表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
348/366

292話 驚きの事実は続く




   郁人のスキル画面を見てミョウケンは

   目をぱちくりさせたあと膝を叩く。


   「おっと!? やはり儂以外にも祝福を

   貰っておったか! 汝なら2つくらい

   貰ってそうじゃと思っていたが

   四季をコンプリートしとったとわ!」


   流石儂の孫! とミョウケンは郁人の

   頭を撫でて嬉しそうだ。


   〔あんたえげつない数の祝福を

   貰ってるわね……!!! こんなにあるの

   かなり珍しいわよ……!!〕


   ライコは言葉をなくしてしまっている。


   「たしかに好かれやすいだろうとは

   考えてはいたが、まさかこれほど

   とは……?!」

   「今まで拐われていなかったのが

   おかしいレベルじゃねえか!」

   「マスターらしいといえばらしい

   のでしょうかな?」


   ジークスと篝は開いた口が塞がらず、

   ポンドはははと笑っている。


   「まさか四季全ての祝福を持っている

   者がいるとはね。だから、彼のことを

   調べようとしたら妖精の妨害を受けた

   わけだ」

   「いつの間に調べようとしてたんすか?!」

   「気になる相手のことだ。調べるのは

   定石だろう? それで俺の使い魔を通して

   調べようと大樹の木陰亭に近づいたら

   パシッと弾かれてしまってね」

   「まさか大樹の木陰亭まで調べに

   行ってたんすか?!」


   驚くグロリオサにチュベローズは

   くすりと笑う。


   「君の気になってる女将さんには

   気づかれてないから安心していいよ。

   弾かれた段階で深追いはしなかった

   からね」

   「………そこも調べてたんすね」

   「使い魔を通さなくても女将さんに

   ついては耳にしていたよ」


   君は目立つからねとチュベローズは

   笑う。


   「妖精の祝福を持っていれば取り替え子と

   そう呼ばれるが……複数の妖精から貰うと

   なると名前が変わるのだな」

   「妖精を調べている者達に知られれば

   追いかけ回されることは確実だろう。

   とくに彼女なんかは彼を追いかけ回し

   そうだ」


   サフュランはほほうと画面を見つめ、

   妖精を調べている者に心当たりがある

   クシランは呟いた。


   「パパ、今まで内緒にしててゴメンね」


   そんな中、チイトはしょぼんとしており、

   眉を下げている。

   そんなチイトの頭を撫でながら

   気にしていないと告げる。


   「大丈夫だよ。最初に見てたらびっくりして

   旅どころじゃなかったと思うから。

   だから、気にしないで大丈夫。

   それにしても……なんでこんなに祝福が

   あるんだ? 心当たりがないんだけど

   なあ……」


   皆の注目を浴びる中、心当たりがない

   郁人は考える。


   (春はたぶん……デルフィだと思うし、

   夏はミョウケンさんで間違いないけど……

   他の季節は本当に心当たりがない)

   「ミョウケンさんとはつれないのう。

   ”じいじ”じゃよ、我が孫」


   郁人の思考を呼んだのか、ミョウケン

   は唇を尖らせた。


   「まあ、突然じゃから慣れておらん

   のじゃろうな。気長に待つとしよう。

   で、汝が気になっている他の季節じゃが

   秋は思い出せんようにしとるからの」


   儂が言うのも不粋ゆえなとミョウケンは

   呟いた。


   「それにしても、あやつがのう……。

   人間相手に祝福を与えるなんぞ驚きじゃ。

   あの人間嫌いで満月うさぎといった

   妖精の庇護下にあるのとしか交流せん

   からの」


   本当に驚きじゃわとミョウケンは

   あごをさすった。

   篝はミョウケンに尋ねる。


   「秋の妖精は人間が嫌いなのか?

   秋の妖精は特に人と関わらないと聞くが

   理由はそれか?」

   「そうじゃよ。秋の妖精王は他の四季

   の妖精王の中ではダントツで嫌いじゃよ。

   妖精郷に1番ひきこもっとるわ」

   「なるほどな。それで秋の妖精王の

   話なんか滅多に聞かねえのか」

   「ならなんで俺に?」


   納得する篝とミョウケンの話を聞き、

   疑問が深まった郁人は首をかしげる。

   そんな郁人の頭をミョウケンはぐしゃり 

   と撫でる。


   「それは本人に直接聞けばいいじゃろ。

   祝福を授けたくらいじゃから、汝に

   絶対に会いに来るじゃろうし。

   だから待っておいてやってくれ」


   いずれわかるじゃろからとミョウケン

   は笑い、続ける。


   「で、冬じゃが2つあるのもちゃあんと

   理由があるぞ。まず、氷の祝福じゃが

   汝は冬将軍から水晶をもらっとる

   じゃろ?」

   「これのことです……これのこと?」


   郁人はサイドポシェットから水晶を

   取り出した。敬語で話しかけたが、

   ミョウケンが涙目になったので

   あわてて崩した。

   ミョウケンは涙目からパッと顔を

   輝かせると、懐から取り出した扇子で

   指し示す。


   「それじゃそれ。その水晶を渡すのは

   本当に気に入った相手のみなんじゃよ。

   だから、祝福として冬将軍は渡しておる。

   まあ、儂が祝福を先に与えていたから

   連れ帰れなかった代わりみたいなもん

   じゃが」

   「待て! 冬将軍っておとぎ話の存在

   じゃねえのか?!」


   聞いていたグロリオサは目を見開いた。


   「おるぞ。冬の妖精王の別の呼称が

   冬将軍じゃからな。汝らは空想の物語の

   登場人物と思っているようじゃがの」


   実在しとるのにのうとため息を吐いた

   あと、郁人を見る。

   

   「じゃから、心から信じてくれる孫の

   存在やその孫がくれたスイーツとやらを

   大層喜んでな。それはもう大層な喜び

   ようじゃったと付き人が言っとったわ。

   あんなに美味しいものを食べたことは

   ないと自慢しておったくらいじゃし」


   遊びに行ったさいに聞いたぞと

   ミョウケンは告げる。


   「で、そんな我が孫を自身の妖精郷に

   連れ帰ろうとしたが儂の祝福に気づき、

   諦めて水晶を渡したんだろうの。実際、

   儂に孫の祝福を限定的に解除してほしい

   と手紙が来たからの」

   「そんなすごい代物だったんだな、

   これ……」

   「……連れ去る代わりに渡したのが

   この水晶ってことか」

   「下手したらイクトはここにいなかった

   のか……夏の祝福を貰っていて良かった

   な、本当に」


   篝は思わず水晶をじっと見てしまい、

   ジークスは胸を撫で下ろした。


   「で、あと1つの冬の寵愛じゃが……

   ほれ、そこの珍妙なもの」


   ミョウケンが扇子でモリモリとご飯を

   食べているユーを指した。


   「ユーはん、夏の妖精王様からご指名

   受け取るよ」

   「お話してくれてありがとねー!」

   「本当になんの生き物なんだろ?

   てか、あんな小さな体のどこに入るん

   だろうね。あのご飯は」


   タカオを含めた蝶の夢のトップ3と

   話していたユーはテーブルの上にある

   料理を自分の皿に盛り付けながら、

   ふわふわと郁人の膝に戻ってきた。


   「おかえり、ユー。どこに行ってたのか

   気になってたんだけど、タカオさん達と

   話したんだな」


   ユーは郁人の言葉に頷いたあと、

   ミョウケンの視線を気にせず

   ジェスチャーや視線で説明する。


   「えっと、タカオさん達に夜の国で

   新しく出来た名物ご飯やおすすめの

   温泉とかを聞いてきたんだな」

   

   ユーは頷くと、携帯を取り出して

   メモした内容を見せて、一緒に

   行こうと目で訴える。


   「メモしてきてたんだ! うん!

   俺も気になるから一緒に行こうな!」


   郁人の言葉に目をキラキラさせた

   あと、またご飯をもりもりと食べだした。


   「これほどとはのう……祝福の内容から

   して察してはいたが驚きじゃわい」


   そんなユーを見てミョウケンは

   ほう……と驚きながら呟く。


   「まさか、汝がここまで懐くとはの。

   他のが混ざってるとはいえ、本当に

   驚きじゃ」

   「えっと、ユーとも顔見知りだったり?」


   郁人が尋ねるとミョウケンは笑う。 



   ー「当然じゃろ? なんせ此奴は前の

   冬の妖精王なんじゃからの」



   「…………え?」

   「なんですと?!」


   全員が一斉にユーを見て固まった。


   


ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

思っていただけましたら

ブックマーク、評価(ポイント)

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ