冬の妖精王"レヴィセンド"
ー 冬の妖精王"レヴィセンド"
歴代の妖精王の中で最も恐れられ、
強かったという最恐の妖精王。
"その者の怒りに触れた者は誰だろうと
魂ごと凍らされ、氷の牢獄から永遠に
抜け出すことは出来ない"と謂われている
その妖精王は現在、ユーの体に魂として
存在し、ユーの体に住んでいる状態だ。
「こうして汝の魂の無事を確認できて
儂は嬉しく思うぞ、レヴィセンド。
汝の魂は妖精の籠になった段階でもう
手遅れかと思っていたからの」
ポンドとローテクトを戦える場に送った
ミョウケンはユーと並んで座っている。
そしてユーのなかにあるレヴィセンドの
魂に話しかけているのだ。
「レヴィセンド。汝の魂が今もこうして
ユーの中には居るのは儂にはわかるん
じゃが……汝のような暴れん坊がこのように
おとなしくしていることに本当に驚きじゃ
わい」
話しかけられているユーだが我関せずと
もりもりと運んできた料理を食べている。
「しかも、体の見た目や主導権などを完全に
ユーに渡しておる。本当になぜじゃ?」
ミョウケンはユーを見て首を傾げた。
ーーーーーーーー
ユーの体の奥にて存在するはミョウケンに
話しかけられているレヴィセンド。
その姿は魂であっても昔と変わらない。
雪原のような髪色に肌も白く、儚い印象を
抱かせそうだが氷のように冷たい瞳がそれを
許さない。その身に纏う王者の風格に氷の瞳
で見られれば誰もが跪くだろう。
そんなレヴィセンドはユーを介してミョウケン
の言葉に耳を傾ける。
「相変わらず口が回るものだ。
僕は隠居しているのだから会話する
気はないというのに」
懐かしいものだとレヴィセンドは
目を細める。
「それにしても、僕が主導権などの
すべてを渡していることに驚いている
ようだな。僕も当初は以前の僕のまま
生まれようとしたんだが……
少々興味深いことを知ったからな」
レヴィセンドは籠の中でどこからか
現れたユーとの出会いを思い出す。
「僕はこの先、ユーの願いが叶うのかどう
かを見届けたくなった。だから僕は隠居
すると決めたんだ。それに……」
レヴィセンドは口角をあげる。
「御主人の作るご飯が美味い。
それに世話を焼いてくれるのも良い」
レヴィセンドはユーを介して食べるご飯や
頭を撫でたり、抱っこされたりと妖精王の
ときに体験できなかった数々にすっかり
ハマってしまったのだ。
「あのような美味を毎日味わえるのも良い。
ヒュドラを再び味わえたのも良かった。
あれは毒抜きが面倒だが、その手間を惜しん
でも良いほどにとても美味なのだ。
それが御主人の手でさらに美味となった」
また食べたいとこぼす。
「それに世話を焼かれるのも新鮮ながら
良いものだ。僕はミョウケンのように
人に育てられたことがなかったからな。
甘やかされるのも良い。あの優しい
手は心地よいのだ」
レヴィセンドは優しく微笑む。
「良いと思い続けた結果、称号がついたのは
驚いたがな。まあ、御主人を連れ去りたいと
考える他の妖精がこの称号をみれば裸足で
逃げ出すだろうから良いか」
御主人は妖精にかなり好かれやすいからな
とレヴィセンドは告げる。
「ユーに僕の力を使うことを許可したから
危害を加えそうな輩は氷にすれば解決だ。
酒を冷やしたり、氷のテーブルや猪口を
作られたのは驚いたがな」
僕も試しに味見したがあの酒には驚いた
と思い出し、氷の単語にまた思い出す。
「こいつが僕に用があるとすれば
あのことだろう。ユーを介して
渡すように頼むとしよう」
レヴィセンドはユーに伝言を頼んだ。
「僕は隠居の身。このまま過ごすこと
を望む。表舞台に立たせようとするなよ。
せいぜい励むがいい、ミョウケン」
レヴィセンドはユーの奥にてエールを
送った。
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