以外が滅びて

   なかったのは奇跡に近いじゃねえか」

   「ちょっかいかけなかったから無事

   なだけだよ。あとはママが主軸だから

   かな? チイトはママに嫌われたり、

   怖がられたりしたくないから

   ママの考えを参考にしてるとこも

   あるから」

   「………元春の妖精王で人を見る目に

   長けたって有名なあんたが言うなら

   そうだろうよ」


   頭をガシガシとかくローテクトに

   デルフィは告げる。


   「ママが良い人、善性な性格なことに

   感謝したほうがいいよ! ママが悪寄りに

   なったらチイトは勿論だけど、メランや

   他の兄弟達も暴れるから!」

   「そうだな。きちんと守らねえとな。

   悪意にさらされて、そっち方面の

   知識がつくのもマズイ」


   あいつにも伝えとくかと呟く

   ローテクトにデルフィは尋ねる。


   「ところで、なんで孫って呼ぶの?

   夏の妖精王もだけど、なんかママを

   誰かと重ねてない? 懐かしそうな目で

   見てるから」

   「それはトップシークレットだ」

   「ケチー! 昔馴染みだし教えてくれても

   いいじゃんかー!」

   「ケチで結構」

   「あー!! 俺のお菓子を食べたー!!」

    

   ローテクトは置いてあったせんべいを

   ボリボリと食べた。

   

   「結構うまいな、これ」         

   「うぅ〜……!!! 俺も食べるもん!!」


   デルフィはこれ以上取られまいと

   せんべいを食べる。


   「…………ママに悪いことしないよね?

   孫だって言って利用したりしない?」

   「ひどいことなんざしねえよ。

   お嬢に嫌われたくねえからな」

   「お嬢って?」

   「これも聞かなかったことにしろ」

   「あー!! また取ったあ!!」

   「数枚くらいいいだろ。ケチくせえな」


   涙目のデルフィの隣でローテクトは

   せんべいをまた食べた。


  


ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

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